茶文化で中日交流に貢献 貴州省の若者が描く夢

茶文化で中日交流に貢献 貴州省の若者が描く夢

日本で開いていた茶会で日本の愛好家に講義する劉子贇さん。(資料写真、貴陽=新華社配信)

  【新華社貴陽4月30日】留学と仕事で滞在していた日本の富山県で茶文化に目覚め、同地に茶葉の貿易会社を立ち上げただけでなく、故郷の貴州省に帰って茶文化を通じた中日交流を計画している中国の若者がいる。

 劉子贇(りゅう・しいん)さん(33)。2012年4月に富山国際大学に入学し、環境デザインを専攻した。16年に卒業後は富山市内の不動産会社に入り、不動産投資の仕事を始めた。

茶文化で中日交流に貢献 貴州省の若者が描く夢

日本で開いていた茶会で日本の愛好家に講義する劉子贇さん。(資料写真、貴陽=新華社配信)

 「当時は仕事が忙しく、プレッシャーも大きかった。お茶を入れ味わうと、心が落ち着き、悩みを忘れ、冷静に考えることができた」。仕事を続けながらも、劉さんは茶文化にますます魅了され、茶は中日間の交流を促進する重要な文化の一つだと感じるようになった。

  19年からは定期的に茶会を開き始めた。日本人の茶愛好家と交流を深め、中国の茶葉産地や茶芸について紹介した。毎月2回開催し、好評を得たという。

茶文化で中日交流に貢献 貴州省の若者が描く夢

20日、起業した「貴州沈香文化交流センター」で香具の陳列を整える劉子贇さん。(貴陽=新華社記者/周宣妮)

 その頃、あることに気付いた。「雲貴地区(雲南・貴州両省)の茶葉は高山茶が多く、品質が良く、生産量も多いが、海外での知名度は高くない。向上の余地がある」。 故郷の茶葉の海外進出をサポートし、より多様で日本人のニーズに合った茶葉製品を作るため、劉さんは会社を辞め起業することにした。

  21年に富山市に貿易会社を設立し、中国茶葉の輸入を主に手がけるようになった。「主力は貴州省の抹茶、雲南省のプーアル茶、福建省の岩茶。中国の緑茶も日本人に大変人気がある」と劉さんは語る。

茶文化で中日交流に貢献 貴州省の若者が描く夢

20日、起業した「貴州沈香文化交流センター」で陳列棚を整える劉子贇さん。(貴陽=新華社記者/周宣妮)

 日本に十年以上滞在した劉さんは、海外市場への観察眼と日本での茶葉販売の経験を生かし、貴州茶葉の海外進出を支援するため、故郷の貴陽市でも起業。茶葉と沈香(じんこう)を組み合わせ、日本人の味覚と嗅覚をともに魅了する新たな道を切り拓いた。

 同市西部の清鎮市(県級市)にある茶馬古鎮にオープンした「貴州沈香文化交流センター」には各種の茶葉のほか、沈香でつくった工芸品が並ぶ。見学に訪れた観光客には劉さん自らが詳しく解説している。

 「スタートアップチームは4人で、中国の製茶工場やデザイン会社とも連携している。中国の茶葉製品を軸に『茶、香、器具』のオーダーメードサービスを主に企業に対して提供している」と劉さんは語る。

 中国で中級茶芸師の資格を取ったという劉さん。未来に対してもはっきりとしたビジョンがある。「今年は日本の茶道と香道の大家を貴州省に招き交流することを計画している。中国と海外の芸術家が交流し、友情を深められるプラットフォームをつくりたい。年末には貴州茶のPRで日本に行くつもりだ。中日両国の茶文化交流の促進に貢献したい」と夢はふくらむ。(記者/周宣妮)

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