「え、まさかおまえが…!?」懐かしのゲームに登場する「実はラスボスだった仲間」たち

PS2ソフト『龍が如く』

登場初期は仲間だったのに、実は作品の“ラスボス”だった……という衝撃の経歴を持つキャラクターがゲーム作品には数多く登場している。仲間と思いきや最大の敵だった、意外な立ち回りを見せたラスボスキャラクターたちについて見ていこう。

■頂点を掴み取るため“修羅”へと変貌した親友…『龍が如く』錦山彰

2005年にセガより発売されたPS2用ソフト『龍が如く』は、裏社会に生きる人々に焦点を当てた壮大なドラマが展開されるアクションアドベンチャー作品だ。爽快感あふれるバトルはもちろん、現実世界の新宿・歌舞伎町同様に作り上げられた“神室町”を気ままに散策できる高い自由度が多くのファンを惹きつけた。

人気シリーズの“初代”となった記念すべき本作において、主人公の親友であり、同時に因縁の相手として立ちはだかるのが、堂島組に所属する若き極道・錦山彰だ。

錦山は本作の主人公・桐生一馬とは幼馴染で、ともに児童養護施設「ヒマワリ」を出たあと、東城会の大幹部・風間新太郎に憧れて極道の道に足を踏み入れた。常に明るく立ち振る舞うことから処世術にも長けており、組の内外問わずその交友関係は広い。極道の人間でありながら、難病を抱えた妹のために奮起するなど心優しい一面も兼ね備えている。

そんな彼の運命は物語冒頭、もう一人の親友・澤村由美が堂島組組長に誘拐されたことで、徐々に狂い始めていく。

由美を救うためとはいえ、錦山は衝動的に組長を殺害。己の過ちに呆然とする錦山だったが、彼に病弱な妹がいることを鑑みた桐生がこの罪を被り、代わりに服役することとなった。

その後もことあるごとに桐生と比べられ、妹の死、救い出した由美の失踪と不幸が重なり、彼の精神はすり減っていく。親友や家族、そして組織のなかの居場所すら失いかけた錦山は豹変し、あらゆるものを利用して高みへと昇ろうとする“修羅”として生まれ変わった。

錦山組組長までのし上がった彼は頂点を掴むため、遂には真実に辿り着いた親友・桐生と対峙。己が抱いた野望を叶えるため、かつての親友との大喧嘩に臨むこととなる。

悲しみの連鎖により野心に憑りつかれ変貌してしまった、なんとも物悲しい親友キャラクターだ。

■再現度の高さ、ファンサービスはまさに必見! 『スーパーロボット大戦IMPACT』クワトロ・バジーナ

2002年にバンプレストより発売されたPS2用ソフト『スーパーロボット大戦IMPACT』は、PS2で発売された初の『スパロボ』作品で、かつて発売された『スーパーロボット大戦COMPACT2』三部作のリメイクでもある。

作品の垣根を超え、さまざまなロボットが一堂に会するシミュレーションRPGという点は変わらず、「援護」、「同時援護攻撃」、「戦艦援護」といった新たなシステムがさらに戦略の幅を広げている。

シリーズのなかでもかなりの大ボリュームを誇る作品なのだが、実は“隠しルート”に進むことで本来のラスボスではなく、味方側にいる「とあるキャラクター」が立ちはだかる最終ステージに進むことができる。

そのキャラクターとは『機動戦士Zガンダム』の主要キャラクターの一人、クワトロ・バジーナだ。

実はこの隠しルート、『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』をベースとなっており、味方として活躍していたクワトロがシャア・アズナブルとしてプレイヤーに立ちはだかることとなる。

『スパロボ』ゆえのファンサービスも盛り込まれており、『逆襲のシャア』の主題歌『BEYOND THE TIME』が流れるだけでなく、アムロ、カミーユ、ジュドーといった面々とシャアの特殊会話、アクシズを『スパロボ』に参戦した機体たちが原作通りに押し返すシーン……など、原作ファンのみならず“スパロボファン”にとってもたまらない演出ばかり。

味方がラスボスになってしまう衝撃的な内容もさることながら、クオリティの高いファンサービスの数々にも唸らされてしまう最終戦だ。

■数々の絶望が存在しなかった“魔王”を生む…『LIVE A LIVE』オルステッド

1994年にスクウェア(現:スクウェア・エニックス)より発売されたSFC用ソフト『LIVE A LIVE』は、場所・時代が異なる複数の物語が巧妙に絡み合っていく名作RPG作品である。

原始時代から現代、はては近未来にいたるまで、さまざまな世界観を舞台にそれぞれの主人公たちの冒険が描かれているのだが、8つ目のシナリオである「中世編」の主人公こそ、本作の“象徴”とも呼べる重要なポジションのキャラクターだ。

中世編は剣士・オルステッドが、姫を助けるため魔王に挑む……という従来の王道ファンタジー作品らしいストーリー構成。しかし、その展開はまさに過酷の一言に尽きる。

魔王の討伐は失敗に終わり、仲間や親友を失ったオルステッド。さらに帰国後、幻覚を見せられたことで国王を手にかけてしまい、国からも追われる身となってしまった。

それでも姫を救い出そうと奮闘するオルステッドだったが、再び赴いた魔王山にて、なんと死んだはずの親友・ストレイボウと再会。彼こそが一連の事件を引き起こした黒幕であることを知る。

親友すら撃破し、やっと姫・アリシアを救出できたかに見えたのだが、姫はすでにストレイボウに心移りしており、愛する人を殺したオルステッドを激しく責め立てたのち、自決してしまう。

仲間を失い、国に追われ、親友に裏切られ、姫に拒絶され……ありとあらゆるものを失ったオルステッドは、その激しい絶望に身を任せ、どこにもいなかった“魔王”へと変貌してしまった。

彼こそが本作の端々に登場する「魔王・オディオ」その人であり、中世編は魔王が生まれるまでの過程を描いたものだったのだ。

魔王を倒そうと奮起する勇者かと思いきや、数々の絶望から自身が魔王そのものになってしまった、なんともいたたまれないキャラクターである。

ゲームによっては仲間の裏切り、寝がえりというイベントも珍しくはないが、かつてともに戦った仲間が“ラスボス”として登場する展開は、プレイヤーたちを大いに驚かせてくれる。かつての優しい姿を知っているだけに、“ラスボス”として変わり果ててしまったその姿に心を締め付けられてしまうのだ。

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