発売前の「不安視」を見事にはねのけた“2024年新作ゲーム”4選! GWに遊びたいアクションRPGやSRPGに要注目

発売前の「不安視」を見事にはねのけた“2024年新作ゲーム”4選! GWに遊びたいアクションRPGやSRPGに要注目

待望のゴールデンウィークが始まったため、攻略途中のゲームを一気に進めてクリアした人も多いはず。また、気分を一新して新たに遊ぶ作品を探している方もいることでしょう。

遊ぶゲームは自分の好みで選ぶのが一番ですが、気になる作品を見落としていたり、名前だけ見てスルーしたものの中身を知ればどストライクだった……というケースもあります。

そこで今回は、2024年に発売された新作を対象に、一定以上の評価を得ているお勧めソフトを独断で厳選し、4タイトルをお届けします。各作品や特徴や魅力を、実際にプレイした体験を交えつつ取り上げるので、次このGWに遊び始める新たな1本をここから選んではいかがでしょうか。

■PS5/PS4/Steam『グランブルーファンタジー リリンク』:2月1日発売

サイゲームスのヒット作『グランブルーファンタジー』の世界観や登場人物を踏襲し、アクションRPGに落とし込んだ『グランブルーファンタジー リリンク』が、今年の2月に発売されました。

ですが、本作が発売されるまでの間、期待はもちろんですが、同時に不安視する声も一定数ありました。その理由のひとつは、まず原作付きという点です。こうした作品は原作のファンが高い関心を持つ反面、「原作ファン以外は楽しめない?」「ファン向けのゲームに留まり、完成度が低いのでは」といった不安がつきまといがちです。

また『グラブル リリンク』が発表されたのは、2016年9月のこと。その時点から数えても、7年以上も開発していたタイトルとなります(当時のタイトルは『Project Re:Link』)。

長期間にわたるプロジェクトは管理が難しく、頓挫したり妥協して着地する場合も少なくありません。また、2018年内を目指していたリリースが大きく後れたほか、共同開発のプラチナゲームズとの契約が制作途中で終了するなど、不安を感じざるを得ない点はいくつもありました。

ファンの期待を集めた原作ゲームが、残念な出来でリリースされる。そうした顛末を迎えた作品はいくつもあり、「『グラブル リリンク』も同じパターンなのでは?」と見る向きもありましたが、そうした不安は体験版や製品版で一気に覆されることになります。

色彩豊かで冒険感溢れる世界を3D空間上で見事に描き切り、4人パーティによるスピーディなバトルは、共闘感と爽快感を両立。魅せる演出や小気味よいSE、没入感を促す音楽など、ゲーム性から表現までほぼ全てが高いレベルでまとまっていたのです。

ファンはビジュアルの再現度に驚き、『グラブル』未経験者もアクションバトルに魅了され、発売前に上がっていた不安の声を見事にはねのける結果となりました。参考までにSteamの評価を見ると、「全てのレビュー」で「非常に好評 (29,270)」(記事執筆時点)を獲得しており、多くのユーザーが高評価を下しているのが分かります。

敢えて難点を挙げるとすれば、ストーリーモードのボリュームがやや少なく感じます。とはいえ、数時間程度で終わるレベルではないので、このGWをしっかり満喫させてくれる内容なのは間違いありません。また、クリア後もキャラクターをさらに育成できるので、ゲームプレイという意味では長く遊べる作品と言えるでしょう。

4月26日には無料アップデート「Ver.1.2.0」が配信され、5月には更なるアップデートも予定されています。今から遊び始めても決して遅くありませんし、むしろアップデートの内容も一気に味わえるので、体験の密度はむしろ高まっています。世界観やビジュアル、ジャンルが好みに合うなら、『グラブル リリンク』は一考すべき価値のある作品です。


■PS5『ファイナルファンタジー7 リバース』:2月29日発売

当時最先端の3D描写で『ファイナルファンタジー』シリーズの方向性を大きく変え、初代PlayStationの人気を力づよく後押しした『ファイナルファンタジー7』。この名作を3部作構成で蘇らせるリメイクシリーズが展開しており、その2作目にあたる『ファイナルファンタジー7 リバース』が今年2月に登場しました。

原作の『FF7』も3Dモデルでしたが、キャラクター陣はデフォルメでの描写が大半でした。戦闘時など頭身が上がる時もありますが、当時はまだ3D表現の黎明期だったため、そのビジュアルは発展途上にありました。

ですがこのリメイクシリーズでは、原作のイメージを踏襲しながらも、バトルからストーリー、探索までリアルな頭身で描画。当時はプレイヤーの想像の中にしかいなかった、頭身が高くてカッコいいクラウドやセフィロスが、今は大画面の中を縦横無尽に駆け巡っています。

