ADHDと診断された芥川賞作家による報告書 柴崎友香『あらゆることは今起こる』

小説家・柴崎友香さんの書籍『あらゆることは今起こる』が、医学書院の「シリーズ ケアをひらく」から5月13日(月)に刊行される。

本書は、柴崎友香さん自身が診断されたADHD(注意欠如・多動症)の感覚に基づき執筆。

「私の体の中には複数の時間が流れている」──SFではない並行世界的な、時間感覚はどこから来るのか。その体験と日常生活が綴られる。

医療関係者以外にも親しまれる医学書院の人気シリーズ「ケアをひらく」

「シリーズ ケアをひらく」は医学書院の人気シリーズ。

2000年にスタートし、ノンフィクション作家の川口有美子さん『逝かない身体』や、哲学者の國分功一郎さん『中動態の世界』、作家の伊藤亜紗さん 『どもる体』など、昨今注目を集める「ケア」にまつわる書籍を刊行。

2019年にはシリーズ全体が、優れた著作物や出版活動を顕彰する第73回毎日出版文化賞を受賞するなど、医療関係者以外にも注目されている。

芥川賞作家・柴崎友香がADHDの感覚に基づき執筆

『あらゆることは今起こる』は、「シリーズ ケアをひらく」の第44冊目となる書籍。

著者である小説家・柴崎友香さんは、2010年に野間文芸新人賞を受賞した『寝ても覚めても』や、第151回芥川賞に輝いた『春の庭』で知られている。

『あらゆることは今起こる』は、自身が診断されたADHDの感覚に基づき執筆。

公開されている本文では、薬が処方され医師に対し「小学六年生の修学旅行で夜更かしして翌日眠たくて、それ以来一回も目が覚めた感じがしなかったんですが、今、三十六年ぶりに目が覚めてます」というやりとりがある。

「私の体の中には複数の時間が流れている」という柴崎友香さんの時間感覚はどこから来るのか。そしてそれは、小説にどう反映されているのかが綴られる。

自分の内側でいったい何が起こっているのか。近年にわかに話題にあがる頻度の増えた「ADHD」を巡る、小説家による

かつてない報告書となる。

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