『Re:リベンジ』第4話 「赤楚くんのファンなら」程度の作品に収まりそうな気配

赤楚衛二くんを主演に据え、大病院を舞台にドロドロの権力闘争を描いてきたフジテレビの木曜劇場『Re:リベンジ-欲望の果てに-』も第4話。

前回、この作品のドロドロ特濃風味を醸し出していた前理事長・市子(余貴美子)が退場してしまいましたが、果たして大丈夫だったのか。

振り返りましょう。

■露は払われたのか

このドラマは一見して、赤楚衛二というポップな俳優を“本格”として覚醒させようという意図をもって生まれてきたように感じられます。今のトライストーンにそんな企画をゴリ押しで実現する力があるとも思えませんが、この『Re:リベンジ』が赤楚くんにとっての大きなチャレンジ企画であることは間違いないでしょう。重厚な劇伴、撮影は片光・逆光のオンパレード、脚本的にも赤楚くんにはこれまでにない圧のかかったシチュエーションが用意されています。

今回の第4話は、第2章とされていました。第1章は、そうした“本格”の雰囲気を醸し出す作業に重点が置かれ、それはおおむね成功していたように思えます。

笹野高史、余貴美子、梶原善といった特濃マスター俳優たちの顔面アップ連発は迫力がありましたし、だからこそ錦戸亮のクールな異彩も際立っていた。ラーメンに例えれば、ベテランたちから抽出したドロドロのスープに、錦戸というパクチーが浮いているような、かなりクセの強い作品となっていました。麺である赤楚くんは彼らに食われまくってたわけですが、ここまではまだ寸胴の中だったわけです。

余貴美子と梶原善が取り除かれ、小分けの器に赤楚くん麺。そこに、3話までで抽出された濃厚スープと笹野高史というチャーシュー、それに錦戸パクチーが乗ってテーブルに運ばれてきた。パクチーvs麺のタイマン勝負が始まった。第4話は、そういう状況です。

要するに余貴美子と梶原善は赤楚くんを映えさせるための露払いとして登場していたわけで、ずいぶん贅沢な作りではありますが、やっぱりさみしさが募るんですね。魑魅魍魎うごめく妖怪屋敷として描かれてきた天堂記念病院が、風景として明らかにスケールダウンしている。浄化されている。そこに飛び込んでいく赤楚くんにとってのハードルが低くなったように見える。

露を払うのは、少し早かったんじゃないのかというのが正直な印象です。笹野の奮闘に期待したい。

■海斗、理事長にふさわしくない問題

それでもドラマは続いていかなければいけません。お話の軸は理事長のイスを巡る権力闘争なわけで、赤楚くん演じる海斗は、そもそもそんな不毛な権力闘争に嫌気が差して、医者になるのを辞めて週刊誌で働いていた人物です。

今回、そんな海斗が会長である皇一郎(笹野)に頼み込んで理事になり、理事長選に立候補することになりました。

そもそも理事長に立候補していたのは大友(錦戸)と副院長の三輪(小木茂光)でした。三輪は海斗を利用して票集めをしようとしましたが、大友によって裏工作がバレて海斗ブチ切れ。三輪は病院を追われることになり、このままでは大友が理事長になってしまうという状況で海斗が手を挙げたわけです。

「不毛な権力闘争」という言葉の逆は「理事長にふさわしい人が理事長になる」です。

大友は心臓血管外科のエキスパートで、病院経営にも明確なプランを持っている。

三輪は25年にわたって天堂で働いてきた実績があり、再生医療を扱う新病棟を作りたいと思っていた。

海斗は、何もない。医者でもないし、病院で働いたこともないし、経営の実績だってない。大友に彼女を寝取られた恨みはあるけど、医療人としての理念も信念もない。病院にもずっと背を向けてきたそんな海斗が自分を理事にねじ込むことができ、理事長選に手を挙げることができた理由は、天堂の血を引くボンボンだからです。

どう見ても、もっとも理事長にふさわしくないのは海斗なんだよねえ。ダメだろ、この人が理事長になったら。病院というのは地域における重要なインフラですからね。世の中的にも、こいつを理事長にすることは害悪なんです。

だから、主人公である海斗に共感できない。すっこんでろクソガキが、と思う。この本格ドラマに赤楚くんという俳優が立ち向かえているかどうかはまだ判断を下すべき段階ではないですが、役柄としての海斗はまったく、天堂記念病院の闇に立ち向かえるような人物ではないんです。

だから、お話に乗れないんです。こんだけの俳優を集めて力入れて演出して、結局「赤楚くんのファンなら」みたいな作品になるのはもったいないなぁと思いながら、次回を待ちたいと思います。

(文=どらまっ子AKIちゃん)

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