日本三大温泉のひとつ、静岡県伊東温泉。温泉宿の激戦区ですが、数あるお宿の中で異彩を放っているのが「界 アンジン」です。大航海時代を思わせるノスタルジックな雰囲気と日本らしい温泉宿がうまくマッチしていて、なんだか新鮮。客室の素敵なインテリアから食事まで、詳しくお届けします!
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お宿の名前は、英国人航海士・三浦按針にちなんで命名
「界 アンジンのアンジンって、何?」と思った方は多いのではないでしょうか。16世紀末に日本に漂着した英国人航海士の名前なんです。元の名はウィリアム・アダムス。徳川家康に取り立てられ、三浦按針という日本名を授けられました。
こちらは界 アンジンで上映されているムービー(ご当地楽「アンジン紀行」)で描かれた三浦按針です。本物がこんなイケメンだったどうかはさておき、三浦按針が日本で初めて西洋式帆船の造船にあたった場所が、今の界 アンジンの経つ場所あたりなんだそうです。
館内は、三浦按針にまつわる英国文化や海、船旅をモチーフにした装飾でいっぱい。按針が手がけた帆船の約50分の1模型は、館内に3つも飾られています。
ここはフロント横のトラベルライブラリーというスペース。按針が英国出身だということにちなんで、さまざまなフレーバーティーが用意されていました。お好みの茶葉にハーブをミックスして、オリジナルティーがつくれるシステム。英国のローズペタル、日本の温州みかん、アメリカのオレンジピールと見た目も鮮やか♪
滞在中は何度も、異なる組み合わせでフレーバーティーを楽しめます。
客室はアートな空間。しかも全室オーシャンビュー
チェックイン後はさっそく客室へ。今回泊まるのは最上階のスイートルームです。広々とした空間、そして大きな窓からは伊東の海が眺め放題!
スイートルームに限らず、全45室すべてオーシャンビューのつくりなんだそうです。なんて贅沢なつくり…。
客室ごとにデザインは異なりますが、舵や櫂など船の古材をアートに見立てて各所にとり入れられているのが大きな特徴です。
リビングスペースでは、ソファでゆっくり座ってただただ海をぼんやり眺めたい…。この客室、ワークスペースもついているのですが、あくまでも滞在目的は「休養」を強くおすすめします。仕事は厳禁!です。
温泉→ビールの鉄板コースは、絶景のサンブエナデッキで完結
まだ明るい時間帯からゆっくりお湯に浸かれること。それが温泉旅の大きな醍醐味でしょう。界 アンジンの大浴場はインフィニティ温泉なんです!
内風呂はまるで海と一体化しているかのようなつくり。夕方の早い時間だと、空の色がお湯に反射してキラキラ光っています。アルカリ性単純温泉で、柔らかい肌触り。どんな年代でも肌質でも浸かりやすい、優しい泉質でした!
露天風呂も抜群の景色。朝風呂も気持ちいいです。
大浴場の入り口付近にある湯上がり処では、冷たいドリンクのおもてなしが。一番の注目はクラフトビール!インディア・ペール・エールがなんと飲み放題になっています。長い航海中傷まないようにホップを多く使っているため、苦味とアルコール度数が高いと言われているビールです。ここでも航海を匂わす、徹底したコンセプト維持に脱帽…!
何はともあれ、本格クラフトビールをグビっといただけるこの環境に乾杯です。
湯上がり処はサンブエナデッキというアウトドアスペースにつながっています。ここで飲むビールは景色がおつまみ、といったところでしょうか。
このデッキは夜25時まで、朝は5時から開放されています。空の色、雲の形、海の様子。どれも訪れるたびに変わっていて、見ていて飽きることがありません(午前中〜チェックアウトまではビールの提供は行われていませんので悪しからず!)
和会席に英国エッセンスをプラス。思わず写真を撮りたくなる!
お楽しみの夕食は、特別会席「伊勢海老と金目鯛のブイヤベース会席」。界ブランドでは王道の和会席にその土地ならではの食材や調理法、伝統文化を織り交ぜて目も舌も楽しいディナーを提供してくれるのです。ここ界 アンジンはやっぱり英国ミックス。
先付けにはローストビーフの舷窓見立てが登場です。舷窓とは船の窓のこと。按針の船旅に思いを馳せながら、シュー生地とお肉の食感の違いを楽しみます。わさびとサワークリームを合わせたソースが美味すぎる!
