富田鈴花×車、小坂菜緒×ゲーム……『日向坂ちゃんねる』から生まれたヒットコンテンツ

4月19日で日向坂46のYouTubeチャンネル『日向坂ちゃんねる』が開設から1周年を迎えた。日向坂46の2つ目のYouTubeチャンネルとなる同チャンネルは、楽曲のMVや「ひなリハ」(リハーサルダンス動画)、個人PV予告編などを配信しているアーティストチャンネルに対して、個人配信や生放送など、より広い層に向けられたチャンネルとなっている。

乃木坂46が2021年にYouTubeチャンネル『乃木坂配信中』を開設し、冠番組『乃木坂工事中』(テレビ東京系)の配信をはじめ、多様なニーズに応えるチャンネルとして人気を博す一方で、日向坂46のYouTubeでの発信はしばらくアーティストチャンネルに限られていた。しかし、よりグループの魅力を発信していくために、日向坂46も2023年4月に『日向坂ちゃんねる』を開設(ちなみに、5月1日には櫻坂46も2つ目のチャンネルを開設している)。アーティストチャンネルでは音楽的な側面の魅力しか伝えることができなかったが、どの世代にも門戸が開かれた多様なコンテンツを発信することのできるチャンネルを開設することで、新規ファンを開拓し、既存のファンのニーズに答えることにも成功しているように感じる。

4月19日には開設1周年と『ひなたフェス2024』開催決定を記念した生配信が行われ、佐々木美玲、金村美玖、富田鈴花、森本茉莉、山口陽世、正源司陽子、山下葉留花が出演。1年間でアップされた100本以上の動画の中からメンバーがイチオシの動画を紹介しており、話題となった動画についてメンバー本人から直接裏話も聞けるというファンに必見の配信となった。MCを務めた富田は「今日オススメした動画はもう見ている方からまだ見ていない方まで、どんな方でも好みの動画が見つかるので見てください」と語っていたが、同チャンネルの多彩なラインナップはきっと日向坂46のファンではない層にとっても見ていて面白い内容になっているはずだ。

開設から1年が経った現在のチャンネル登録者数は35万人を突破。1年で順調に登録者を伸ばしてきている。開設当初こそ、歌番組前の楽屋裏の様子やシングル発売の店頭挨拶といった普段は見られない仕事現場の裏側を発信していたが、河田陽菜の「【朝活】高尾山の山頂で朝ごはん作ってみた!【#ひなさんぽ】」を皮切りに、個人主体の企画も多数投稿されるようになった。

中でも「日向坂ちゃんねる」最初のヒット動画と言える「【始動】富田、初めてのマイカー選び!【ガチ】」は、“車の購入”という現在のYouTubeのトレンドを踏まえつつ、アイドルが本気で車選びをするという意外性が話題を呼び、その後も続く大人気シリーズとなった。『GO ON! NEXT ~サーキットで会いましょう~』(BSフジ)でもMCを務めていたことから、車への知識が豊富な富田が、車の色や内装に無邪気に感動している姿はいつにもまして新鮮で、おひさま(日向坂46ファンの呼称)だけではなく車好きの層へも広げていった。後日、富田が購入したスズキのジムニーシエラに乗って母親とドライブする動画も投稿されるなど、購入企画が終了した後も継続して富田の車動画は続いており、根強いファンを抱えるチャンネルを代表するコンテンツとなっている。

他にも、仲良しなメンバー同士のVlog動画も定期的に投稿されている。これまでに加藤史帆と小坂菜緒がユニバーサル・スタジオ・ジャパンを訪れたり、山口と平尾帆夏が地元の鳥取県へ帰省したり、佐々木美玲と高本彩花が船釣りに挑戦したりする動画は、テレビ番組では見られない2人の素の表情を見ることができる、ファンにとっては嬉しいコンテンツだ。これらに共通しているのはどの動画もテレビ的ではないということ。編集は最小限で、どれもメンバーが主体となって撮影しているのがYouTubeならではと言えるだろう。他にも小坂がゲストとともにゲームをプレイする実況動画はこれまでに2本投稿されており、今後のシリーズ化も期待されている。日向坂46はリアクションに長けているメンバーが多いため、ゲーム実況はどのメンバーがゲストに来ても面白い動画が生まれるはずだ。

最近では山下が成人式の帰りにやきもの散歩道を散歩する動画や平岡海月がいちご大福を食べ比べする動画など、四期生がソロで出演するコンテンツも増えてきており、知られざる個性を発信していく場所としても「日向坂ちゃんねる」はこれから機能していきそうだ。2周年に向けて、『日向坂ちゃんねる』がより盛り上がっていくことに期待したい。

(文=川崎龍也)

© 株式会社blueprint