【5月2日付編集日記】手がかり

 5歳以下の子どもの6割以上が、深刻な栄養失調に陥っていた。「予算を使わず、半年でこれを何とかしてくれ」。ベトナム政府からそう頼まれた米国の国際支援団体のメンバーは、頭を抱えたに違いない

 ▼これまでの支援は、食べ物を配ることだけ。それが途切れてしまうと、また栄養が足りなくなるのを繰り返していた。悪循環を断つには、現地の人々が自力で何とかできる方法を一緒に見つけるしかないと考えた

 ▼現地に到着したメンバーが調べたのは、栄養失調の子どもではなく、同じように貧しい環境で健康を保っている子ども。水田にいるエビやカニを食べさせている、食事の量ではなく回数が多いなどの共通項が見つかり、改善の糸口となった

 ▼浜通りの13市町村を除く46市町村のうち、約7割が人口減少に歯止めがかからず、将来的には消滅する可能性がある―。民間組織の報告には驚きつつも、やっぱりとの思いもある。20~30代の女性が大きく減るとの予測が根拠となっている

 ▼なぜ出て行くのかばかりに焦点が当たると、何だか責任を押しつけているような雰囲気が漂う。まずは、そこに住み続ける女性にこそ理由を聞いてみては。きっと、いい手掛かりが見つかる。

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