麻布台ヒルズで奮闘中 「根津松本 麻布台」店長・伊藤真生さん(24、頸城区出身) 「最高の魚」を提供

「根津松本 麻布台」の店長に就任した伊藤さん。24歳の若さで抜てきされた

東京都港区の商業施設、麻布台ヒルズ内に3月、高級鮮魚店「根津松本 麻布台」が開業した。店長として取り仕切るのは頸城区西福島出身の伊藤真生さん(24)。最高の魚の提供を通じて港区に魚のファンを増やしている。

同店は、取り扱う魚の質の高さから「日本一の魚屋」とも称される根津松本(東京都文京区)の初の支店。伊藤さんは県立海洋高卒業後に上京し、約1年後に根津松本の松本秀樹社長にスカウトされ就職。5年間の経験で実力を付け、新店舗を任された。

伊藤さんは毎朝、豊洲市場に通って仕入れをし、店内での調理加工、接客、店長としての事務作業など仕事は多岐にわたる。「お客さまの反応がじかに感じられる時がうれしい。良い魚が売れることに充実感を感じる」と話す。

立地や店の形式から、本店と麻布台では客層が変わってくる。本店は同店のファンが多いが、商業施設内にある麻布台店は他の買い物のついでに立ち寄る客が主。地域性から外国人客も多い。ノドグロやキンメダイなど、色が派手で客の目を引く魚を多く取り扱うなどの工夫をしている。麻布台店独自の看板商品として、大きく太いマイワシの目刺しを取り扱っており、人気を集めている。客が魚を選んでから、店内で焼いて提供するなどのサービスも無料で行っている。

5年間で魚業界にも変化があった。豊洲から「良い魚が減っている」と伊藤さんは話す。全国で水揚げされた魚がまず東京に集まるのではなく、漁港から直接全国に送られることが増えたことが背景にあるという。仕入れの際に良い魚を見抜く力が今まで以上に求められるが、「食べてハッとするような、飛び抜けておいしいものを置きたい」と力を込める。

開店して1カ月が経過したが、客のリピート率が高く、手応えを感じている。「港区に激震が走っていますよ」と笑顔を見せた。

高級食品店が並ぶ一角にある店舗。すぐに食べられる形式での販売で、港区のセレブの心をつかんでいる

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