馬王堆漢墓、墓穴保全工事終え再公開 中国湖南省

馬王堆漢墓、墓穴保全工事終え再公開 中国湖南省

4月28日、馬王堆漢墓の墓坑遺跡。(長沙=新華社配信)

 【新華社長沙5月3日】中国湖南省長沙市の湖南博物院は、同市芙蓉区にある前漢時代の墓葬群「馬王堆(ばおうたい)漢墓」の墓穴保全工事を完了させ、1日に一般公開を再開した。現地に展示する遺跡写真に3基の墓の位置を表示したほか、墓坑底部に実寸大に再現した棺椁(かんかく、内棺と外棺)などを設置した。

 馬王堆漢墓は1972~74年の発掘調査から今年で50年を迎えた。西漢(前漢)初期の藩国、長沙国で丞相(じょうしょう)を務め、軑侯(たいこう)に封じられた利蒼(り・そう)一家3人の墓で、複雑な工程で作られた美しい漆器700点余り、精美な刺しゅうが施された絹の衣類500点余りなどの貴重な文化財が3千点以上出土した。20世紀の世界的な重要考古学発見であり、中でも1号墓出土の利蒼の妻「辛追(しんつい)夫人」の遺体は、世界で保存期間の最も長い「湿屍(しっし、ミイラの一種)」とされる。

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4月28日、馬王堆漢墓墓坑遺跡の外側。(長沙=新華社配信)

 馬王堆漢墓を専門的に管理する湖南博物院によると、同院は2023年8月、墓丘の安定を確保し、文化財本体の保護範囲内で総体的な質の向上を図るために馬王堆漢墓本体保護2期プロジェクトを開始。9カ月に及ぶ入念な設計と科学的施工により、各種保護措置を完了させた。

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4月28日、馬王堆漢墓墓坑遺跡の外側。(長沙=新華社配信)

 同博物院所蔵品保護センターの劉亮(りゅう・りょう)主任は「墓坑本体の保護のほか、遺跡の建築装飾や遊覧展示、園林緑化などの質を向上させた」と説明。遺跡全体の安定性を効果的に高めるために元のれんが積みの一部を取り除いて土台を補強したほか、遊歩道や擁壁、案内掲示板などの付帯設備の新設や墓坑と棺椁の再現展示を行い、遺跡周辺の生態環境を改善するために自生植物の整理と排水システムの改修を実施したという。

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4月28日、馬王堆漢墓の墓坑遺跡。(長沙=新華社配信)

 馬王堆漢墓は三つの墓で構成される。1号墓の辛追墓は馬王堆東側の丘の上、2号墓の利蒼墓は西側の丘の上にあり、3号墓の利豨(り・き、辛追の子)墓は辛追墓の南4.3メートルの場所にある。1号、2号墓は早い時期に埋め戻され、丘の上に標識碑が立ち、3号墓は発掘調査後に墓坑遺跡として展示されてきた。今回修復を終えて一般開放を再開したのは3号墓にあたる。(記者/張玉潔、林建傑)

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