【1日3分間のメンタル強化法 第9回】チャンスボールは相手コートを分割して“ど真ん中”に打とう!<SMASH>

テニス競技はメンタルによって大きく結果が左右されるスポーツです。しかし、メンタルを強化したいけれど「なんか大変そうだ」と敬遠している人はいないでしょうか。

本シリーズでは一般プレーヤーに向けて、伊達公子氏や浅越しのぶ氏といった日本テニス界をけん引したトップ選手の指導経験を持つメンタルアドバイザー椙棟紀男氏に、簡単に身に付くメンタルの強化方法を伝授してもらいます。

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球技において絶対的な真理の1つに“どこに、どんなボールを?”があります。テニスも例外でなく、相手の嫌がる所にショットを放つことでポイントになります。しかし、狙いすぎて少しだけアウトする光景もよく見かけます。

現在実業団で活躍している加治遥選手もそんな一人でした。大学時代のある試合で、チャンスボールが来た時に、ラインギリギリを狙って打ったのです。結果は、惜しくもアウト。決まればかっこいいですが、ミスをすれば本当にもったいない。そこで彼女とこんな会話をしました。

「相手コートを何分割して打っている?」と聞いたところ、「16分割くらいかな」と回答。そこで「分割したど真ん中に打ってみたら?」とアドバイスを送りました。
重要な点は“ど真ん中”ということです。脳にとっては、“ギリギリ”を狙うよりも、分割した“ど真ん中”に打つ方が安心します。脳が安心するということは、気が楽にショットが打てるということです。

加治選手は16分割でしたが、ビギナーであれば4分割からスタートしましょう。そうして、自分が上達するにつれて、分割を小さくしていけばいいのです。ちなみに、漫画『ベイビーステップ』の主人公のエーちゃんは64分割していました。

分割したど真ん中に打つクセをつけるには、素振りの時から練習するのが得策です。素振りをする時に、分割したコートを思い描き、どの枠のど真ん中に、どんなボールを打つかをイメージしながら行ないます。そうすると、実際にコート上で打つ時も、イメージして打てるようになります。

ところで、集中には「周辺集中」と「一点集中」があります。「周辺集中」とは、広く、浅く、表面的に集中することで、「一点集中」は、狭く、深く、濃く集中することだと考えられています。テニスに置き換えると、周辺集中で状況を把握し、分割したコートのどこに打つかを決めます。そして、一点集中して狙った枠のど真ん中にボールを放てるようになりましょう。

構成●スマッシュ編集部
※スマッシュ2020年12月号から抜粋・再編集

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