そうしたビジュアルの進化は、リメイク1作目の『ファイナルファンタジー7 リメイク』でも確認できますが、『FF7 リバース』もその魅力を着実に受け継いでいます。また、アクション性が増したバトルも手応えが増し、プレイ意欲に拍車をかけます。

『FF7 リメイク』は昨年9月の時点で、世界累計出荷およびDL版販売本数の合計が700万本を突破しました。そのため、『FF7 リバース』に向けられた期待も相応に高まり、このハードルを越えるのは難しいのではと考える人も少なからずいました。

特に『FF7 リバース』は、ミッドガルでの戦いに終始した前作から大きく変化し、冒険の舞台は世界へと広がります。オープンワールドではないので世界の全てを回れるわけではないものの、舞台としては手狭だったミッドガルから離れてどれだけの冒険を見せてくれるのかと、期待と不安が入り混じっていました。

ですが『FF7 リバース』を実際にプレイすると、フィールド探索についての不安が杞憂だったとすぐに判明します。最序盤の展開を超えて最初の街「カーム」を出ると、広大なフィールドがプレイヤーを待ち受けています。

原作と同じく、このカームを出てからは「チョコボファーム」を経て「ミスリルマイン」へと向かうことに。ですが、この時にフィールド探索や寄り道の要素をこなすと、7~8時間ほどの時間があっという間に過ぎるほどです。

もちろん、ボリューミーなフィールド探索は、この時だけではありません。ミスリルマインを超えれば、ジュノンエリアの冒険が待っており、今度は山岳地帯も探索できます。また、カードゲームに興じる船旅、水着姿も堪能できる「コスタ・デ・ソル」、見るものすべてが刺激的な「ゴールドソーサー」なども、十分なボリュームでプレイを盛り上げてくれます。

こうした展開に合わせてフィールドの冒険も広がっていくため、各要素を相応に楽しむとクリアまで100時間を超えるのも珍しくありません。しかもそのプレイ時間のほとんどは、常にやりたいことがあり、無味乾燥な時間は皆無と言っていいほどです。

原作を大きく進化させ、物語にも新たなエッセンスが加わった『FF7 リバース』。まだ手を付けていないなら、このGWからプレイを開始するのもお勧めです。ただし、前作『FF7 リメイク』との関係が密接なので、どちらも未プレイなら、まずは『FF7 リメイク』から始めましょう。


■スイッチ/PS5/PS4/Xbox Series X|S『ユニコーンオーバーロード』:3月8日発売

ゲームを開発するデベロッパーは数多くあるなか、ゲーム性からビジュアルまで徹底的に作り込み、時に職人芸とも言われるほどのこだわりを持つ「ヴァニラウェア」は、コアなゲームファンを中心に根強い支持を集めています。

そんな同社の最新作が、大陸全土を揺るがす戦いに身を投じるシミュレーションRPG『ユニコーンオーバーロード』です。発表当時から注目され、大きな期待を一身に集めていました。

ですが、本作への期待を向けると同時に、購入の判断を保留するユーザーも一部いました。というのも、ヴァニラウェアが作るゲームはアクションRPG系が比較的多く、シミュレーション要素が高いものは『グリムグリモア』や『グランナイツヒストリー』など、限られています。

シミュレーション性がメインの完全新作は、『グランナイツヒストリー』以来なので10年以上ぶり。そのためヴァニラウェアのファンでも、本作にすぐ手を出すかどうかは意見が分かれていました。

そもそもシミュレーション系は人を選ぶ向きがあり、しかも本作はリアルタイムストラテジーなので、戦況を見極める判断を限られた時間の中で下す必要があります。ゲーム進行はいつでも一時停止できるとはいえ、万人向けのゲームジャンルではありません

完全新作という意味ではひとつ前に出た『十三機兵防衛圏』も、シミュレーション要素はありました。ですが、ADVの要素がより大きかったため、本格的なシミュレーションである『ユニコーンオーバーロード』を様子見してしまうのも、無理のない話でしょう。

そんな躊躇も漂うなかで発売された『ユニコーンオーバーロード』は、まさしく本格的で戦略性の高いシミュレーションRPGでした……が、非常に間口が広く、またこのジャンルにありがちな「重さ」を全く感じさせない手軽さを併せ持ち、たちまち好評を博しました。

クラスごとに向き不向きな相手がおり、複数のクラスを同時に編成するため、いつでもどこでも通用するような万能の最適解はありません。ですが、相性を考慮すれば圧倒的な勝利を手に入れるのも難しくはなく、戦略がハマった時の心地よさは代えがたい楽しさを感じます。

特に本作が素晴らしいと感じた点は、絶妙な難易度調整です。ゲームシステムへの理解を深めるほど敵を圧倒できるのは、このジャンルの作品につきものの醍醐味といえます。その上で本作は、システムへの理解がほどほどでも、ほどほどに勝つことが可能です。

