「FF」シリーズ吹奏楽コンサート“BRA★BRA FINAL FANTASY 2024”シャオさんの圧巻のボーカルにも圧倒!北海道公演の模様をレポート

「ファイナルファンタジー」(以下「FF」)シリーズの吹奏楽コンサートとして、2015年から開催されている「BRA★BRA FINAL FANTASY」シリーズ。今年は、なんと5年ぶりの開催となり、「BRA★BRA FINAL FANTASY / BRASS de BRAVO 2024 with Siena Wind Ohchestra」として、4月13日の大阪公演を皮切りに全国ツアーがスタートしています。

5月5日には東京での公演も控えていますが、座席は既に完売。ですが、8月12日に東京公演の追加公演が決定しています。

これまで「BRA★BRA FINAL FANTASY」が開催された年には毎年通ってきていた筆者が、「BRA★BRA FINAL FANTASY」の魅力を存分にお届けします。なお、本稿では「BRA★BRA FINAL FANTASY 2024」のセットリストのネタバレがあるので、ご注意ください。

■とにかくカジュアルに音を楽しもう。吹奏楽ならではの「FF」コンサート

筆者が「BRA★BRA FINAL FANTASY」シリーズをこんなにも愛する理由は毎公演のレポートで書いてきているのですが、改めて書くと「こんなにも音の楽しさを全身で感じられる堅苦しくないコンサートはないから」に他なりません。

どんなに「堅苦しくなく楽しみましょう」と言われても、オーケストラコンサートはどうしても背筋を伸ばして聞いてしまいます。例えば服装ひとつでも、「ジーンズで大丈夫ですよ」と言われても「何を着ていけばいいんだろう?」と迷ってしまったりしますよね。演者さんたちも皆さん、フォーマルな服装ですので、なんとなくこちらもフォーマルな服装で迎えなければならないような気持ちになります(実際にはゲーム音楽のオーケストラコンサートは全然フォーマルじゃなくても良いのですが、それでも悩んじゃいますよね)。

ですが、吹奏楽のコンサートとなると一気にカジュアル感が増しませんか? 実際演者さんもオーケストラほどフォーマルな衣装というわけではなく、スマートカジュアルよりも更にカジュアルな服を着ている方もいらっしゃいます。その分こちらも、まず場の雰囲気からいきなり堅苦しさが抜けるのです。

皆さん、学生時代に学校の吹奏楽部の演奏会を聞いたことがありませんか? 学校での吹奏楽コンサートは比較的ポピュラーな曲が多く、思わず手拍子をしたり、わぁっと飛び上がって盛り上がったりしませんでしたか?

「BRA★BRA FINAL FANTASY」は、まさにそのノリで参加できる吹奏楽コンサートなのです。

筆者が「BRA★BRA FINAL FANTASY」シリーズに魅せられたのは、大好きな「FF」の曲で自由に体を揺らしたり手拍子をしたりできるところにあります。オーケストラほど居ずまいを正さなくても良く、ライブで飛び跳ねて盛り上がるには少々体力が厳しく(年齢のせいです……)、でも好きな音楽をカジュアルに楽しみたい! という筆者にとって、「BRA★BRA FINAL FANTASY」シリーズはまさに理想のコンサートなのです。

5月31日の福岡公演や、6月22日の宮城公演、8月12日の東京追加公演などはまだチケットが残っているようなので、「ここなら行けそうかも……」という方に、ぜひ興味を持ってもらいたいコンサートです。

なお筆者は吹奏楽経験者の娘と共に「BRA★BRA FINAL FANTASY」に通っているのですが、札幌公演では親子と思われる参加者も非常に多かったです。中には小さい御子さん連れ(※3歳以下のお子様の入場は不可)の方も多く見られたのが印象的でした。

アンコールより

■第一部の聴きどころを紹介!

まず最初に演奏されたのは、「FF バトル2 メドレー」です。「バトル2」(「FFIV」)~「バトル2」(「FFV」)~「死闘」(「FFVI」)~「バトル2」(「FFXI」)~「勝利のファンファーレ」(「FFシリーズ」)という流れのメドレーで、これまで「BRA★BRA FINAL FANTASY」で何度も演奏されている名メドレーです。また、会場のボルテージをいきなりMAXに引き上げるためか、「BRA★BRA FINAL FANTASY」では冒頭に演奏されることが多いのです。

バトルメドレーとあって、重低音が圧巻の一曲。筆者は「FFV」の「バトル2」のティンパニの音が激推しです。そしてなかなかコンサートで聞くことができない「FFIX」の「バトル2」を聞くことができるのが、このメドレーの最高な一点です。身体の芯まで響くような、ズシリとした音を楽しんでほしいですね。

「北海道は食べ物がやはり美味しい!」という、地元民としては大変嬉しい植松伸夫氏のMCを挟み、2曲目は「FFVIII」より「Eyes On Me」。2019年の公演のアンコールで1回しか演奏がされたことのないレアな曲です。サックスのソロが輝く一曲でした。

