「あの打球だったら普通はいけないです。ただ…」ソフトバンク本多雄一コーチが認める川村友斗の隙を見逃さぬ判断力

延長11回無死一塁、柳田の左飛で進塁する一走川村(撮影・星野楽)

◆ソフトバンク3×―2西武(28日、みずほペイペイドーム)

ソフトバンクの川村友斗外野手(24)が途中出場ながらサヨナラ勝ちに貢献した。勝ちに直結こそしなかったがこの日、本多内野守備走塁兼作戦コーチも「川村の好走塁ですよね」と高評価するプレーがあった。

11回無死から死球で出塁。続く柳田の左飛で二塁へタッチアップし成功させた。川村は「外野が下がっているのも分かっていて、ギーさん(柳田)が高いフライを深くまで打つかなと思ったので、タッチアップに入ろうと戻ったら、本多コーチも『行け』と言っていたので、思い切っていきました」と振り返る。

本多コーチは「あの打球だったら普通はいけないです」と言い切る。ただ成功の可能性をぐっと上げる〝隙〟を川村が見逃さなかったという。「取った後に(左翼が)ゆっくりしていた。あの姿をあいつは察知していた」。西武高松の捕球体勢と捕球後の緩みと確認した上でタッチアップの準備を川村は始めた。「僕が『ゴー』って言うのと、川村の意思が一緒だったので。レフトのゆっくりした行動を一瞬にして目にして、行ったので」。観察眼と判断力が好走塁を生んだ。

本多コーチは「意識の問題。これは誰でもできます」と語る。それでも2軍コーチ時代から見てきた川村の高い走塁意識は認める。川村は「1軍は勝つための場所なので。自分が走塁でも守備でもいいので、チームに必要とされる人間になりたい」と語る。スタメンでなくても、自らの最善を尽くす意識をこの日は足で見せた。(鬼塚淳乃介)

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