イタリア人が感じた「動画で見ているのと違う」東京の魅力 「とても興味深い街」

大学院で多岐にわたる研究をしているイタリア人のジャンルカ・プルソーニさん【写真提供:ジャンルカ・プルソーニ】

技術の進化によって、遠い国でもその様子を映像で見ることができるようになりました。しかし、実際にその場所へ行かなければ感じられないことは、たくさんあります。3度の訪日経験があるイタリア人は、日本は映像で見ていたのとは印象が違う国だと感じたそうです。そして、街や人にすっかり魅了され、再び日本を訪れる計画をしています。心に刻まれている、おいしい日本食とはなんだったのでしょうか。

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「とても興味深い街。街が機能している」

イタリア人のジャンルカ・プルソーニさんは、ペルージャ大学で人類学を学んだのち、ミラノの出版社に勤務。その後は、フィンランドやアメリカの大学院で、人類学や哲学、芸術などを学び、現在は論文の執筆をしているそうです。

そんなジャンルカさんが初めて日本へ来たのは2018年。きっかけは、日本人の妻がいる、アメリカ・コーネル大学の元教授からすすめられたことでした。東京、京都、神戸、淡路島を旅した最初の訪日ですっかり日本に魅了され、これまでに3度滞在したことがあります。

「東京に到着して、すぐに素晴らしいと感じました。アメリカのニューヨークは、映画で見ている印象と実際に行ってみた印象は変わらなかった。でも、東京は動画やテレビで見ているのと違って、とても興味深い街でした。交通費は高いけど、街が機能していて、安全で、美しいと思いました」

訪日外国人が驚くことのひとつに、東京は多くの人が行き交う都会にもかかわらず、街中にゴミがあまり落ちていないことが挙げられます。また、ビル群の中に、緑豊かな公園や古い神社、お寺が共存する独特な景観も特徴的です。

名所や街中の雰囲気などは映像でも見られますが、衛生意識の高さや急に現れる自然などは、自分の足で歩いてみないと感じにくいことでしょう。実際にその場に立ったジャンルカさんは、東京に街としての息遣いを感じ、強く興味を持ったそうです。そこで翌年、日本に1か月の短期留学をしました。

「日本を理解するには、日本語を学んだだけでは不十分」

留学生活で、ジャンルカさんが気に入った東京の街は目黒。「渋谷や銀座とは違う、落ち着きのある雰囲気が気に入ったよ」と、その理由を話します。

居酒屋などで、ビールを飲みながら友達と語り合うのが好きだというジャンルカさん。そうした時間を過ごすなかで、「日本人は穏やかだが、いろいろなことに興味を持っている」と感じたそうです。そして、さらに日本をよく知りたいと考えるようになりました。

「日本を理解するには、日本語を学んだだけでは不十分で、文化を学ばなければならないと思っています。今は日本人の友達ができて話すようになり、日本語が上達してきました。文法ばかり勉強しても、ロボットみたいではいけません。文化を知って、やっと言葉も話せるようになるものでしょう」

ざるそばや天ぷらよりも好きな食べ物とは

日本文化を語るうえで、いまや欠かせないもののひとつは、日本の食事です。もちろんジャンルカさんも、日本のグルメをさまざま楽しんでいます。

とくに好きな日本食は「ざるそばや、天ぷら」。しかし、最も強く記憶に残った食べ物は別にあるそうです。

「名古屋名物のウナギがおいしかったです。薬味がたくさんついてきました」

ジャンルカさんが気に入ったのは「ひつまぶし」。香ばしく焼き上げたウナギのかば焼きを短冊切りにし、おひつに入ったごはんの上に並べます。お好みで薬味やだしを足して、さまざまな食べ方を楽しめる贅沢な一品です。

日本人を「穏やかだが、いろいろなことに興味を持っている」と感じたジャンルカさん。ひつまぶしのバリエーション豊富な食べ方のなかにも、日本らしさを感じたのかもしれません。

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