気候が良くなる春の行楽シーズンは、ツーリングを楽しむ人が増え、二輪車の事故が増加する傾向にある。県警はゴールデンウイーク(GW)の期間中、バイクの事故防止に向けた活動を強化している。県内各所で啓発や取り締まりに力を入れ「安全運転に努めてほしい」と呼びかけている。
県警の集計では、2019~23年の5年間に県内でツーリング中に起きた人身事故は176件だった。ライダーら166人が負傷し、10人が命を落とした。月別ではGWを含む5月が最も多い29件、秋の行楽期の10月が26件と続いた。
県警交通企画課によると、ツーリング中のバイク事故は、土日や休日を中心に山間部の道路で起こりやすい。特に40代以上のベテランが多いという。同課は「運転に慣れている人が自身の運転技術を過信し、スピードを出し過ぎることが一因」と分析する。
死亡事故では、中央線を越えて対向車と衝突したりカーブで曲がり切れずガードレールなどにぶつかったりするケースが目立つ。
今年に入って県内でバイクの死亡事故は2件発生。3月31日に日田市天瀬町で男性会社員(61)が亡くなり4月14日には同市中津江村で男性会社員(43)が犠牲となった。いずれもツーリング中に見通しの悪いカーブで転倒したとみられる。
GW初日の4月27日、熊本県南小国町の「瀬の本レストハウス」では玖珠、竹田と熊本県警阿蘇、小国の4署員ら15人が、ライダーに啓発チラシなどを手渡し、「安全運転をお願いします」と声をかけた。県境付近でライダーの利用も多いため、10年ほど前から合同で啓発に当たっている。
奈良県から九州一周ソロキャンプに来た大学生木村真広さん(21)は「阿蘇やくじゅうの風景は素晴らしい。連休は車が多いと思うのでしっかり安全を確認し、楽しい旅にしたい」と話した。
同課の河野豊秀次席(53)は「バイクの運転では、ちょっとしたミスが重大な事故につながる。カーブ手前では十分にスピードを落とし、事故に気を付けてもらいたい」と呼びかけている。