ときのそら、クールに魅了したアイデア尽くしのダンスパーティ 6周年ライブ『Keep Shinin'』レポ

昨年9月に6周年イヤーがスタートして以降、AZKiとのユニット SorAZでのメジャーデビュー&ライブといった新たな活動の一方で、今年3月にはソロ名義での最新ミニアルバム『STAR STAR☆T』もリリースするなど、ますます精力的に活躍の場を広げるホロライブ0期生・ときのそら。4月6日、彼女の6周年記念ライブ『ときのそら 6th Anniversary Party「Keep Shinin'」』が東京・YAMANO HALLで開催された。昼/夜に行なわれた2公演のうち、夜公演の模様をレポートしたい。

5周年に際して行なわれた『ときのそら 5th Anniversary Live「宇宙(そら)と時空(とき)のミルキーウェイ」』でも、生バンド編成でのライブや広瀬香美との次元を超えた共演など新たな試みを行っていた彼女だが、今回のテーマは会場一体となって踊れる「オリジナル曲限定&ダンスパーティ」。自身初のディスコ曲などを収録してクラブミュージックの要素を取り入れた『STAR STAR☆T』の内容とも繋がるように、自身初となるソロダンスパートが設けられ、6周年にしてまた「新しいときのそら」の姿が見られる機会となった。

まずは冒頭、6周年をイメージした六角形のモチーフや、映画『サタデー・ナイト・フィーバー』などを連想する70~80年代ディスコっぽいレトロクラシックな雰囲気が印象的なオープニング映像が流れると、会場一体となった10カウントでときのそらが登場。アップテンポな「ケ・セラ・ソラ!」「空ノ空」「エゴナデ・ラビリンス」などを連発して、観客と「はい! はい!」と声を合わせて盛り上がるなど、早速賑やかなパーティ感が広がっていく。

こうした序盤の時点で、昼公演とセットリストが1曲も被っていないのは、6年間に多くの楽曲をリリースしてきた彼女ならでは。実際、今回の公演では昼夜でセットリストが大幅に異なっており、1日で異なるライブをふたつ開催するのと同じようなボリューム感が生まれていた。中でも、夜公演は比較的「クールで大人なときのそら」の魅力が伝わるような雰囲気だ。

彼女がカバーして初期のブレイクのきっかけのひとつとなった「エイリアンエイリアン」などの作者でもあるナユタン星人に楽曲制作を依頼し、MVでもその雰囲気をオマージュした最新ミニアルバム『STAR STAR☆T』のリード曲「スタースタースタート」では、ディスコの代名詞的なキメのポーズを連想する振り付けや、キャッチーでダンサブルな歌&パフォーマンスで会場から大歓声。カラフルな照明がミラーボールのように会場を照らし、会場はますます熱気溢れるダンスフロアのようになる。一転、「ブルーディスコ」ではクールな歌声で自身初のディスコ曲をパフォーマンス。続く「IMAGE source」ではロック色全開の曲に乗せてロングトーンを披露するなど、夜公演では彼女のもともとのイメージだった「元気で明るい」アイドル像に、「クールで大人っぽい」楽曲が加わった最近の彼女らしいパフォーマンスが続く。

中盤には、お馴染みのクマのマスコット・あん肝もDJとして登場し、今回の目玉のひとつ、ソロでのダンスパートがスタート。夜公演のダンスは裏拍のギターやブラスが心地いいクール&ムーディな楽曲に合わせたしなやかで大人っぽい雰囲気で、彼女のダンスでの表現力を伝えるようだった。そのままあん肝がDJを担当し、ここからは公演屈指のパーティタイムに突入。カラフルな照明や観客の歓声を受けながら、「ナイトキューブパラドクス」の間奏でも本格的なダンスを披露したり、「傘賛歌」のサビでは観客が思わず真似したくなるような傘を連想する振りで踊ったりと、ダンスパーティをさらに盛り上げていった。

以降は「まだまだ声出せますか!」と伝えて始まった「Step and Go!!」や、イントロが鳴った瞬間歓声が上がった最初期のイメージソング「夢色アスタリスク」を披露。続いて「みんなへ」というタイトルでこれまでを振り返る手紙風の映像が始まり、過去の単独ライブや配信の様子に加えて、「これからも新しい私を見せていくよ!」など手書きのメッセージでリスナーへの思いが綴られる。そのまま静謐なイントロに続いてドレス衣装に着替えたときのそらが登場。バラード曲「サヨナラブロッサム」で会場が温かい空気に包まれた。

ライブ後半は、ふたたびギアを上げてラストスパート。ダンサブルな「エレクトリカル・サーフィン」を経て、「ゆっくり走れば風は吹く」では、初期の配信のサンプリングが挿入される間奏部分で、「6年間いろんなことがあったけど、みんなと一緒に歩いてこれたから、今の私はここにいるよ! 本当に本当に、ずっと応援してくれて、ありがとう!」と会場全体に響くような声で感謝を伝えて大歓声が起こった。「ここまでの道、長かったけど、私は長くてよかったなと思ってます。これからも、みんなと一緒に歩いていきたいよ!」と伝えて、最新ミニアルバム『STAR STAR☆T』から「はじまりは一直線」を披露して本編終了。新たなスタートを切った今ならではの“新しいはじまり”やこれからへの気持ちを歌った。

アンコールでは〈大切なキミへいつの日でも一番に届けよう/見・て・て 私ここで歌い続けること/約束するから〉とリスナーへの気持ちを歌った「ユメゾラ☆ファンファーレ」を涙ながらに熱唱し、間奏では「これからも、一緒に歩いてきてよ!」と伝えて大歓声が巻き起こる。その後、サッと涙を拭いてパフォーマンスしたラストのサビの力強さは、6周年を迎えてますます進化する彼女の姿を伝えるようだった。最後は一面青色のペンライトで埋め尽くされた会場に「綺麗な青色の海を私に見せてくれて、ありがとう!」と伝えてライブを終えた。

もともと、ときのそらは「餅は餅屋」を信条に、楽曲/ライブの演出やプロデュースはスタッフ陣を信頼して基本的にすべてを任せていたという(※1)。けれども、活動を続けていく中で、周囲のスタッフが彼女の意見を取り入れたいと伝えるようになり、最近の作品では、彼女の意見が様々な形で反映され始めている。このライブも同様で、彼女曰く、これまでで最も自分のアイデアも加えてでき上がったライブになったという。6周年を越えて、まだまだその先へと進む中で生まれつつある様々な変化や新たな挑戦、そしてデビュー以来変わらないことがひとつになった、今の彼女を祝福するようなライブだった。

※1:https://realsound.jp/2024/03/post-1602249.html

(文=杉山 仁)

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