世界で最も標高の高い大気バックグラウンド観測所を訪ねて 中国青海省

世界で最も標高の高い大気バックグラウンド観測所を訪ねて 中国青海省

観測データを確認する瓦里関中国大気バックグラウンド観測所の王剣瓊副所長。(3月19日撮影、西寧=新華社記者/李琳海)

 【新華社西寧5月2日】中国青海省海南チベット族自治州共和県瓦里関山に位置する瓦里関中国大気バックグラウンド観測所は標高3816メートルの高地にあり、春を迎えてもまだ雪が舞う。同観測所は世界気象機関(WMO)が指定する32の全球大気バックグラウンド観測所の一つで、世界で最も標高の高い、ユーラシア大陸の奥地にある唯一の世界大気バックグラウンド観測所でもある。

 1994年9月15日、国連開発計画(UNDP)を代表するWMOと中国政府はそれぞれ、スイス・ジュネーブと北京で同時にプレスリリースを発表し、オゾンと温室効果ガスを観測する世界最高地点の観測所が中国で運用を開始すると明らかにした。同観測所は、地球環境ファシリティー(GEF)の支援で世界に建設された六つの観測所のうち最初の観測所となった。同月17日、同観測所の開所式が瓦里関山で行われ、運用を開始した。

世界で最も標高の高い大気バックグラウンド観測所を訪ねて 中国青海省

 観測データを確認する瓦里関中国大気バックグウランド観測所のスタッフ。(3月19日撮影、西寧=新華社記者/王金金)

 観測所がある地点の年平均気温は摂氏0度以下、年平均酸素含有量は海面の67%に相当する。高山の頂、雲の奥の「無人地帯」にあり、観測員は毎朝早く起床し、決められた場所で手順に従って試料採取をする。その他の時間は、降雨などがあれば直ちに試料採取をし、強風が吹けば急ぎ機器の動作状況を確認するなどの作業が行われている。

 瓦里関というこの「清らかなる大地」に影響を及ぼさないように、同観測所の半径50キロ以内に鉱工業関連の会社は建設されていない。炊事の煙など人為的な汚染が観測データに及ぼす影響を軽減するため、観測員は一年を通じて1日3食を半調理食品で済ませており、胃腸の病気にかかる者も少なくない。

世界で最も標高の高い大気バックグラウンド観測所を訪ねて 中国青海省

観測状況を記録する瓦里関中国大気バックグラウンド観測所の王剣瓊副所長。(3月19日撮影、西寧=新華社記者/李琳海)

 同観測所は現在、温室効果ガスやハロゲンガス、エアロゾル、太陽放射、放射性物質、ブラックカーボン、沈降化学、大気物理学など、30項目60要素以上の全天候型高密度観測を実施。毎日6万以上のデータを作成し、大気の主成分のバックグラウンドを網羅する観測技術体系や技術体系をおおむね構築している。

 青海省気象局の伏洋(ふく・よう)総工程師(チーフエンジニア)によると、同観測所の観測データで描かれ、毎年更新される「二酸化炭素(CO2)変化曲線」は、ここ30年間で得られた最も代表的な成果の一つだという。この曲線は「瓦里関曲線」とも呼ばれ、米国ハワイ州にあるマウナロア観測所が1950年代から観測してきたデータと完全に一致しており、地球規模の気候変動を証明し、国連気候変動枠組み条約を支える重要な基盤となっている。(記者/李琳海、王金金)

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