戦闘に関わる要素は多岐にわたるものの、その全てを理解しなくとも勝利を掴むことは十分できます。理解度によって手こずる場面は当然あるものの、少なくともノーマルの難易度なら、システムの完全熟知は求められず、適度な理解でも楽しめる作品です。

ゲーム性を知れば知るほど強くなる一方で、適度な理解でも手応えのあるバトルと勝利を味わえる『ユニコーンオーバーロード』。絶妙なゲームシステムと、単に敵を弱くするだけではない難易度調整に、シミュレーションRPGの新たな可能性を感じさせてくれました。

本作への高評価は売り上げにも直結し、発売から1ヶ月も経たずに全世界累計販売本数が50万本を突破。ヒット作の『十三機兵防衛圏』を上回る出足の早さを見せており、最終的にどこまで伸びるのか注目が集まっています。刺激的で人気も上々の『ユニコーンオーバーロード』も、このGWにお勧めしたい作品です。


■PS5/Xbox Series X|S/Steam『ドラゴンズドグマ 2』:3月21日

今回紹介する最後の作品は、ナンバリング前作から数えて約12年ぶりに登場した続編『ドラゴンズドグマ 2』です。カプコンによるオープンワールド型アクションRPGで、3月21日に発売を迎えました。

前作がリリースされた当時は、国産のオープンワールドゲームが限られており、そうした状況下で大手のカプコンが手がけるとなれば、注目されるのは当然のこと。期待と関心が集まる注目作として、1作目の『ドラゴンズドグマ』がリリースされました。

『ドラゴンズドグマ』が特に画期的だったのは、主人公と共に行動する「ポーン」の存在でした。「メインポーン」は相棒として常に付き従い、さらに他のプレイヤーやカプコン側が用意した「サポートポーン」を借り、共に冒険へと出かけます。

オフラインのシングルゲームなのに、誰かと共闘する感覚が楽しめるのは、当時のゲーム事情的にはかなり珍しく刺激的でした。「ひとりじゃない冒険」なのに「勝手気ままに遊べる」という気軽さも併せ持つ、非常に稀有な作品です。また、他のプレイヤーに借りられたメインポーンが知識を蓄えて帰ってくるのも、ユニークかつ有用な仕様で話題となりました。

そんな話題作の続編は、しかし登場まで長く時間がかかります。シリーズ作としては、『ドラゴンズドグマ クエスト』や『ドラゴンズドグマ オンライン』などが登場したものの、“シングルプレイのオープンワールド型アクションRPG”としての完全新作は、さきほど述べた通り12年越しの悲願です。

そして無事発売を迎えた『ドラゴンズドグマ 2』は、満場一致の大絶賛……かと言われれば、全面的に頷くことはできません。というのも、減点方式で見ると、本作にはいくつかの問題点が存在するためです。

本作の広大さは前作を大きく上回りましたが、一方でオープンワールドゲームにつきものの「ファストトラベル」に制限があります。移動先に選べる地点が限られており、毎回アイテムを消費しなければなりません。

また、作中に登場する「牛車」もファストトラベル的な移動手段ですが、モンスターに強襲されるとそこで戦闘が始まってしまい、瞬時の移動とはなりません。しかも牛車が破壊されると、そこからは徒歩で目的地に向かうのみ。加えて、牛車で行き来するポイントも限られているのも厳しい点です。

これはひとつの例ですが、このほかにも「ポーンが落下死する」「移動に時間がかかる」「UIが使いにくい」「ポーンに深刻な影響を与える“竜憑き”が厄介」など、問題点として指摘される部分は少なくありません。こうした問題箇所を減点していくと、最終評価は低めとなるでしょう。

ですが、本作を高く評価するユーザーが相当数いるのも事実です。その声は単なる養護ではなく、『ドラゴンズドグマ 2』を踏まえた上で、自分には合っていると判断を下したものです。

かくいう筆者も、『ドラゴンズドグマ 2』を好意的に捉えています。確かに目的地への移動は手間ですが、「未開拓の洞窟との出会い」「奇襲に強襲とバラエティに富むモンスターとの戦い」「意外な場所にある宝箱の発見」「思わぬショートカット」など、その道中は驚きと刺激に満ちており、「不便な移動」と「豊かな冒険」が表裏一体の存在だと気づかされたためです。

ファストトラベルを便利にすれば、冒険との出会いは格段に減るでしょう。物語の進行をガチガチに固めれば誰でも順調に楽しめますが、メインシナリオよりも先に“国境を自力で超えて隣国に行く”というやんちゃプレイは楽しめなかったはず。

本作が不便な面は否めません。同時に、可能な限り自由で、“自分だけの冒険”を味わえる包容力を持ち合わせています。こうした魅力を加点していき、良作・名作と考える人がいるのもおかしな話ではありません。

人によっては問題作で、人によっては絶賛作と、評価が大きく分かれる『ドラゴンズドグマ 2』。薬になるか毒になるかは人それぞれですが、だからこそプレイを一考する価値がある作品です。


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