福士蒼汰「やられるたびに超回復して強くなる」鳥山明氏『ドラゴンボール』から学んだ“生き方”

福士蒼汰 撮影/三浦龍司

俳優・福士蒼汰は2011年、『仮面ライダーフォーゼ』(テレビ朝日系)でテレビドラマに初主演、世間にその名を広く知られることとなった。さらに’13年には大反響を呼んだNHK連続テレビ小説『あまちゃん』で、ヒロインが一目惚れする高校の先輩を演じ、その人気を不動のものとする。彼にとって、生き方が変わることとなった変化「THE CHANGE」とはいったいなんだったのだろうか。【第1回/全4回】

今までドラマ、映画、舞台と様々な作品に出演し続け、順風満帆な役者人生を歩み続けてきた福士さん。’24年5月30日には31歳の誕生日を迎え、これからますます俳優として脂がのってくるところだが、年齢を重ねることは福士さんにとって生きやすさ ーもしくは生きづらさにつながるのだろうか?

「生きやすくなっていると思います。以前のほうが生きづらいと感じることが多かったように思います。僕は事務所に所属する前、俳優というお仕事に馴染みもなかったですし、まさか自分がそうなるとは考えてもいませんでした。

ところが俳優として仕事を始めると、いきなり今まで抱えたことのないような“責任”を持つことになりました。でも20代のころはまだその責任を持ち続ける“力”が無かった。

それでも続けていくうちにだんだんとその“責任を持つ力”がついてきて、自分のやりたいことに集中しながらも、自分の仕事への使命感や意義を考えるようになった、と思うんです」

影響を受けた作品は『ドラゴンボール』

そんな福士さんの考えに影響を与えているかもしれない作品が『ドラゴンボール』だ。先日急逝した漫画家・鳥山明氏による大ヒットコミックで、ご存じのように世界中で愛されている。

「従兄弟がカラーページが載っている“完全版コミック”を持っていて、それを全巻集めた後に、僕にくれたんです。それまで漫画はあんまり読んでこなかったのですが、それからはこの『ドラゴンボール』だけをひたすら繰り返して読み続けていました。

その影響で“ノーペイン、ノーゲイン(痛みなくして、前進なし)”といった、サイヤ人がやられるたびに超回復して強くなる、ような感覚は自分の中で重要なものになっていきました。何か苦しいことがあっても、これを乗り越えた先に自分の強さが出てくると思うようになったのは、確実にサイヤ人から学んでいる部分があるんだと思います」

『ドラゴンボール』の主人公・孫悟空はサイヤ人という宇宙人で、宇宙最強の戦闘民族であり、どんなに傷ついても必ず復活してくる力強さを持っている。爽やかで優しいイメージのある福士さんだが、そのなかにはサイヤ人の熱い魂が秘められているのかもしれない。

福士さんにとって「チェンジ」とは

最後に、福士さんにとって「チェンジ」、「変わる」という言葉はどういう意味を持つのかたずねた。

「やはり“生き方”に繋がります。“いま自分はこういう状態だけど、本当はこんな風に変わりたい”という思いは誰しもあるじゃないですか。自分も例えば“10年先の自分がどう変わっていきたいか”ということをよく考えたりしています。

今だけを見て生きるというのもすごく素敵だと思いますが、自分の性格上、それだと“良い未来にならないんじゃないか”と思ってしまうんです。変わっていく自分を想像して、そのためにいま何をすべきか考えることのほうが、自分にとってはプラスにつながっていく気がします」

そう話す福士さんの姿は、金色に燃え上がる髪を逆立て、まばゆいオーラを放つ、“超(スーパー)サイヤ人”そのもののように思えた。そんな福士さんの“生き方”は未来を切り開いていく変化「THE CHANGE」を生み出していくことだろう。

福士蒼汰 撮影/三浦龍司

ふくし・そうた
1993年5月30日、東京都生まれ。’11年にデビューして以来、数々のドラマや映画などで活躍。近年の主な出演作には、ドラマ『大奥シーズン1、2』、『弁護士ソドム』、『アイのない恋人たち』など。昨年Huluオリジナル『THE HEAD Season2』では、念願の海外進出を果たした。また、WOWOW『アクターズ・ショート・フィルム』では、初監督作品『イツキトミワ』を手掛けた。5月7日から公開の映画『湖の女たち』では、いままでにないダークなイメージのキャラクターにも挑戦している。

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