【大人のひとり暮らし】文筆家 ツレヅレハナコさんが決断した、ひとり身の家づくりとは?[前編]

住まいは暮らしの土台です。戸建てと集合住宅、賃貸、それとも持ち家? ひとつひとつの選択が、新しい暮らしをつくります。今の自分、これからの自分にぴったりくる住まいを見つけた人たちの実例集『大人のひとり暮らし 住まいとお金』から、文筆家 ツレヅレハナコさんの暮らしを、2回にわたり紹介します。

PROFILE
文筆家
ツレヅレハナコさん
46 歳。出版社勤務を経て独立し、食にまつわる文筆家に。国内外を飛び回り、食の情報や台所道具について発信している。
インスタグラム@ turehana1

DATA
住居形態:持ち家/新築戸建て
築年数:3 年(居住3 年)
間取りと広さ:2DK(1F)、LD、DK(2F)(約100㎡)

高校時代に購入し、どの引っ越しにも同伴した長い付き合いのスツール。今は台所で活躍。
目玉焼きや塊肉などのオブジェは、ほとんどが友人からのプレゼント。

何もかも自分で決められる。 予算はこだわりの場所に注ぎ込みました

43歳のとき、自分のためだけの一戸建てを新築したツレヅレハナコさん。 建築士とともに建てた、こだわりの注文住宅です。

「当時借りていたマンションはとても気に入っていたし、購入の選択肢はまったくありませんでした。というより、そのときやることに追われて将来のことまで考える余裕がなかったのかもしれません」

のちに設計を依頼することになる建築士と偶然出会い、今後払い続ける予定の家賃総額を計算してみたハナコさん。そこで初めて「私にも家が買えるかも」と気がついたといいます。

「はじめは中古マンションをリフォームしようとたくさん物件を見ましたが、気に入ったものは見つかりませんでした。それならば、ゼロからつくりたい。私の場合、家を“買いたい”のではなく“つくりたい”という思いが強かったのだと思います。そして、想像以上にとても楽しかった!」

ひとり身の家づくりは、何もかも自分で決められることが最大のメリット。
「目に入るものすべてが大好きな風景であり、お気に入り。自分が求めるものを盛り込んだ理想の家が完成しました」

とはいえ、限られた予算との厳しい戦いも。
「すべてにこだわりだすとキリがないので、私の場合は仕事場となるオフィシャルなスペース(リビングや台所)を最優先。そのかわり自分しか使わないプライベートな寝室などは床材を安いものにするなど、徹底的にコストカットしました」

階段の手すりはアイアンにするつもりだったが、予算の関係で杉板に。とても美しく、結果 オーライで大満足。

家を建ててよかった! と思うこと

耐震性能を上げるための柱を利用した可動棚。この家 、この工法だからこそできた賜物で 、とても気に入っています。
自分の心と 向き合うことができた

注文住宅は選択と決断の連続ですが、予算は決まっています。価値観を見つめ直し、自分の心の声を聞く作業は楽しい半面、苦しくもありました。資金計画を立てるにあたり、ライフプランニングも実行。「フリーランスだから先のことはわからない」と背を向けていた将来について考えるいいきっかけになったと思います。

“ 財産がある”という安心感を得られた

不動産を所有していることは、私にとって安心材料のひとつ。この先まだ何十年も生きるだろうし、家は仕事場でもあります。長い時間を過ごす家が快適で、なおかつ自分の資産なのだから言うことなし。住宅ローンは借金なので、できる限り早く返したいとは思っていますが、日々の生活に関しては安心できる面が多いと感じています。

建てなければ経験できないイベントを楽しめた

特にいい思い出になったのは上棟式。最近では省かれることも多いそうですが、楽しそうだから絶対にやる!と張りきって準備。友人たちを招くため、上棟式の日程を早く確定してくれと何度も建築士に催促したほどです。キッチンメーカーのショールームなど、家づくりをしなければ立ち入らなかっただろう場所にもたくさん行きました。

苦手だった掃除や片づけに少し力を入れるようになった

これまで、料理以外の家事は苦手でした。掃除や整理整頓もあまり得意ではありません。でも自分の家ができたことによって少し真面目に取り組むようになりました。外壁や設備の修繕もおいおい必要になるため、今から少しずつ調べて準備しています。自分の家は自分で守り、育てる。そんな感覚で、何事も前向きに考えられています。

住まいのこと

家づくりは台所からスタート。こだわりが詰まっています

台所の窓から光が射すことは最優先事項でした

これまで住んだどの部屋においても、台所が命。一日の大半を過ごす場所なので、家づくりも台所を中心に始まりました。最もこだわったのは、光の陰影。ほどよく暗く、コンロ横の窓で “ サイド光”(陰影を感じさせる光)がつくれる土地と間取りを選びました。サイド光の中で湯を沸かしたり、料理をつくったりするその一瞬一瞬に幸せを感じています。

有孔ボードで引っかけ収納。ドライ野菜にも定位置を

台所とパントリーを仕切る壁は有孔ボード。私の吊るし好きを見抜いた建築士さんが提案してくれました。飾って見せたい大きな調理道具や、今まで押し入れや電気スタンドにかけておくしかなかったドライ野菜などを美しく収納できて大満足です。

世界各地で手に入れた鍋を置く棚はリビングとの境目に設置

国内外の旅先で鍋を手に入れ、コツコツと収集するのは私のライフワーク。リビングからも大好きな鍋たちを眺められるように、台所の入り口に専用棚をつくってもらいました。棟梁の造作です。これも家づくりの必須項目でした。ディスプレイ専用ではなく、どれも実際に使用している鍋。レイアウトは気分で変えています。

吊り戸棚はアクリル扉つき。見せながらホコリも防止

身長に合わせてシンク上に造作してもらった吊り戸棚。食器はずっと眺めていたいけれどホコリが気になるので、アクリル板の引き戸をつけました。よく使う食器類は最下段に、来客用は上段に飾っています。

ディスプレイを楽しむ専用棚を用意

手仕事の技が光るかご、旅先から連れて帰ったアルミ鍋などを飾って楽しむ棚です。冷蔵庫横の少し高い位置で、棟梁にとりつけてもらいました。

アンティークの食器棚には毎日眺めたい食器を飾って

東北出張の折、青森にあるアンティークショップ、Green furniture で購入した食器棚。新居のために買った大型家具第1 号です。ガラス戸の棚にはずっと眺めていたいお気に入りの食器、よく使う普段使いの食器を並べています。

※この記事は『大人のひとり暮らし 住まいとお金』主婦の友社編(主婦の友社)の内容をWeb掲載のため再編集しています。

※2023年10月12日に配信した記事を再編集しています。


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