「ゴキブリよりも嫌い」カメムシ、大量発生警報でネット騒然 “害虫の中の害虫”を防ぐ方法とは?

■ゴキブリより嫌われているカメムシ

夏が近づくと、とにかく昆虫を見かける機会が増える。筆者は結構昆虫が好きなのだが、今や世の中では、どうもかなりの数の人が昆虫嫌いになっているらしい。子ども向けのノートの定番「ジャポニカ学習帳」の表紙が昆虫から花に替えられて久しいが、住宅の気密性も高まり、昆虫に遭遇する機会が減っていることも昆虫嫌いが増えている要因なのかもしれない。

そんな昆虫だが、蚊のように伝染病を媒介したりして人間に害を与えまくる種類や、イナゴのように農業などの産業にダメージを与える種類もいる。農家にとってはこうした“害虫”は大敵であり、その駆除の技術を進化させることによって、農作物の安定供給を可能にしてきた歴史がある。

農業の専門誌「現代農業」2024年6月号(5月5日頃発売予定)は、カメムシの大特集である。カメムシは秋田県出身の筆者にとって、極めて身近な害虫だ。奴らはイネの茎や葉から液を吸ってコメの品質を悪化させるため、農家にとっては悩みの種である。秋田県民にとっては、「ゴキブリよりもカメムシが嫌い」という人も少なくない。

最近も山陰地方などでカメムシが大発生しているというニュースが報じられているが、カメムシは首都圏ではほとんど見ることがない。しかし、地方ではよく見る“害虫の中の害虫”である。秋田県のご当地ヒーロー「超神ネイガー」の敵キャラ「ハンカクサイ」のモデルになっていることからもわかるが、秋田県を代表する害虫の一つと言っていい。

■カメムシが嫌われる理由は匂いと見た目

カメムシがもっとも嫌われる理由の一つが、「触ると凄まじい悪臭を放つ」ことだろう。その匂いはとにかく一度嗅いだらトラウマになるレベルの強烈なインパクトで、服や皮膚に染み付いたらなかなか取れない。洗濯物を外で干しているとカメムシが付着し、悪臭を置き土産してくれることもあり、本当に困った存在である。

そのうえ見た目がグロテスクだ。大量発生したカメムシが窓に止まっているニュース映像が流れていたが、とにかく裏側の見た目が怖い。表側も怖い。とにかく全体的に嫌な感じの造形をしているのだ。

しかも、奴らは家の中が大好きなのである。秋になると、越冬の準備のために家の中に侵入してくる。服や本の隙間に挟まって越冬するため、漫画を開いたらいきなりカメムシが栞のように挟まっていることもある。筆者は『ドラゴンボール』のコミックスを開いたらカメムシがいたことがあり、ギャーーーーッと声をあげてしまった。

このことからもわかるように、カメムシの戦闘力はかなり高いのである。フリーザにはかなわないと思うが、ヤムチャや天津飯より高いことだけは間違いない。

■カメムシについて知るなら必携の一冊

今回の「現代農業」は、とにかく表紙から素晴らしいインパクトである。特集では、カメムシの“叩き方”から“活かし方”と題し、幅広い情報が網羅された誌面になっていて、目次だけ見ても刺激的な内容だ。カメムシを逃すテクニックとして、漢方のニオイで寄せつけない方法や、ニンニク&トウガラシエキス、焼き肉のタレにシビ辛パウダーを使うといった、まるでドラキュラや鬼退治のような内容にも触れられている。実際にカメムシに悩んでいる農家はもちろん、ちょっと怖いものを見てみたいという人にもおすすめできそうだ。

ところで、筆者は何度もニュースに書いているのだが、田舎暮らしをしてみたい人は、昆虫に対する耐性をつけてから移住を考えたほうがいい。というのも、田舎暮らしの最強の敵は隣人関係でも、病院や流行の店がないことでもない。昆虫である。昆虫が凄まじく出ることが田舎の最大の問題である。

とにかく虫嫌いな人にとっては地獄であり、特にカメムシが苦手すぎて田舎暮らしを断念した人がいる。その人が東京に戻った時、「あぁ、なんて東京は虫が少なくて快適なんだろう!」と感じたようだが、とにかく田舎暮らしは昆虫との戦いになることが多いと肝に銘じたいものだ。逆に、昆虫が大好きでたまらない、カメムシだって大好きだという人には田舎はパラダイスであろう。

(文=山内貴範)

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