■仙台は前半から意欲的に試合を運ぶ
流れはつかんだ。しかし、ゴールが遠かった。
J2リーグ第12節が4月27、28日に行なわれ、27日、7位のベガルタ仙台は12位のジェフユナイテッド千葉とホームで対戦した。
仙台は前節の清水エスパルス戦に2対3で敗れており、上位に食いついていくために連敗は許されない。その清水戦では前半の消極さが目についたため、この試合では「入り」がポイントとなった。
森山佳郎監督はMF松井蓮之を4試合ぶりに先発に指名し、MF長澤和輝とダブルボランチを組ませた。さらに2列目右サイドにオナイウ情滋、トップ下に郷家友太、左サイドに相良竜之介の並びとし、1トップに中山仁斗が入る。オナイウは6試合ぶりの先発で、FW中島元彦が6試合ぶりにベンチスタートとなった。
注目された試合の入りは、悪くなかっただろう。前半6分にオナイウのロングスローがゴール前にスクランブル状態を呼び込み、最後は郷家がフィニッシュへ持ち込んだ。
ただ、J1昇格候補の千葉もモチベーションは高い。前節は1点リードの後半アディショナルタイムに2失点するという、ショッキングな敗戦を喫していた。
どちらにとっても仕切り直しの一戦であり、負けられない思いがぶつかり合うなかで、仙台は35分に先制点を許す。左サイドからのクロスを、MF田口泰士に右足ボレーで決められた。CB菅田真啓がクロスに備えていたが、目前のスペースに入り込まれて先にボールに触わられてしまった。
■「点数のところだけ」は確かだが…
1点ビハインドで迎えた後半開始とともに、森山監督が動く。中山を下げて中島を投入する。中島は最前線に立ち続けるのではなく、中盤へ下りてボールを受けたりさばいたりする。ボランチの松井も含めてボールを動かせる選手が多く揃っていることで、自陣からパスをつなぎながら前進する回数は増えていった。際どいシーンも作り出すことはできているが、フィニッシュの精度を欠いてしまう。
リードを奪っている千葉が、4-4-2の守備ブロックを敷いてしっかりと中央を閉じ、ボールホルダーにもプレッシャーをかけてくるなかで、仙台はボールを不用意に失わずに攻撃を続けていこうとする。しかし、短い距離の横パスが多いため、相手の目線をズラすことができない。相手の守備組織が混乱するような場面を、なかなか作り出せないのだ。深いエリアへの侵入も限られてしまう。
同点に持ち込めない間に、2点目を献上してしまう。79分、センターサークル付近でパスを受けようとした中島が、相手CBのチェックを受けてボールを失う。セカンドボールをそのまま運ばれ、DFラインの背後に通されたラストパスを決められたのだった。カウンターの典型とも言うべき形からの失点で、試合を決定づけられてしまった。
試合後のフラッシュインタビューで森山監督は、チームの戦いぶりをポジティブにとらえた。
「点数のところだけですね。今日のゲームを続ければ未来があるという話をしました。精度、連携、質は毎日少しずつ、ホントに紙を一枚ずつ積み上げるぐらいしか変わっていかないので、これは根気強く、レベルアップしていくしかないので。今日の戦いは悲観するものではなく、ポジティブにとらえていきます」
後半は決定機と呼べるものも作り出したし、清水戦の前半のような消極性は感じさせなかった。そのうえで言えば、いまの仙台には「大胆さ」が必要だ。ブロックのなかへドリブルで飛び込んでいく。縦パスを差し込む。少しぐらい強引でもシュートへ持ち込む。そうしたプレーがほしい。相手の守備に不確実性をもらたす不確実なプレーに、もっと着目するべきなのだ。
次節はレノファ山口FCとのホームゲームだ。就任1年目の志垣良監督が率いるチームは、ここまで5勝3分4敗の勝点18で6位に食い込んでいる。今シーズン初の連敗で11位に後退した仙台にとっては、勝点3奪取が必須の一戦となる。