物流など「好影響」期待 東海環状道の沿線自治体 東海財務局調べ

 東海財務局の岐阜財務事務所と津財務事務所は「東海環状自動車に関する経済レポート」をまとめた。それによると、沿線地域すべての地方公共団体が「期待を寄せている」と回答。その他の地域でも約7割が「好影響がある(ややあるも含む)」と歓迎した。全体では「物流」に期待する声が最も多く、次いで「企業活動(生産)」だった。(岐阜)

 同自動車道は愛知、岐阜、三重の東海3県にまたがる延長約153キロの高規格道路。2年後の2026年度に岐阜・三重県間を結ぶ西回り区間の開通により、全線開通が予定されている。
 全線開通に伴って域内アクセスが向上し、輸送時間が大幅に短縮。大垣市から四日市市へ移動する場合、現在の約86分から67分に、大垣市から桑名市へは約63分から約48分へと、それぞれ時間短縮が見込まれる。

 全線開通により走行時間が短くなることで走行コストは、整備なしの状態と比べて年間で約1274億円削減できると試算する。

 なかでも四日市港の「ハブ機能強化」に向けた期待が示された。四日市港と大垣市間の所要時間短縮に伴い、北陸方面へのアクセスも向上。陸上から海上輸送へのモーダルシフトを促進し、ドライバー不足への対応につながるとしている。

 三重県内からは「四日市港の優位性が高まるため、これまで営業していなかった滋賀県などでもPRを進めている」(運輸業)など期待の声も高まっているという。

 今後、全線開通に伴う課題として岐阜県は足元の有効求人倍率の高止まり、三重県もさらなる人手不足が懸念されることから、開通効果を最大限に享受するため、「地域が一体となった取り組みが期待される」としている。

 同レポートは、岐阜・三重の両県66地方公共団体に対し、全線開通に寄せる期待などについてアンケート調査した。実施時期は昨年12月からことし1月。

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