円安と原油高が秋に直撃! 食品値上げラッシュで家計は「10万円」の負担増

何もかもが値上げで量も減り… 2年間で約20万円の負担増とはめまいがする…(C)日刊ゲンダイ

待てど暮らせど「賃金と物価の好循環」なんて起きやしない。家計負担が増すばかりだ。ゴールデンウイークでホッと一息つく間もなく、5月も食品値上げである。

帝国データバンク(TDB)が30日、食品主要195社の価格改定動向調査の結果を発表。5月の飲食料品の値上げは417品目で、前年同月(837品目)に比べて50.2%減少した。ただし、平均値上げ率は31%に上り、単月としては2022年以降初めて30%台に達した。

平均3割値上げとは穏やかではない。オリーブオイル製品や大型のペットボトル飲料などが値上げ率の大幅増に影響した。

「今回は事情が特殊です。天候不順によってコーヒー製品の原料となる豆や、オリーブなどが不作になるなど、不可抗力の理由が背景にあります。他にも原油高を背景とする包装・資材や、コスト上昇が続く物流費も値上げの大きな要因を占めています」(TDB情報統括本部・飯島大介氏)

■電気・ガス代は相次ぎ補助打ち切り

気になるのは、円安の影響だ。足元の相場は1ドル=156~157円の高水準で推移しており、「その水準が続けば、22年10月のように約8000品目が一気に値上げされるケースが秋以降に再来する可能性がある」(飯島大介氏)という。

食品値上げに加え、家計負担増の要因は目白押しだ。電気・ガス代は5月使用分から政府の激変緩和措置の補助額が半減し、6月使用分から補助が消滅する。電気代は4月使用分から再生可能エネルギー発電促進賦課金が引き上げられた。そこへ追い打ちをかけるのが円安と原油高だ。

みずほリサーチ&テクノロジーズの試算によると、2人以上世帯における家計負担増額は今年度、平均10万5506円に上るという。ちなみに昨年度の試算は平均9万4852円。22年度から約20万円の負担増だ。みずほリサーチ&テクノロジーズ調査部の安川亮太氏がこう指摘する。

「試算では今年4~6月期の円相場を1ドル=154円として、徐々に円高に振れていくと想定しました。ところが、足元では想定以上に円安が進んでいます。現在の円安・原油高が続けば、コストプッシュインフレが収まらず、試算以上に負担増が生じるかもしれません。物価と賃金が同時に上がっているように見えますが、個人消費の増加を含む『好循環』に至るかどうか見通せない状況です」

すでに23カ月連続マイナスの実質賃金は歴史的な円安のせいで、ますますプラスへの好転が見込めない。毎年10万円も家計負担が増えては、賃上げ効果なんて胸を張れたものではない。

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