続いての3曲目は、お馴染みの「FFV」から「ビッグブリッヂの死闘」。ファンからの人気が非常に高い一曲ですが、MCで植松氏は「ビッグブリッヂは、実は作った時はあまり自分では好きではなかったんですよね」という衝撃の秘話を明かしました。「でもみんながビッグブリッヂが聞きたいというので演奏しているうちに好きになってきた」という植松氏。MCの山下まみさんも驚きながら「つまり噛めば噛むほどという、スルメのような一曲ですね」と返していました。

「ビッグブリッヂの死闘」と言えば、速いテンポのイントロです。そこはさすがプロの演者さんたち。素晴らしい技巧が光ります。アレンジはかなり原作に忠実になっているのですが、筆者がこの曲で推したいのは指揮の栗田博文氏です。毎回毎回、「ビッグブリッヂの死闘」では栗田氏の指揮が特に目立ちます。栗田氏もこの曲がきっととてもお気に入りなんだろうな、とわかる熱のこもった指揮ですので、ぜひ注目してみてほしいポイントですね。

4曲目は、会場参加型の企画のひとつで、リコーダーで客席のみんなも演奏に参加できる「FF メインテーマ」。植松氏は「この曲の時は、毎回ドキドキする」とのこと。この日の札幌公演でも、予想以上に多くのファンがリコーダーを持参していました。リコーダーの素朴な音色と、シエナさんの演奏の音があわさるこの曲は、毎回ほんわかとした気持ちになれます。ステージ上で一生懸命リコーダーを吹いていた植松氏と山下さんの姿も、とても素敵でした。

5曲目も会場参加型の企画のひとつで、「FFIX」の「ハンターチャンス」と「FFX」の「シーモアバトル」、どちらを聞きたいかを手拍子や歓声の大きなほうで決めることに。筆者はどちらも好きな曲なのですが、特に「シーモアバトル」は歴代「FF」シリーズ楽曲の中でも上位に入る好きな曲なので、「シーモアバトル」を推しました。すると見事、本日の演奏曲は「シーモアバトル」に決定!

「シーモアバトル」は吹奏楽ならではの迫力と力強さを全面に出したアレンジで、ティンパニの音がたまりません。筆者はこの日の席がかなり前方だったためステージの奥があまりよく見えなかったのですが、ティンパニはマレットというバチを持ち替えて音質を変える楽器で、様々な音質のティンパニの音が聞こえてきて重低音マニアには最高のアレンジでした。ステージの奥まで見渡せる席の人は、ぜひティンパニのマレットにも注目してみてほしいです。

6曲目は「FFVII」から「ルーファウス歓迎式典」。先日発売されたばかりの「FFVII リバース」でこの曲をたくさん聞いた、というファンも多いのではないでしょうか。「吹奏楽と言えば行進曲でしょ!」という、「BRA★BRA FINAL FANTASY」ならではの選曲です。この曲ではピッコロとフルートの共演が非常に素晴らしかったです。管楽器の音色が伸びやかに響くマーチに、ついつい体も行進のリズムを刻んでしまいます。

第一部の最後を飾ったのは、「FFVIII」から「The Man with the Machine Gun」。ラグナ編バトル曲のこの曲は、細かいベースが特徴のテクノ調の曲ですが、「BRA★BRA FINAL FANTASY」では吹奏楽編成にエレキベースが加わります。この曲は否が応にもテンションが上がってしまいます。ドラムソロもかっこいい一曲になっています。

■第二部では小編成やアンケートコーナーなどが展開!

第二部は、小編成からスタート。

まずはクラリネット中心の4名で「FFVIII」より「Fragments of Memories」。しっとりと聞かせる一曲に仕上がっています。

9曲目となったのは、サクソフォンとカスタネット、タップと手拍子などの打楽器での小編成で、「FFIX」より「Vamo'alla Flamenco」。こちらはフラメンコの情感たっぷりなアレンジになっており、思わず会場に集ったファンから笑みが零れる楽しい演出も挟まれていて、ブラボーの歓声も一際大きい一曲となっていました。

そしてここでお馴染みのアンケートコーナー。ハープのソロで「FFIV」の「愛のテーマ」と「FFXI」の「Ronfaure」をバックに、「この5年間での出来事」をテーマに、この日会場に訪れたファンから寄せられたメッセージを植松氏と山下さんで読み上げました。様々なメッセージに「僕は実は公務員になって、アフター5で音楽を楽しむことに憧れた」「スクウェアに入社してから実は1ヵ月くらいバックパッカーで海外を旅行をしたことがある」など、植松氏が自身のエピソードを明かしました。

10曲目と11曲目は新アレンジで登場となった、「FFVIII」の「Blue Fields」と「FFVI」の「街角の子供達」。それぞれ新アレンジとなった経緯について、植松氏は「FFVIII」が今年で25周年、「FFVI」が30周年という、記念すべき周年だったことからアレンジを変えようと思ったとのこと。「Blue Fields」ではピッコロの音色が、「街角の子供達」ではハープの音色が印象的でした。

