中村アン「切った瞬間のことはすごく覚えています」トレードマークの長髪をバッサリ!「もう迷いなくいけたって感じです」

中村アン 撮影/有坂政晴

ポジティブな印象で華やいだ笑顔で魅了する中村アン。“女性のなりたいカラダNO.1”の美ボディとして圧倒的な支持を得る一方で、トレードマークでもある“かきあげヘア”で世の多くの女性を虜にしていた。近年、俳優としての評価が上がっている中村アンにとっての“THE CHANGE”に迫る。【第2回/全3回】

2015年に放映されたドラマ『5→9~私に恋したお坊さん~』(フジテレビ系)で本格的に俳優の道を歩み始めた中村アン。2018年に放映されたラブコメ・ドラマ『ラブリラン』でドラマ初主演を務めた。

「3か月という期間でしたが、やっぱり主演をやらせていただいて、大変だったことはもちろんありましたが、それを乗り越えたことは自信にもなりました。それから俳優という仕事に対して欲も出てきたとも思いますし、学ばせていただいたという感じはあります」

2021年に放映されたドラマ『着飾る恋には理由があって』(TBS系)では役作りのためにトレードマークともいえるロングヘアを30センチ以上カットした。

「髪を切るために、理由が欲しかったんです。意味を持って切らないとダメだなって思っていたんですね。ちょうどその頃に、以前出演させてもらったドラマ『グランメゾン東京』(2019年、TBS系)でお世話になった監督さんから“髪、切らないかな”って言われたので、もう迷いなくいけたって感じでした。むしろ、切ることを私自身が待っていたところがあったんですよ」

「一瞬誰だか判らなかった……」が快感

髪を切ったことが、中村さん自身に大きな変化を与えた。

「切った瞬間のことはすごく覚えています。もうメッチャ軽くなったんですよ。いろんなものが削ぎ落とされた感じがしたんです。それまでは、自分が自分のイメージに縛られていて、こうでなきゃいけないとか、求められたことにちゃんと応えなきゃ……とか、そういったことが結構あったんです。もちろん、そうしてきたから、自分がここまでやってこれたというのはありましたけど。それまで自分を縛っていた枷みたいなものが取っ払えた。髪を切った時に、一瞬誰だか判らなかった……みたいなことがありましたが、それ自体がすごい快感といいますか、開放感でもありましたね」

現在放映中で主演を務めているドラマ『約束~16年目の真実~』でもショートヘアを披露している。

「ちょっと髪も伸びていたんですけど、台本を読ませて頂いた時に演じるキャラがボーイッシュな感じがしたので、少しだけ切ったんです」

中村さんが演じるのは主人公である桐生葵。16年前に起きた連続殺人事件で逮捕され、留置所内で病死した父親の無実を証明し、事件の真相を追っていく。そんな中で、新たな殺人事件が発生。16年前の事件の真相は? 真犯人は?──という考察系心理サスペンスだ。これまでもたくさんの役をやってきたが、(意外や)本格的な心理サスペンスものは本作が初めてだそうだ。

「お話を戴いた時は“ぜひ!”という感じでした。何より完全オリジナルということなので、どんな話なのかすごく気になりました。台本がとにかく面白くて、これが画になったらどうなるんだろうって考えたら、私も含めた演者さんのお芝居がすごく楽しみに思えてきました」

出演者にも真犯人は知らされていない

演じる桐生葵については

「父の無実を晴らすために刑事になり、事件の真実を知りたくて、その真実に向かって、唯々ひたすら向き合って生きているドライな女性ですね。私自身もなんでも知りたがるところがあるので、そこは重なるかもしれません(笑)」

本ドラマは実は出演者にも真犯人は知らされていない。そういう意味では演者も視聴者と同じ目線なのだ。

「取り調べのシーンは、みんなお互いをバチバチ疑っているんです。捜査会議のシーンはみんなのセリフ量が一挙に増えるので大変なんですよ。誰かが長ゼリフの練習をしている時はいま話し掛けちゃダメって感じがビシビシ伝わってくるし。傍で必死になって誰かが喋っているのを聞いていると、内心で“頑張れ!”って応援しています(笑)。でも、それ以外のシーンはみんな仲が良くて、和やかで楽しいです」

葵はどこか他人を寄せ付けないクールな感じが伝わってくるが、そのあたりの役作りについては、どんな感じで臨んでいるのだろうか──?

中村アン(なかむら・あん)
1987年9月17日、東京都生まれ。多くの女性ファッション誌でのモデルを経て、2015年に放映されたドラマ『5→9~私に恋したお坊さん~』で本格的に俳優業を始める。近年ではドラマ『グランメゾン東京』、『DCU~手錠を持ったダイバー~』などの話題作に出演。

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