〈ガルガンチュア音楽祭〉音楽で北陸三県つなぐ 金沢で開幕コンサート

池辺さんが被災地に思いを寄せて作った新曲が広上リーダーの指揮で披露された

  ●各県代表3歌手が魅了「能登に元気と勇気を」

  ●敦賀も、新幹線駅でファンファーレ

 「ガルガンチュア音楽祭」(北國新聞社特別協力)のオープニングコンサートは29日、金沢市の石川県立音楽堂コンサートホールで開かれ、北陸三県を代表する歌手3氏が英米ゆかりの楽曲で満場の聴衆をとりこにした。音楽祭の開幕を祝うファンファーレは恒例となった金沢、富山、福井の各駅に加え、今年3月に北陸新幹線が延伸した敦賀駅でも初めて同時に鳴り響き、北陸三県を音楽でつなぐ春の祭典の進化を印象付けた。

 オープニングコンサートには、金沢市出身のブロードウェー俳優由水南さん、越前市出身の俳優で元劇団四季の飯田洋輔さん、富山で活躍する歌手CHIKOさんが出演した。経験に裏打ちされた歌声でそれぞれポップスやミュージカルの名曲を披露し、金沢オペラ合唱団とコーラスユニット「ボックス・オブ・ジョイ」が加わったレ・ミゼラブルの「民衆の歌」では、能登半島地震への復興の思いを歌に乗せた。

 管弦楽はオーケストラ・アンサンブル金沢(OEK)とガルガン・アンサンブルが担当し、指揮者の広上淳一OEKアーティスティック・リーダーとOEK初代常任指揮者の天沼裕子さんがタクトを振った。

  ●池辺さん新曲で「祈り」

 音楽祭実行委員会長で作曲家の池辺晋一郎さんが被災地に思いを寄せながら手掛けた新曲「祈り、そして光―能登半島地震犠牲者の鎮魂として」が広上リーダーの指揮で初演された。曲は、最後に光が差すイメージを珠洲にちなんで鈴の音色で表現しており、深い旋律が聴衆の胸に染み入った。

 ロディ・マクドナルド少佐のバグパイプ演奏や「ダンスドライブ・ゼロunit」による華麗な舞も花を添えた。式典では馳浩知事、村山卓金沢市長があいさつした。

 午前11時、ファンファーレが鳴らされた金沢駅の鼓門では、宮下良和駅長が「能登に元気と勇気を。ガルガンチュア音楽祭、出発進行」と開幕を宣言した。金大フィルハーモニー管弦楽団がエルガーの「威風堂々」などを披露した。敦賀駅では敦賀市民ジュニア吹奏楽団が演奏した。

 金沢市内では各所で無料公演が開かれ、長町武家屋敷跡「野村家」には雅楽の調べが広がり、片町きららではサクソフォンの音色が響いた。このほか、ANAクラウンプラザホテル金沢では地元声楽家によるディナーショーが行われた。

 今年の音楽祭は「大西洋をわたる風~イギリス、アメリカの音楽~」がテーマで、期間中、初開催となる敦賀市を含む北陸三県の各市町で有料・無料の約180公演が行われる。本公演は5月3日から5日まで開かれる。

 ■きょうの主な公演

 ◇県小松市團十郎芸術劇場うらら▽午後5時 栗コーダーカルテット

経験に裏打ちされた歌声を響かせる由水さん=金沢市の県立音楽堂コンサートホール
経験に裏打ちされた歌声を響かせる飯田さん=金沢市の県立音楽堂コンサートホール
経験に裏打ちされた歌声を響かせるCHIKOさん=金沢市の県立音楽堂コンサートホール

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