煮物椀は安定の和風で。季節を感じる桜餅の海老射込みです。上に乗せられた蚕豆のかき揚げや桜の花がなんともうれしい!暮らしニスタ編集部が訪れたのは2月末だったのですが、この時点で春を感じることができました。
八寸とお造り、酢の物を合わせた宝楽盛りは、ハイティーをイメージした盛りつけで。さすが英国風!
メインディッシュ第一弾の焼き物は牛フィレ肉と季節野菜の鉄鍋焼き。シンプルだからこそ、素材の美味しさがストレートに伝わります。
ブイヤベースは、伊勢海老と金目鯛、ムール貝、あさりをぐつぐつと。海の幸オールスターです。この後の土鍋ご飯と合わせてリゾットっぽくいただき大満足。
ちなみに朝食にもほんのり英国の香りが。
和定食に加えて、あたたかいスコッチブロス(肉や野菜、穀物類を煮込んだスコットランドの代表的スープ)が登場です。日本の味噌汁のようなイメージですね!
三浦按針もスコッチブロス、食べていたのでしょうか。気になるところです。
界 アンジンの映えスポットは?5つご紹介
どこを見渡しても絵になる界 アンジン、編集部が特に「素敵♡」と目をキラキラさせたスポットを5つご紹介します。
■スイートルームのワーキングスペース
界 アンジンは、スイートルームにだけレコードプレーヤーが設置されています。レコードも3枚…!ここは壁際のワーキングスペース。チェアに座って、紅茶やコーヒー(もちろんビールでもOK)を飲みながら好きなレコードを回す贅沢時間。みなさんにもぜひ味わってほしい!
■食事処内の古書ウォール
食事処はある意味、館内のどこよりも映える空間でした。これは、テーブルを仕切るパーテーション。古書を詰め込んでアートに仕立てられています。ついついタイトルをじっくり見てしまう…。施設の内装を手がけているのは、「スーパーポテト」という空間デザイン設計会社だそう。
■食事処内のワイヤー新聞
同じく食事処内のパーテーション。ワイヤーを一筆書きのように折り曲げ、文字に見立てています。どうやら過去の新聞をモチーフにしているよう。ワイヤーだけでここまで表現できるのか、とびっくりです。これはぜひご自身の目で確認してほしい!
■夕暮れどきの景色とワイン
食事処で窓際の席に案内されたら運がいい!海を眺めながらの食事は格別です。空が移り変わっていく様子と一緒に、食事やワインを撮影したくなる。そんな衝動が抑えられなくなるはずです。写真のワインは、伊豆産のシャルドネを使用した中伊豆ワイナリーヒルズの白ワイン「伊豆シャルドネ」。
ショップも要チェック!
フロントのすぐ横にあるショップでは、界 アンジンオリジナルのおみやげと伊東の名産物を販売しています。ショップ全体が船内をイメージしたようなデザインが素敵。まず編集部が食いついたのは、モビールの豆船です。
落花生の殻を船に見立ててモビール!静岡を拠点に活動するアーティスト、三枝文子さんとコラボしたのだそうです。ショップに飾られているビッグサイズは非売品ですが、もう少しコンパクトな1艘、3艘、5艘が販売されていました。
リビングに飾るなら3艘(3,240円)くらいがちょうどいいかも!
客室に置いてあった素敵なカップも発見。
Essense SAIKAI JAPAN esカップ(各1,100円)です。釉薬と素焼きの絶妙なバランス、そして大人な色使い…。そばちょこ、デザートカップにも使えそうですね。
どうせなら紅茶缶(2g×5ティーバックで 770円)もセットで購入したい!こちらも客室でいただける紅茶で、べにふうきのほかブレンドティー、みかんジンジャーもあります。
最後のおまけで、サンブエナデッキの朝焼けを追加
ここは、いつ訪れても違った景色が見える不思議な空間でした。
日の出の時間は特に人が少なく、デッキをひとり占めできるタイミングが生まれるかも。按針のように、航海中の気分を味わってみてください。
今回「暮らしニスタ」が訪れたのは「界 アンジン」
住所/静岡県伊東市渚町5-12
TEL/予約050-3134-8092(9:30AM〜6:00PM)
▶https://hoshinoresorts.com/ja/hotels/kaianjin/
撮影/榊 水麗 取材・文/佐藤望美