巨人ドラ1西舘勇陽が開幕1カ月で直面…「プロの壁」の壊し方を元広島投手コーチが伝授

西舘勇陽(C)日刊ゲンダイ

巨人のドラフト1位・西舘勇陽(22=中大)が「壁」にぶち当たった。

開幕から10試合連続無失点、ホールドの新人記録がストップした先月26日のDeNA戦に続き、同30日も失点。開幕からの快進撃が一転、登板2試合連続で負け投手になった。

チームが0-4で敗れたこの日は登板はなかったものの、今季は12試合に登板し、0勝2敗10ホールド。防御率は4.22に悪化した。

「開幕から1カ月が経過したこの時期の新人投手は、肉体的な疲労と同時に、相手チームにどんな投手かという個人情報が伝わり、対応され始める頃。これが『プロの壁』です」と広島で投手コーチや編成部長などを歴任した川端順氏が続ける。

「私が投手コーチだった頃、専大からドラフト2位で入団した黒田博樹(現広島球団アドバイザー)もそうでした。初登板初完投勝利を挙げたものの、その後はフォークは落ちないし、苦しんでいた。すると、左足をそれまでより高く上げ、軸足に体重を乗せて一瞬止めるフォームに改造。相手のタイミングをずらせるようになり、球威も増した。トヨタ自動車からドラ4で入ってきた左投手の高橋建(現広島二軍投手コーチ)は、キャッチボールをやりながら右打者への外角に逃げるシンカーを習得した。ドラ1で青学大から入団した沢崎俊和は、もともと横のスライダーが良かったが、縦のスライダーを覚え、2種類を投げ分けるようになった。コーチの私がアドバイスしたわけではありません。この3人は新人時代のシーズン中に自分で考え、変化したことで、その後の飛躍につなげたのです」

西舘は力のある直球とカットボール、スライダーのコンビネーションで打ち取っていくタイプ。川端氏が続ける。

「西舘は球威はあるものの、フォークに自信がない点など、どこか新人時代の黒田に似ています。今のところ、左打者に対して逃げていく球種がない。左投手の話になりますが、先ほど言ったように高橋建はシンカーを覚えて飛躍しました。黒田のようにフォームを見直して相手を崩すか、もしくは高橋のように新球を覚えるか。どちらかでしょう。いずれにしろ、自分で考えて乗り越えるしかありません」

新人は変化を恐れてはいけないのだ。

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日刊ゲンダイで毎年恒例の人気企画「ドラフト家庭の事情」(2023年版)では、巨人から西舘をピックアップ。母・久美子さんは学生時代に柔道で県制覇した実力者で、父・満弥さんはバレーボールとクロスカントリースキーに打ち込むなどしていたスポーツ一家で西舘は育った。

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