新築一戸建ては高いので、中古の戸建ての購入を検討しています。中古物件を購入する場合でも住宅ローンの減税は可能ですか?

中古物件で住宅ローン控除は受けられるのか

住宅ローン減税とは、個人が住宅ローンなどを利用して家を購入した際、所得税額から控除(住宅借入金等特別控除)される制度です。住宅取得にかかったローン残高の0.7%を所得税(一部住民税)から最大13年間控除できます。

住宅ローンを利用して中古物件を購入した場合も、住宅ローン減税の対象です。しかし新築物件とは要件が変わるため、図表1で確認しましょう。なお借入限度額は、2025年までに入居した場合の額です。

【図表1】

※国土交通省「住宅ローン減税制度について」より筆者作成

新築物件の場合は省エネ住宅基準を満たさないと控除の対象外ではあるものの、中古物件は省エネ住宅でなくても控除の対象になります。その他、以下の要件を満たす必要があります。

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・居住用の家である
・床面積が50平方メートル以上
・合計所得金額が2000万円以下
・家の引き渡しまたは工事完了から6ヶ月以内に住む
・併用住宅の場合、床面積の半分以上が住居用
・住宅ローンの償還期間は10年以上
・中古物件の場合、1982年1月1日以降に建設されたまたは地震に対する安全性基準をクリアしている証明書がある
・増改築の際は、一定の工事に該当している「増改築等工事証明書」で証明できる
・増改築をした場合は、費用額が100万円を超えている
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中古物件で注意したいのは、1982年1月1日以前に建築された建物を購入する場合です。地震に対する安全性に適合しているか、以下3つのいずれかの証明書を提出しなくてはなりません。

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・耐震基準適合証明書
・建設住宅性能評価書の写し
・既存住宅売買瑕疵保険付保証明書
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中古物件を購入した場合は、いつ建てられたものなのか確認して各種証明書を準備しましょう。

中古物件で住宅ローン控除を受ける方法

中古物件を購入して住宅ローン減税を利用する際は、必要書類等をそろえて確定申告しなければなりません。会社員などで給与所得者の場合であっても、確定申告は必須です。そのため、どのように申請したらよいか分からない人もいるでしょう。

本項では、住宅ローン控除を受けるための手順を解説します。また、申請し忘れた場合の対処法についても見ていきましょう。

申告方法

住宅ローン控除を受ける場合、1年目は確定申告にて申請します。会社員などの給与所得者であれば、2年目以降は年末調整で対応できます。

住宅ローン控除を受けられるのは所得税と住民税で、所得税で控除しきれなかった場合は住民税から控除されます。なお、住民税の控除の適用を受けるにも確定申告が必要です。

必要書類

住宅ローン控除を受けるためには、確定申告の際に以下の書類を確定申告書に添付して提出しましょう。

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・(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書
・住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書
・登記事項証明書
・売買契約書
・自治体の補助金決定通知書などの証明書
・債務の承継に係る契約書の写し
・1982年1月1日以前に建築された中古物件の場合、耐震基準を満たしている証明書
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「長期優良住宅」「低炭素住宅」といった認定住宅等の区分に該当している場合は、さらに各種証明書等を添付する必要があります。

住宅ローン控除の申請を忘れた場合

住宅ローン控除の申請をし忘れた場合は、還付申告をする年分の翌1月1日から5年間であれば、さかのぼって還付申告できます。5年間の還付申告ができるのは、確定申告の必要がない給与所得者等に限られるため注意しましょう。

中古住宅でも住宅ローン控除は適用される

中古物件であっても、住宅ローン減税によって控除を受けられます。しかし要件は新築物件とは違うため、注意が必要です。必要書類を準備し、給与所得者であっても確定申告にて申請しましょう。

出典

国土交通省 住宅ローン減税
国税庁 No.1211-3 中古住宅を取得し、令和4年以降に居住の用に供した場合(住宅借入金等特別控除)
国税庁 【確定申告・還付申告】

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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