山菜採り 遭難14件17人 岩手県内・昨年 道迷い、クマ被害も

 県警は、2023年に発生した山菜採りに伴う遭難の県内発生状況をまとめた。発生件数は14件、遭難者は17人で、いずれも過去5年間で最も多かった。うち1人が亡くなっている。遭難者のうち高齢者が占める割合が高いため、県警は装備などを万全にし、体力に応じた無理のない行動計画で入山するよう呼び掛けている。

 過去5年間では54件発生し63人が遭難。うち4人が死亡している。原因別では「道迷い」が最も多い34人で54%を占め、クマによる被害も23人、36%と比較的多くなっている。ほかに滑落や病気、疲労などがある。死亡原因は病気が2人、クマによる被害と滑落が各1人だった。

 年代別で見ると、30代1人、40代、50代各5人、60代11人、70代27人、80歳以上14人。60代以上が52人で全体の8割以上を占め、道迷いとクマによる被害が9割近くとなっている。

 山岳遭難防止策として、県警では▽気象情報の把握▽食料、雨具、笛や携帯電話の携行▽複数での入山▽ラジオやクマよけ鈴の活用▽夜間、明け方、夕方の入山回避―などを挙げて注意を喚起している。

 藤林隆博生活安全部長は「慣れた山であっても油断せず、迷わないように気を付けることが大事」とした上で、「気象情報の把握のほか、家族に行き先や帰宅時間を知らせ、食料や懐中電灯を持つなど万が一に備えた装備で出掛けてほしい。クマが活動しやすい夜間や早朝の入山をできるだけ避け、健康状態を考慮し、無理せず山菜採りを楽しんでほしい」と呼び掛けている。

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