『今一度』の意味とは? 使い方や例文、誤用例も紹介!

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「今一度」という言葉を、あなたはしっかりと理解できていますか。『今一度』という言葉は、ある行為や事柄を繰り返す際に用いられる表現です。本稿では、この言葉の意味合いや使用状況、適切な使い方について詳しく説明していきます。正しく使って語彙の幅を広げましょう。

『今一度』の意味

初めに、『今一度』の意味について見ていきましょう。

意味

『今一度』には、以下のような具体的な意味合いがあります。

  • ある行為や作業を再びやり直すこと。
  • 確認するために、もう一度見直したり聞き直したりすること。
  • 状況を改めて考え直したり、判断を見直したりすること。
  • チャンスを与えられ、もう一度試すこと。

つまり、『今一度』は『もう一回』『もう一度』と同じように、すでに行ったことを繰り返す際に使う表現で、作業の手順を最初からやり直したり、確認や判断を見直したり、機会を再び与えられたりする場合に用いられます。

英語表現

『今一度』を表すには次のような英語表現が使われます。

  • once again
  • once more
  • one more time
  • another time

これらは『もう一度』『再び』という意味で、ある行為や確認を繰り返すことを表します。

【例文】

  • Let me explain it once again. (もう一度説明させてください)
  • Could you say that one more time? (もう一度いってもらえますか? )
  • I'll give it another try. (もう一度試してみます)

このように、『once again』、『once more』、『one more time』、『another time』が『今一度』に相当する一般的な英語表現です。

『今一度』の例文

意味を理解したら実際に使ってみましょう。日常会話とビジネスでは表現方法が異なります。それぞれ適切な使い方や例文を見ていきましょう。

日常会話

日常会話で『今一度』を使う例文を3つご紹介します。

1. 分からない部分があったので、今一度教えてもらえますか?

この例文では、説明を受けた内容の一部が理解できなかったので、もう一度説明してもらうように求めています。

2. あの店はおいしかったから、家族を連れて今一度行ってみようと思う。

このように、前回よかった経験があり、もう一度同じ場所を訪れたいという意味合いで使えます。

3. 試験に落ちてしまったけど、今一度頑張って勉強する。

失敗した後でチャンスを再びつかみたい時に、『今一度』を使って意気込みを示すことも可能です。

いずれの例も、過去の経験や行為を踏まえた上で、同じことをもう一度行うという意味で『今一度』が用いられています。

ビジネスシーン

ビジネスの場面で『今一度』を使う例文3つをご紹介します。

1. 契約内容に些細な誤りがあったので、今一度確認の上、修正したバージョンをお送りします。

この例文では、重要な契約書の内容を再確認し、間違いがあれば修正するという意味合いで『今一度』が使われています。

2. 競合他社の新製品が発表されましたので、今一度マーケティング戦略を見直す必要があるかもしれません。

ここでは、状況の変化に伴い、既存の戦略を改めて検討し直す必要があることを『今一度』を用いて表現しています。

3. プレゼンテーションの準備が不十分だったようなので、今一度、資料の内容や話し方を練り直してください。

不十分だった準備状況を踏まえ、プレゼンの内容や方法を一から見直すよう、『今一度』を使って指示しています。

いずれの例も、ビジネスの現場で作業や判断を改めて行うことを『今一度』で表現しており、確認、見直し、やり直しの意味合いが込められています。

『今一度』の類語とその使い分け

今一度はいくつかの言葉に言い換えられます。今一度はやや堅い表現のため、使いやすい言葉に置き換えることで表現の幅が広がるでしょう。

【再度】

『もう一度』『再び』という意味で、ある行為や確認を繰り返すことを表す言葉です。

【今一度】

  • すぐに繰り返す場合に使う。
  • 同じ行為の繰り返しに用いられる。

【再度】

  • ある程度の間隔を置いて行う場合に使う。
  • 異なる行為にも使える。
  • 繰り返しの度合いが高い時に用いる。

つまり、『今一度』は直ちに同じ行為を繰り返す時、『再度』は間を置いてから行う場合や別の行為をする時に使うという具合に使い分けましょう。

もう一回・もう一度

『もう一度』『もう一回』と『今一度』はいずれも『繰り返す』という意味合いで使われますが、以下のような違いがあります。

【もう一度・もう一回】

  • 非常に広く一般的に使われる表現。
  • 時間的な制約はなく、過去にさかのぼってもよい。

【今一度】

  • もう一度を意味するが、やや丁寧な表現。
  • 現在進行形の行為について、すぐに繰り返すニュアンスが強い。

つまり、『もう一度』『もう一回』は過去や未来を問わず繰り返しを表す一般的な言い方です。一方の『今一度』は、現在の状況において直ちに再度行うことをやや丁寧にいい表します。

【例文】

  • 『もう一度説明してください』(過去の説明を繰り返す)
  • 『今一度確認します』(この場で確認作業を繰り返す)

このように、『今一度』には『現在の行為を直ちに繰り返す』という意味合いがあり、『もう一度』よりもタイミングを意識した使い分け可能です。

重ねて

『今一度』は同じ行為の繰り返しを意味し、『重ねて』は新たな別の行為を前回に重ねて行うことを意味します。『今一度説明します』は説明を繰り返す一方、『重ねてお願いします』はすでにした依頼に加えてさらに新しい依頼を行うという表現です。

状況によって使い分けましょう。

『今一度』の誤った使い方とその例

今一度を使う上での注意点や誤った使い方も紹介しておきます。

注意点

『今一度』の使い方の主な注意点を簡潔にまとめます。

  • 現在進行形の行為への使用に留意する。
  • 丁寧な言い回しとなるので、場面を選ぶ。
  • 繰り返しの程度が高い場合は『再度』を使う。
  • 類似の言い換え表現との使い分けに注意。
  • 否定的なニュアンスにならないよう気をつける。

『今一度』の使い方は、行為のタイミング、丁寧さ、繰り返しの程度など、さまざまな観点で注意が必要です。

誤用例

『今一度』の誤用例を2つ挙げます。

1. 昨日の試合で負けてしまったから、今一度頑張って勝とう。

この文章では『今一度』を使うのは不適切です。昨日の試合は過去の出来事なので、その後の試合に向けて『もう一度』頑張ろうという意味合いの方が自然といえます。

2. 私の説明が分かりにくかったみたいなので、重ねて今一度説明します。

ここでは『重ねて』と『今一度』をともに使うのが誤りです。『重ねて』は新しい別の行為を加えるニュアンスなので、同じ説明を繰り返す場合は『今一度』だけでよいでしょう。

このように、過去の出来事に対して『今一度』を使ったり、『重ねて』とともに使ったりするのは避けるべきです。『今一度』は現在進行中の行為を直ちに繰り返す際に、適切に使う必要があります。状況に合わせて正しい使い分けが大切です。

『今一度』の意味を理解しよう

『今一度』という言葉の意味合いと適切な使用方法について、今回詳しく説明してきました。この言葉には一定の丁寧さがあり、ビジネスシーンにおいても好ましい表現となります。

ただし、タイミングや繰り返しの程度、場面に合わせた使い分けが重要です。『もう一度』などの類似表現との違いにも注意を払う必要があります。注意点を踏まえた上で『今一度』を活用し、言葉遣いの幅を広げていきましょう。


[文・構成/grape編集部]

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