オノフ ドライバー AKAを筒康博が試打「どんな“つかまらない”にも対応」

スライド式ウエートを加えた新AKA ご意見番クラブフィッターの評価は!?

フェースのどこに当たっても真っすぐ飛ばせる“全芯主義”を掲げるオノフ「AKA」シリーズ。最新作となる2024年モデル「オノフ ドライバー AKA」は、ソール後方ヒール側にスライド式ウエートを新たに配し、重心の距離と深度を変えることができる。そんな調整機能を加えた新AKAを、ヘッドスピード(以下HS)の異なる有識者3人が採点。ご意見番クラブフィッター・筒康博の評価は!?

「カスタム好きにはたまらない! 調整機能の豊富さが魅力」

弾道はやや低めだが 程よいドロー弾道を連発

―率直な印象は?
「どんなゴルファーが使っても、自分仕様にカスタムできるモデルに進化した印象を受けます。とにかくソール面を見ただけでも情報の多さが目立つ。いろいろなメーカーが3、4つ用意した要素をひとつのヘッドに詰め込み、あとは自分で調整してくださいねといったカスタマイズドライバーに生まれ変わった感じがします」

「HI」に動かせば重心は長く深く 「DRAW」は短く浅く設定される

―具体的にどこが変わった?
「打感は前作と変わらないですが、これまでの歴代モデルは弾きの強いフィーリングだったので、相対的に打音がやや抑えめ。KUROのイメージと重なる部分が多い気がしました。また、新しく設置されたスライド式ウエートにより、どの“つかまらないタイプ”にも対応する。フェースが開いてつかまらない、軌道がアウトサイドインでつかまらない、手元側が軽すぎてヘッドが戻らずつかまらないなど、どれにもハマる。調整を行えばニュートラルにもできるという意味では、以前の「AKA=スライスに悩む人向け」という固定イメージを払しょくしたようにも感じます」

左が今作、右が前作22年モデル。グロスからマット加工に

―前作から見た目も変わりましたが?
「そうですね。クラウンのマット加工はかなり落ち着いて見え、格好よくなりました。上から見たときの反射防止という性能面のメリットはもちろん、シルエットが引き締まって見える視覚的な効果も感じられます。最近マットボディのクルマを頻繁に見かけますが、同じように大人の遊び心をくすぐるデザインとカラーリングに仕上がった印象。機能の充実度も含め、いろいろなことを試したくなる好奇心をかき立てるドライバーだと思います」

打点ズレや天候に左右されないスピン性能を発揮するフェース面仕上げ

―定評のある純正シャフトの評価は?
「シャフトは、釣り具のロッド(竿)のイメージに近く、シャフトの動きをダイレクトに感じるフィーリング。前作も同じモデルでしたが、今作もその特性は同じで動きが大きく、カスタムモデルのような特徴を感じます。グリップエンド側にウエートが入っているカウンターバランス仕上げということもあり、しなり方が純正っぽくない。フジクラ『スピーダー』のような走り感とはまた少し違った、しなる量の大きさとしなり戻りの速さをすごく感じることができました」

ソールと同じスクリューウエートを入れ替え可能

―あえて気になる点は?
「オノフの歴史、世界観を知っている人と知らない人で認識の乖離(かいり)がすごくあることでしょうか。釣り具メーカー・ダイワのロッド技術がシャフトに活かされているとか、カウンターバランスの理論やウエート調整による効果といった情報がやや過多なイメージ。ゴルフを始めたばかりの若いゴルファーからすると、ポッと渡されてすぐに購入を決めるモデルではないかなと。クラブを何度も買い替え、ゴルフの酸いも甘いも熟知したベテランでないと、なかなかこれほど多くの情報を処理しきれない気がしました」

「振り心地も弾道も全て一本で調整できちゃうドライバー」(筒)

―ターゲットは主にベテラン向き…?
「そうでしょうね。今まで工房通いをしていて、地クラブドライバーを使っていた人が、ちょっと大手の進化にも触れてみようと立ち帰る際に最適なクラブだと思います。これまで他人と被らないようにこだわり続けてきた人が、改めて今作を試すとすごくいい出合いになるでしょう。他社でいうと、ピンでフィッティングを受け、オーダーして選ぶ買い方と類似はしていますが、カスタムに寄ったオノフはまた別の路線。“やってもらう”ではなく“やってみる”部分が強く、自分好みに変えていく過程を楽しむことができるゴルファー向けになるでしょうか」

西川に続きオール4.5の高バランス評価【総合評価4.5点】

【飛距離】4.5
【打 感】4.5
【寛容性】4.5
【操作性】4.5
【構えやすさ】4.5

・ロフト角:10.5度
・使用シャフト:SMOOTH KICK MP-524D(硬さS)
・使用ボール:リトルグリーンヴァレー船橋専用レンジボール

取材協力/トラックマンジャパン株式会社、リトルグリーンヴァレー船橋

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