12曲目は、植松氏が現在活動しているバンド「conTIKI」でボーカルを務めている暁 -Xiao-(シャオ)さんが登場して、「FFX」の「素敵だね」を歌唱入りで演奏。白いドレスを身にまとったXiaoさんは、まるでユウナそのものかのような声で「素敵だね」を熱唱しました。ちなみに、植松氏のバンド「conTIKI」のライブではXiaoさんに既に「素敵だね」を歌唱してもらっていることもあり、Xiaoさんの「素敵だね」は堂に入ったものでした。サックスのソロも心に残る音を聞かせてくれました。

そのまま「FFX」つながりで、13曲目は「ザナルカンドにて」。クラリネットとピアノの旋律が切ないアレンジです。「素敵だね」の流れからしっとりと聞かせる演奏が続きました。

第二部最後の曲は、もう語るまでもない「FFVII」の「片翼の天使」。この曲も、もう「BRA★BRA FINAL FANTASY」シリーズには欠かせない曲となっています。コーラスはありませんが、オーケストラとは一味違う、吹奏楽ならではの「片翼の天使」が楽しめます。特に金管楽器の力強い音に圧倒されること、間違いなし。栗田氏の指揮も、絶好調です。イントロでは、栗田氏のダァンと踏む込む音まで響いてきて、前方の席ならではの迫力がありました。栗田氏の指揮は本当に楽しそうで、「この音楽が好きなんだ」ということを感じられるのですが、数々の栗田氏の指揮の中でも「片翼の天使」のパフォーマンスが一番かっこいいと信じている筆者です。

ちなみに筆者は植松氏の公式ファンクラブでチケットの予約をしたのですが、植松氏の公式FCでは「BRA★BRA FINAL FANTASY」の場合、当選確約、前方席の優先権があるので、前方で見たい方にはお勧めです(ただし客席前方はステージの後方がまるきり見えないというデメリットもあるのですが……)。

■アンコールでは、「FFVII リバース」のテーマ曲が登場!

アンコールの1曲目は「FFVII リバース」より「No Promiss to Keep」with conTIKI。今回の目玉のひとつとして事前に明かされていたので、この曲が演奏されることを知っているファンも多いでしょう。ボーカルは「素敵だね」に続いて、conTIKIのXiaoさん。そして、他にもギターやパーカッション、オートハープなどで岡宮道生さん、藤岡千尋さん、戸塚利絵さんら、conTIKIのメンバーがステージ上に勢揃いしました。植松氏ももちろん演奏に参加。

先程はまるでユウナのようだったXiaoさんが、今度はまるでエアリスそのものかのように「No Promiss to Keep」を歌い上げる様は見事のひとことでした。Xiaoさんのどことなくエキゾチックな歌声に、筆者も感涙。「BRA★BRA FINAL FANTASY」でしか見ることのできない装い新たな「No Promiss to Keep」は、必聴です。

アンコールの2曲目は、お馴染みの「みんなで吹こう BRA★BRA FINAL FANTASY <マンボ de チョコボ>」です。とにかくどんな楽器でもいいから何かを持ってステージに上がって、みんなで一緒に演奏を楽しもうという「マンボ de チョコボ」。今回もたくさんのファンが様々な楽器を持ってステージに上がっていました。

中には小学生低学年くらいと思われる小さなヴァイオリン奏者のお嬢さんや、フルートを手に壇上に上がった小さなお嬢さんもいらっしゃいました。恐らくこの日のために一生懸命練習してきたんだろうな、という頑張りが伝わってきました。中にはトロンボーンなどの大物楽器を抱えて参加される方も、いらっしゃいました。

筆者は今回は壇上には上がらず客席から楽しませてもらいましたが、これまでに何回も壇上に上がる参加もしています。ステージ上でみんなで一体になるのはとても楽しいので、ぜひ勇気をもって壇上に上がってみてほしいです。

なおこの札幌公演のステージのアンコールで撮影したオフィシャル写真は、植松氏の公式LINEアカウントをフォローして、キーワードの「チョコボのタイコ」と送信すると誰でももらえるようになっているので、参加した人は忘れずにもらっておきましょう。

※この日のオフィシャル写真

■セットリスト

第一部
1. FF バトル2 メドレー 「バトル2」(「FFIV」)~「バトル2」(「FFV」)~「死闘」(「FFVI」)~「バトル2」(「FFXI」)~「勝利のファンファーレ」(「FFシリーズ」)
2. Eyes On Me(「FFVIII」)
3. ビッグブリッヂの死闘(「FFV」)
4. FFメインテーマ
5. シーモアバトル(FFX)
6. ルーファウス歓迎式典 (「FFVII」)
7.The Man with the Machine Gun(「FFVIII」)

第二部
8. Fragments of Memories(「FFVIII」)
9.Vamo'alla Flamenco(「FFIX」)
10.Blue Fields(「FFVIII」)
11.街角の子供達(「FFVI」)
12.素敵だね(「FFX」)
13.ザナルカンドにて(「FFX」)
14.片翼の天使(「FFVII」)

アンコール
15.No Promiss to Keep with conTIKI(「FFVII リバース」)
16.みんなで吹こう BRA★BRA FINAL FANTASY <マンボ de チョコボ>


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