【5月3日付社説】ごみの削減/三つの「切り」習慣づけよう

 一部の人が頑張っても効果は限られる。県民一人一人が、毎日の生活で出るごみの量を少しずつ減らしていくことが大切だ。

 一般廃棄物に関する環境省の最新の調査で、2022年度に県民1人が排出した1日当たりのごみの量は、全国で最も多い1021グラムに上った。全国最多となるのは7年ぶりだ。

 東日本大震災で急増した本県のごみの排出量は12年度をピークに減少に転じた。ただ、本県沖地震などに伴う片付けごみの増加で、排出量は高止まりしている。

 焼却するごみが多いほど二酸化炭素の排出量が増え、地球温暖化を加速させる要因の一つとなる。焼却施設や廃棄物処分場の維持、整備などにかかる費用がかさみ、住民の負担も増す。

 家庭から出る生活系のごみが一般廃棄物の約7割を占めている。現状のままでは、県が26年度の排出量の目標としている923グラム以下の達成は難しい。家庭のごみの削減が急務だ。

 県が昨年度、家庭から出る燃えるごみの中身を独自に分析した結果、食べ残しなど生ごみの割合が約35%で最も多かった。生ごみは水分を多く含むため重く、焼却の効率が下がる。生ごみをいかに減らすかが、全体の排出量削減や環境負荷の低減の鍵となる。

 生ごみを減らすために、県が改めて意識してほしいと呼びかけているのが、生ごみの水切り、料理の食べ切り、食材の使い切りの三つの「切り」だ。県のごみ減量アイデアコンテストで最優秀賞を受賞した実践例を紹介したい。

 ざるに敷いたチラシの上に生ごみを移す。虫よけのネットをかぶせて屋外で一晩干し、乾燥させてから捨てる。臭いが強い場合は重曹を少し振りかける。簡単なので取り組んでみてほしい。

 県によると22年3月末現在、県内の26市町村がごみ袋を有料化している。有料化した市町村のごみの排出量は、未実施の市町村と比べて平均で2割以上少なく、一定の削減効果が確認されている。

 有料化をきっかけに、より多くの住民がごみの減量に目を向けるようになることで、燃えるごみと一緒に捨てられていた紙類やプラスチックなどのリサイクルを促す効果も期待できる。物価高などで市民生活の負担が増しているが、余分な商品の購入を控えれば、ごみの排出量だけでなく家計の支出も抑えられる。

 ごみ袋の有料化は検討すべき有効な対策の一つだ。未実施の市町村は、住民の理解を得るべく対話を重ねていく必要がある。

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