【山口敏太郎の現代妖怪図鑑184】竹やぶに住む「おじぎ」 うっかり見たら祟りに見舞われる

おじぎ

オカルト評論家・山口敏太郎氏が都市伝説の妖怪、学校の怪談、心霊スポットに現れる妖怪化した幽霊など、現代人が目撃した怪異を記し、妖怪絵師・増田よしはる氏の挿絵とともに現代の“百鬼夜行絵巻”を作り上げている。第184回は「おじぎ」だ。

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ある地域の竹やぶに住んでいる妖怪である。外見は人間サイズの巨大なてるてる坊主と考えていい。竹やぶに入ってきたものが、うっかりその顔を見てしまうと祟りに見舞われる。もし見てしまった場合は、自らの手で自らの首をつかみ、へし折ってしまうという。

だから、竹やぶに入る人は下を向いて絶対に前を見ようとしない。

地元では有名な話であり、地元に住んでいる人ならば誰しもがこの話を知っている。「おじぎ」という名前は、おじぎをしないと祟りがあるから、そのネーミングがついたらしい。

筆者にこの妖怪を教えてくれた人物は、竹やぶの近くで野球をやっていたところ、うっかりボールがやぶの中に入ってしまい、友人と一緒に中に踏み込んでしまった。自分はずっと下を見ていたため何もなかったが、友人はおじぎをもろに見てしまい、自らの手で首をへし折ろうとした。

幸い通り掛かった、大人の手を借りて、神社に連れ込んでお払いをしてもらい、事なきを得たという。

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