能登地震なぜ復興が遅れているのか…馳知事は水道復旧めぐって “お花畑” 発言

被災地応援イベントで挨拶つする馳知事(写真・時事通信)

能登半島地震の発生から5月1日で4カ月が経過した。石川県内でこれまで245人の死亡が確認され、3人がいまなお行方不明となっている。県によると、4月30日時点で避難所に身を寄せている被災者は4606人になるという。

「被害を受けた住宅は7万8568棟で、1割を超える8142棟が全壊でした。仮設住宅の建設も進んではいますが、県が6421戸の完成を目指しているのに対して、4月末時点で完成したのは3368戸。まだまだ不足しています」(社会部記者)

仮設住宅の工事着工を妨げている要因のひとつに、倒壊家屋の撤去が進んでいないことがある。

「所有者に代わって自治体が家屋を解体撤去する『公費解体』の手続き申請がおこなわれていますが、解体しなければならない家屋が2万棟以上あると言われるなかで、申請済みは約8500棟にとどまっています。

申請が少ない背景には、家屋が未登記だったり、数十年も前に亡くなった方がそのまま所有者として登記されているケースがあるからです。

そうすると、解体の前提である『所有者の同意』が不可能だったり、権利確認などに時間がかかったりします。そのうえ、解体業者の不足もあり、撤去できたのは緊急性がある家屋も含めて100棟ほどになっているのです」(同)

倒壊家屋の撤去が進まないことで、「断水」の解消にも影響が出ている。メインとなる本管は徐々に復旧しているが、そこから個々の住宅につながる水道管の復旧が進んでいないのだ。

「珠洲市、輪島市、能登町の3780戸で断水が続いています。本管から家屋に引き込む水道管の復旧工事ができないのです。

県内の水道工事業者には依頼が殺到しているので、各家庭が個別に県外業者に工事をお願いするのですが、遠方から来るため交通費などが請求され、どうしても県内業者より割高になってしまいます」(同)

5月1日、金沢市内の避難所を視察した馳浩知事は、被災者からこのことを聞き、記者団に「県でこのぶん(増加した経費)を負担してあげられないかと。6月の議会を待たずに何かできないかなあと(考えています)」と、追加経費を補助する方針を示したのだが……この発言について、“まるでお花畑” と能天気ぶりを指摘する声が相次いでいる。

SNSには、

《馳知事はこの4ヶ月間、何やってたんですかね?》

《5月1日に住民から聞かされるまで、馳知事はこれを知らなかったのだろうか。対応が遅すぎる…》

《復旧する為の業者が足りなくなるのは、かなり前から判り切っていた。個人レベルでも金銭的な事や修繕の問題が出る事も判っていた。それを言われて今更気が付くとは》

など対応の遅さに批判の声があがっていた。被災者の疲弊は募るばかりである。

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