「餓狼伝説 City of the Wolves」EVOJ試遊ミニレポ:玄人好みなジャストガ重視システムが味わい深い!

4月27日より開催の「EVO Japan 2024」にて、「餓狼伝説 City of the Wolves」の世界初試遊コーナーが展開された。本稿では、筆者が試遊コーナーに参加して感じた本作の手触りを紹介する。

全体の様子
フォトスポット

試遊時間が限られた中ではあったため、本作のすべてをご紹介することができず申し訳ないが、ゲームの雰囲気やプレイフィールといった部分をご紹介していこうと思うので、良ければ最後までお付き合いいただきたい。

※試遊用の開発中バージョンであるため、製品版とは内容が異なる場合があります。

■各システムの所感。昨今味わえていなかったジャスガ重視系格ゲーの香り

最初に本作のシステム面について、遊んでみた感想をご紹介していこうと思う。まずは、全キャラクター共通で使用できるテクニック関連を見ていこう。

ジャストディフェンス

本作を試遊して最初に感じたことは、「ジャストディフェンスが非常に重要」という点だ。ジャストディフェンスとは、相手の攻撃タイミングに合わせてガードを入れる共通テクニックで、主な効果は以下の通り。

  • 体力が少し回復
  • REVゲージ(共通アクション用のゲージ)が回復
  • ガードキャンセルが可能になる

まさしくジャストディフェンスを起点にゲームが動くといった感じで、昨今の格闘ゲームから消えつつあった「ジャストガードを重視したシステム作り」となっている印象だった。

他の2D格闘ゲームと比べて、専用のモーションを取るパリィ系や、専用の入力を必要とするブロック系の操作と異なり、ジャスト“ガード”であるというのが重要。失敗しても最低限ガードはできるというのがミソだ。リスクは控えめながら恩恵が大きいので積極的にジャストディフェンスを狙おうという気持ちになるし、対戦格闘ゲームで苦になりがちな“受けの時間”でプレイヤーが積極的に操作できるという点が評価ポイントだとおもう。

もっとも、このシステムが強くなりすぎるとお互いに窮屈になってしまうので、難易度やリターン面で慎重な調整が求められるだろう。

ハイパーディフェンス

ハイパーディフェンスは、わかりやすく言うと「連続攻撃に対するジャストディフェンス」だ。格ゲーマー向けに言うと、「ガード硬直中にできるジャストディフェンス」といったところか。

ただし、連続攻撃に対しては、レバーを後ろではなく前に入れなくてはならない。受付猶予も少し短いそうだ。ジャストディフェンスと異なり、ガード状態が解ける“前”にレバーを入れるのがポイントで、ガード状態が解けるためジャストディフェンスよりリスクが上昇する仕組みになっているのだろう。難易度こそ高いが、この操作があることで「相手が次に選択する連携を読む」という読みあいがバトルに加わっているのではなかろうか。

ガードキャンセル

ジャストディフェンスからのみ発動できるガードキャンセルは、ガード状態から必殺技、超必殺技を発動できる強力なシステムだ。格闘ゲームにおいて、ガードしている=相手が攻撃状態にあるということなので、多くのシチュエーションで必ず攻撃を当てられる瞬間、というわけ。

さらに、ガードキャンセルから発動した超必殺技は発生が0Fとなるため、ジャストガードから超必殺技を発動できれば確実にヒットさせられる。現状だとジャンプ攻撃や飛び道具などからも安定して超必殺技が繋がってしまう点が少々窮屈に感じたが、今後この辺りは調整が入るだろう。

ブレーキング

後年の「餓狼伝説」シリーズと言えばこのシステム。必殺技の後半モーションをキャンセルして、次の行動に素早くつなげることができるシステムだ。こちらは少々主観多めの評価になるが、ポイントはズバリ「ボタンがいっぱい押せる」という事だろう。

「え、それだけ?」と思われるかもしれないが、筆者個人は結構大事なことだと思っており、ボタンをいっぱい押すという事は即ち操作の爽快感に繋がるからだ。

コンボ面でもブレーキングは大活躍。色々な必殺技をキャンセルしながらつなげる。

操作自体も「必殺技を出した後に弱攻撃を同時押し」するだけなので、“忙しい”ながらも“難しい”わけではない。練習すればだれでもできるようになるはずだ。

また、強力なジャストディフェンス系のアンチシステム的側面もあり、多段技の後半をキャンセルすることで相手のハイパーディフェンスを釣り出せるだろう。

フェイント

文字通り、必殺技のモーションを使ったフェイント。ジャストディフェンスが強力な本作ではこのフェイントを活用する必要がありそうだ。

隙の少ないフェイントでキャンセルして
攻めを継続。みたいな動きも可能。

個人的な趣味だが、筆者は相手操作の片鱗から見える思考の読み取りが好きで、このフェイントもそういった読みあいが楽しめそうな印象を覚えた。フェイントを出すという一つの操作から、相手はこの技を出したいんじゃないか、はたまた全く違う別のことを狙っているんじゃないかといろいろな思考が巡る。フェイントは全体動作も短く気軽に出せるので、ぜひそう言った駆け引きを楽しみながら遊んでみたいところだ。

■新システムのREVシステム。攻防のタイミングが明確に

最後に、本作から搭載された新システム、「REVシステム」について簡単に紹介しようと思う。REVゲージを使用して行えるアクションは以下の通り。

  • REVアーツ=いわゆる強化必殺技
  • REVアクセル=いわゆる必殺技キャンセル必殺技
  • REVガード=いわゆる強化ガード
  • REVブロウ(一定の体力値のみ使用可能)=スーパーアーマー付きの突進攻撃

結構色々なアクションが取れるので、ゲージに余裕があるときの自由度はなかなかのもの。中でもREVアクセルは演出面も秀逸で、必殺技をキャンセルして別の必殺技を出したときに前に出していた必殺技が残像として残る。次々に残像を出しながらコンボをつなぐ絵面が純粋にカッコいいし、観戦時に「今、REVアクセルで必殺技をキャンセルした」というのが非常にわかりやすくなっている。

REVシステムの特徴としては、「使用するとゲージが溜まっていき、使いすぎるとオーバーヒートする」という事。オーバーヒートするとガードクラッシュゲージが削れるようになるため、おちおちガードもしていられなくなる。そのため、REVシステムが溜まっているときは派手に攻めて、オーバーヒート寸前になったらREVゲージを回復できるジャストディフェンスを狙う、といった具合に、お互いの攻防のタイミングが明確になるシステムといった印象だ。

■全体総評。お互いに大きな盾で殴り合ってるイメージ

最後に全体の印象をお話しして本レビューを締めくくろうと思う。全体的に本作は防御システムが強く設定されている印象だった。特にジャストディフェンス→発生0F超必殺技を筆頭に、防御の上手さが勝率に直結しそうな印象である。防御の手厚さを盾にお互いが攻防を繰り広げる、いうなれば「巨大な盾でお互いに殴り合っている」ような印象だ。玄人好みな印象はあったものの、操作性や演出面が良くできていたので、「餓狼伝説を初めて遊んでみたい」という人でもとっつきやすいゲームになっているだろう。

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