ステーションAi開業まで5ヵ月 プレ支援拠点に高評価 入居千社への弾みに

ステーションAiの完成イメージ

 愛知県のスタートアップ支援拠点「ステーションAi(エーアイ)」(名古屋市昭和区)のオープンまで5カ月を切った。先駆けて開設した「プレステーションAi」の入居事業者数は4月時点で411社と、この1年間で2.3倍に増えている。入居企業の多くがステーションAiに移るとされており、開業5年後に千社の入居を目指す中で弾みが付いている。

 プレステーションAiは2020年、名古屋市中村区の「WeWorkグローバルゲート名古屋」内に開設された。創業前から創業直後のスタートアップが無料で支援を受けることができる。
 入居するための審査は厳しく、全国の地場産品を月額制で宅配するサービスを手掛けるピックスデザイン(本社名古屋市)は3回審査に落ちたという。別の入居企業社長は「審査が厳しいため、近隣のインキュベーション施設に入った企業もある。プレステーションAi入居企業はモチベーションが高い」と話す。
 支援内容について、ピックスデザインの松浦克彦社長は「どんな相談にも柔軟に対応してくれて、施設内で実証などがやりやすい。起業家同士の横のつながりができるのもありがたい」と話す。昨年10月から入居している細胞間の情報伝達物質「エクソソーム」を研究するギフエクソソーム(本社岐阜市)の五十川裕高社長は「事業会社やVC(ベンチャーキャピタル)などと積極的につないでくれる」と評価する。
 ステーションAiは、鶴舞公園南側に建設しており、10月1日の開業を予定。建設費は約154億円。地上7階建てで、延べ床面積は2万3613平方メートル。日本最大級のスタートアップ支援拠点となる。ソフトバンク子会社が運営を行い、スタートアップやパートナー企業向けのオフィスに加え、イベントスペースや宿泊施設、託児施設、カフェ・レストランなどを備える。
 ステーションAiでは入居が有料となるが、ギフエクソソームとピックスデザインは入居申請を予定している。松浦社長は「ステーションAiではさらに開かれた取り組みができるとうれしい」と期待する。
 4月からステーションAiのオフィスなどが利用できる会員の募集が始まった。県担当者によると「現時点で詳細な応募状況は回答できない」としているが、プレステーションAi入居企業などから多くの応募があると見込まれる。
 自動車産業など最先端の技術・ノウハウを持つモノづくり企業が集積する愛知県。しかし、長年「起業不毛の地」と呼ばれてきた。県は24年度当初予算で、ステーションAiの管理運営事業費などを含む「スタートアップ関連事業」に約130億円を計上した。スタートアップが自然に集まって成長する環境「スタートアップ・エコシステム」の形成に期待がかかる。

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