フジテレビ、テレ東にも敗北「視聴率最下位」に輪をかける「10分だけサザエさん」の迷走 勝負ドラマも低迷の正念場

※画像はフジテレビの公式サイトより

テレビ東京が今年1月クール(1月1日~3月31日)の世帯平均視聴率(ビデオリサーチ調べ、関東地区)のゴールデン帯(19時~22時)で、開局以来初の最下位脱出を果たしたことが明らかになり、テレビ界に大きな衝撃が走った。

「テレ東が最下位を脱し、フジテレビが最下位に転落しました。現在は個人視聴率や13~49歳の個人視聴率であるコア視聴率が重視される時代ですが、世帯視聴率であってもかつて隆盛を誇ったフジテレビがいよいよ最下位になってしまったことは、テレビ関係者にとってはかなりのインパクトとなりました」(制作会社関係者)

フジテレビは、4月26日に同局で行なわれた定例会見でこの件に言及。視聴率の苦戦が続いていることについて港浩一社長(71)は「人気商売ですから順位は上のほうがいいんですけど、こういうこともあるなと。真摯に受け止めて反転攻勢を練っていきたい」とコメントした。

「主要民放キー局のフジが、そうではないテレ東に負けたんです。いかに現在、フジテレビが厳しい状況に直面しているかがうかがえますよね。こうした状況を受けてでしょう、フジ編成局は今春に大規模な改編を敢行。新ドラマもスタートしましたが、より迷走してしまっている、とも指摘されています」(前同)

広瀬アリス(29)主演、相手役を眞栄田郷敦(24)が務める、フジテレビの看板ドラマ枠である月9ドラマ『366日』(フジテレビ系)が4月8日にスタートしたものの、視聴率は振るっていないようだ。4月22日のコア視聴率は2.3%(すべてビデオリサーチ調べ、関東地区)と、同時間帯の『しゃべくり007』(日本テレビ系)の半分ほどの数字しか取れていないという。

赤楚衛二(30)主演の『Re:リベンジ-欲望の果てに-』(フジテレビ系)も、元関ジャニ∞の錦戸亮(39)が久々に民放の連ドラに復帰するということで、放送前は話題を呼んでいたものの、4月25日のコア視聴率は1.5%と低迷している。

「『366日』も『Re:リベンジ』もフジにとっては勝負のドラマだったはずですが、あまり話題にもなっていませんよね。

そして、4月27日に放送された明石家さんまさん(68)が刑事役で主演するギャグドラマ『心はロンリー 気持ちは『…』FINAL』には、元妻の大竹しのぶ(66)も出演するという話題性があったものの、こちらもコア視聴率は1.5%と大惨敗。同ドラマはフジテレビ開局65周年作品で、昭和~平成のフジテレビを代表するコンテンツでしたが、視聴者を集めることはできませんでした。

さらに、中居正広さん(50)MCの『だれかtoなかい』(フジテレビ系)も、嵐・二宮和也さん(40)からムロツヨシさん(48)にパートナーが変わってからは数字が落ちてきている感じです。

春改編で数字を上げているバラエティ番組も一部ありますが、ドラマは中心に厳しい状態は続いている。そして、その改編の一連を仕切っているのが編成制作局です。編成は、テレビ局の頭脳のような部署で、どういう番組を放送するか最終的に決定する力を持っています。

これまでも編成を中心に改編を推し進めてきたわけですが、世帯視聴率とはいえテレ東に負けたというのは編成局の敗北でもあるでしょう。今回の事態には局内からも多くの声が上がっているようですが、夕方のニュース番組『Live News イット!』にも厳しい目が向けられているといいますね」(同)

■青井実の加入から1か月……『イット!』視聴率は上昇せず

放送6年目に突入したフジテレビ夕方の報道・情報番組『Live News イット!』は4月1日より大リニューアルを実施。

2月にNHKを退局した青井実(43)をMCに迎え、フジテレビの宮司愛海アナウンサー(32)は続投。パックンマックンのパックンことパトリック・ハーラン(53)が「スペシャルキャスター」として週3日レギュラー出演する新体制へと変わった。

