震災被災地支援で輪島塗展、今右衛門さん企画

「輪島塗と今右衛門」展を鑑賞する来場者=有田町赤絵町の今右衛門古陶磁美術館

 第120回有田陶器市が29日、有田町で開幕した。朝方は本降りの雨だったにもかかわらず、名物の「朝がゆ」を求める人々の長い傘の列ができた。今右衛門古陶磁美術館では、石川県能登地方の被災地支援を目的にした輪島塗展を開催。有田駅前の通りを初めて歩行者天国にしてキッチンカーを並べるなど、さまざまな企画で全国の焼き物ファンを迎えた。

 有田町赤絵町の今右衛門古陶磁美術館では、能登半島地震の被災地支援を目的にした企画展「輪島塗と今右衛門」が開かれている。今泉家が所有する漆芸品の輪島塗と、歴代今右衛門の作品を組み合わせて展示。来館者は日本を代表する伝統工芸の競演に見入っていた。

 色絵磁器の人間国宝(重要無形文化財保持者)十四代今泉今右衛門さん(61)は、同じ伝統工芸の輪島塗の作家と交流がある。1月の震災では輪島塗の工房も甚大な被害を受けており、多くの人に作品の魅力を知ってもらい、被災地に思いをはせてもらおうと企画した。

 今泉家が日常や客をもてなす際に使ってきた輪島塗50点以上を、歴代今右衛門が手がけた器とともに展示している。今右衛門さんは「互いの美しさが引き立てられ、魅力が増したみたい。たくさんの人に見に来てほしい」と呼びかける。会場には募金箱を設置している。

 企画展は5月26日まで。観覧料300円、高校生以下は無料。(青木宏文)

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