4カ月ぶり営業再開 能登半島地震被災 老舗ラーメン店ニューハルピン GW限定、店内に活気

調理場に立つ笠原さん

元日の能登半島地震で大きな被害を受けた上越市中央5の老舗ラーメン店「ニューハルピン」。約4カ月ぶりに店舗営業を再開した。ただし6日までのゴールデンウイーク期間のみ。一時は廃業も覚悟していた店主の笠原直之さん(57)は「多くの支援や励ましをもらった。再開できてうれしい」と、しみじみとした口調で語る。

同店は1963年に創業。厨房(ちゅうぼう)のある母屋は築70年ほどで、創業時から変わらない味とたたずまいが常連客に愛されてきた。バイク漫画への登場を機に、ライダーの聖地としても知られる。

地震の影響で建物は傾き、水道管は破損し水漏れ、丼や皿は割れた。休業を余儀なくされ、この間の収入源はラーメンキットの通販と、店舗での持ち帰り販売だけとなった。

罹災(りさい)証明書を取得し、建物は「準半壊」の判定。業者は解体などに、数百万円の工事費がかかると見積もる。

連休明けに水道工事を予定しているが、工事期間の約3週間は営業ができない。少しでも生活の糧を得ようと、連休期間の営業再開を決めた。調理に必要な設備は応急処置を施した。地震で割れた丼は、親戚の「オーモリラーメン新井店」から譲り受けた。見舞金を届ける常連客もいた。

ただ現店舗での再建は未定。コロナ禍後の外食離れや物価高の影響による売り上げ減が頭を悩ませ、移転も視野に入れる。それでも「やれるところまでやりきりたいと、ようやく思えるようになった」と前を見据える。

1日は、朝から黙々と仕込みをする笠原さんの姿があった。調理場は、温かな湯気とスープの匂いに包まれていた。店の前では開店を待つ客が列をつくり、「元気でしたか」「楽しみにしてきました」と声をかける人もいた。笠原さんは笑顔で感謝を伝えていた。

横浜市からバイクで訪れた安達俊浩さん(35)は「再開を心待ちにしていた。長距離を走ってでも食べたくなる味。できる限り営業を続けてほしい」と話していた。

営業時間は午前11時から午後2時まで。また19日は、上越市岩木の公園「ビンクロパーク」のイベントに出店。調理販売はせず、冷凍ラーメンの実演販売を行う。詳細は各種SNSを参照。

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