「乗っていいか迷う…」観光客は困惑? 京阪電車のダブルデッカー

大阪と京都を結ぶ列車・京阪電車。国内外問わず観光客がぐんと増加し、京阪電車の利用者も増えるなか、SNS上では2階建ての「ダブルデッカー車両」が「乗っていいか迷う」と話題になっているようだ。

8000系車両ダブルデッカーの外観(写真提供:京阪電気鉄道)

たしかに一見すると別料金が必要と見紛うほど豪華な車両だが、そもそもなぜこんな車両が? 詳しい事情を「京阪電気鉄道」(大阪市中央区)に訊いた。

■「大阪・京都間の旅行を楽しんでほしい」という思い

話題となっている車両は、京阪線を走る「8000系車両」の4号車「ダブルデッカー」。観光車両を思わせる2階建ての車両で、防音仕様のカーペットに外の景色が見渡せる大きな窓。なんともラグジュアリーな車両だが、追加料金は必要なく、運賃だけで利用することができる。

筆者も同車両を目にする機会は多いが、特別車両の「ライナー」「プレミアムライナー」も存在するため、一瞬「これって追加料金必要だっけ・・・」と迷ってしまうことがしばしばある。

ダブルデッカーの車内。2階建ての構造以外にも、シートやインテリアにもこだわっている(写真提供:京阪電気鉄道)

同じような勘違いをする人はやはりいるようで、「関東の方だと有料特急に慣れている人も多く、有料だと思う方も多いようです」と広報担当者。一方で、昔からの京阪ユーザーや通勤・通学で利用する人たちからするとおなじみの光景で、「それが当たり前という感覚だと思います」とのことだった。

公衆電話を設置していた時代の車内(写真提供:京阪電気鉄道)

これまでも車内にテレビを搭載した「テレビカー」や、車両に公衆電話を設置するなど、常に最新のサービスを取り入れてきた同社(いずれも現在は終了)。ちなみに、向かい合って座るシートのため「ロマンスが生まれる」ということで「ロマンスカー」と名付けられた同車両も、同社が1927年に導入したことが始まりだったという。

なぜ追加料金無しで、さまざまなサービスを実施しているのか。そんな素朴な疑問をぶつけてみると、「より多くのお客さまに、大阪・京都間の旅行を楽しんでほしいという思いのもと、サービスを実施しています」という回答が返ってきた。今度京阪線を利用する際は、迷わずダブルデッカーに乗車してみようと思う。

取材・文/つちだ四郎

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