「青井さんはNHK在職時に親族の企業から役員報酬を得ていたと報じられ、『イット!』のMC就任時にも疑問や批判の声が上がってしまいましたね。そんな青井さんが加入して1か月が経過しましたが、数字は改善されていません」(前出の制作会社関係者)

夕方の報道・情報番組では日本テレビの『news every.』が1位、テレビ朝日の『スーパーJチャンネル』とTBSの『Nスタ』が2位タイ、少し間が空いて『イット!』が4位という状況が続いてきた。

「『イット!』のリニューアルから1か月が経過しましたが、他局に迫るどころかさらに差をつけられてしまっている感じです。たとえば4月25日の18時台では、『news every.』の個人視聴率が4.0%、『Nスタ』が3.1%、『スーパーJチャンネル』が2.7%、『イット!』が1.9%。

藤井貴彦アナ(52)が抜けた『news every.』の数字が落ちてきていて、『Nスタ』と『スーパーJチャンネル』が猛追している。そんな中、1人蚊帳の外にいるのが『イット!』なんです。青井アナが新キャスターになってからも数字は改善せず、悪化している感すらある。

さらに、ゴールデンウィーク中に18時50分から10分間だけ『サザエさん』を放送したことに対しても、局内から不満の声が上がっています」(前同)

■GW「10分サザエさん」で現場は混乱

フジテレビでは、4月29日から5月3日まで『ゴールデン「サザエさん」ウィーク傑作選』と題し、18時50分から19時まで過去のエピソードを1話ずつ放送した。

「フジ上層部が“GWに『サザエさん』をやろう”と提案し、放送が決定したといいますね。昨今はどこの会社も自社のコンテンツやレガシーを大切にしていこう、となっていますが、フジではそれが『サザエさん』だったということのようです。

たしかにその考えは理解できますよね。日テレでは『名探偵コナン』が通常放送でもそうですし、『金曜ロードショー』で劇場版を放送すればとんでもない視聴率を取りますからね。

フジもそういった流れで『サザエさん』を放送することになったようですが、テレビ各局は今、コア視聴率、つまり若者の個人視聴率を重視していますよね。『サザエさん』は国民的なアニメで、多くの人に愛されている作品ですが、若者向けのコンテンツでは決してない。若い層の視聴者がGW期間中の19時前に、『サザエさん』を見るためにフジにチャンネルを合わせるかというと、それは考えにくいですよね。

案の定、数字はよくなかったといいますし、そもそもこの時間に『サザエさん』が放送されていたことを知らない人も少なくなかったのではないでしょうか」(前出の制作会社関係者)

『サザエさん』といえば、毎週日曜日の夕方6時30分から放送されているものとして日本国民の生活に根付いている。

「内容は昭和を描いていますし、基本的にシニア層が好きな作品ですよね。GW期間中に10分だけ18時50分から編成したところで“誰が見るんだ”、と局内からも指摘する声が出ていたといいます。

『イット!』の放送時間を削っての放送でしたが、たかが10分といえども番組内部はかなり混乱したといいますね。ずっと同じタイムスケジュールで番組を制作してきたにもかかわらず、急遽5日間だけ10分短縮する必要があるわけですからね。日々、取り扱うネタが変わるニュース番組なら、なおさらキツいでしょう。

迷走が指摘されてしまっているフジですが、GW中の『サザエさん』がその代表例だと言われていますね……」(前同)

80年代から90年代前半にかけて「楽しくなければテレビじゃない」のフレーズで隆盛を誇ったフジテレビ。1982年から1993年まで12年連続で視聴率3冠王を達成したこともあった。しかし、今やテレビ東京にも後塵を拝す状況に。

まさに正念場を迎えていると言えそうな同局だが、まだまだ優秀なテレビマンは多くいるはず。その底力を今こそ見せてもらいたい――。

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