【ガーデニング】アジサイを長く楽しむ育て方。来年も咲かせるコツとは?

母の日のプレゼントでも人気のアジサイ。近年は花色のバリエーションが豊富になり、かわいらしい花形も増えています。丈夫で育てやすい低木なので、来年も咲かせて長く楽しめるように育てましょう! ふつうの草花と何が違うのか、栽培のコツをご紹介します。

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多彩な種類が登場しているアジサイ

アジサイは日本原産の落葉低木で、欧米で盛んに品種改良されました。育種のもとになったガクアジサイ(ハイドランジア・マクロフィラ)の花は、中心部にあるつぶつぶした部分が「両性花」で雌しべと雄しべがあり、周辺にある花弁状のものを「装飾花」といいます。

ガクアジサイ

欧米ではおもに装飾花を大きなボール状に集めた品種改良が行われ、逆輸入されたものを西洋アジサイ(ハイドランジア)と呼んでいます。今では日本でも品種改良が盛んで、真紅からアンティークカラーまで豊富な花色や、八重咲きなどの花形も多彩です。

西洋アジサイ

近年は日本各地に分布するヤマアジサイ(ハイドランジア・セラタ)の品種も流通しています。西洋アジサイに比べて小型で楚々とした雰囲気。園芸店では直径10㎝ほどのポット苗で山野草コーナーで売られることが多く、葉に照りがないことで西洋アジサイと見分けます。ヤマアジサイには装飾花だけの手まり咲きもあります。

ヤマアジサイ‘ブルーバードレース’

ほかにも北米原産で純白の大きなボールになるアメリカアジサイ‘アナベル’や、円錐形の花房が特徴のカシワバアジサイなどが庭植えで人気です。さまざまなタイプの登場で、楽しみの幅もぐっと広がりました。

アメリカアジサイ‘アナベル’
カシワバアジサイ

買ってきたらまずは大きな鉢に植え替えよう

アジサイはおもに5~6号鉢(直径15~18㎝)で販売されています。買ってきたら、鉢から株を抜いて根鉢の様子をみてみましょう。根がいっぱいに回っていたら、水や養分を吸収しにくく水切れさせやすいので、2号ほど大きい7~8号(直径21~24㎝)鉢に植え替えます。

用土は一般的な培養土でOK。開花中は根鉢を崩さないで植えつけます。これで新たな根が伸びて、翌年開花したら次は落葉期の11月下旬~3月に植え替えます。鉢をこれ以上大きくしたくなければ根鉢を崩して土を落とし、新しい培養土をくわえて同じ鉢に植え替えます。

植え替えたら水が底穴から流れでるまでたっぷり与え、以後は表土が乾いたら同じように水やりします。水はできるだけ株元に注ぎましょう。鉢土がつねに湿っている状態では根腐れしやすいので気をつけます。水やりは用土に乾湿のメリハリをつけることが大切です。

土壌の酸度で花色が変わるのを覚えておこう

アジサイは低木とはいえ木本なので、庭に植えるとボリュームが出ます。庭に植える場合はスペースをよく考えましょう。ある程度の日陰でも咲きますが、夏の強光や西日が避けられる日当たりがベストです。日照不足では下葉が黄変するので、気をつけて植えつけます。

また、アジサイの花色は土の酸度に左右されます。日本の土壌は酸性に傾いているため、アジサイの花色は青系になりやすく、赤系は変化してしまうことがあります。欧米の土壌はアルカリに傾いているので、赤系の西洋アジサイを日本で地植えにすると花色が変わりやすいので注意しなくてなりません。

赤系のアジサイを庭植えする場合には、あらかじめ苦土石灰を1㎡あたり100gほど施して、土壌を整えておく必要があります。けれども‘ピンクアナベル’や日本原産のヤマアジサイ‘クレナイ’などは、土壌の影響をほとんど受けません。また、白いアジサイは花色が変化しないので安心です。

ヤマアジサイ‘クレナイ’

コンパクトに保ち、来年も咲かせるための剪定

花が終わって色あせてきたら、7月ごろには半分ほどの高さで枝を切ります。アジサイは今年伸びた枝に来年の花芽ができるので、花芽ができる前に株をコンパクトにするための剪定をするわけです。葉のあるすぐ上の位置で切ると、わき芽が伸びて花芽がつきます。

花後の剪定
切った位置から脇芽が伸びる

切った花房はドライフラワーにして楽しめます。花首を落とした剪定枝は茎ざしにして株をふやすこともできます。アジサイの葉は大きいので、葉を小さく切って蒸散を抑え、発根を促進する薬剤を添付するとよいでしょう。さし木後はビニール袋をかぶせるなどして湿度を保ちます。

ドライフラワー
さし木

最近はナチュラリスティックガーデンの流れで、アジサイの花がらをそのまま残して楽しみたいという方もいらっしゃるでしょう。そういう方にはアメリカアジサイ‘アナベル’やカシワバアジサイがおすすめです。

’アナベル‘などは、翌年伸び出る新梢に花芽ができるので、春先まで花がらを楽しんでから剪定しても来年の花芽を切り落としません。一般的なアジサイよりかなり深く、地際まで切り戻すと、新枝が勢いよく伸び出します。

切り戻した株元から出た新枝

切り戻したら、ゆっくり働く緩効性の固形肥料を株元に規定量与えて、お礼肥えとします。冬は葉を落とし休眠しますが、表土が乾いたらすこし間をおいて水やりしてください。3月に新芽が動き出したら、また肥料を与えて来年も花を楽しみましょう。


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