「入館料は決めるのはお客様」静岡の水族館が異例制度で集客5倍、売上2.5倍 期間限定で好評→正式導入

静岡市の水族館「スマートアクアリウム静岡」は2、3月の平日限定で、入館者がサービスを体験した後に自ら決定した金額を支払う「ポストプライシング」を試験的に導入した。期間中、平日の平均入館者数は約5倍、売上は約2.5倍になった(いずれも前年同期比)。この成果を受け、同水族館では7日より「ポストプライシング」を平日料金として正式に導入。通年運用で、さらなる“平日のにぎわい創出”をはかる。

同制度は平日限定(お盆などの繁忙期を除く)で、個人入場客のみに適用される。団体客(20人以上)は対象外となる。また、支払金額に応じたオリジナルグッズのプレゼントも用意される。

同水族館はJR静岡駅近くの百貨店「松坂屋静岡店」本館7階内に2022年4月にオープン。しかし、百貨店の中という特殊な立地条件のため、集客に苦戦する面もあり、閑散期にあたる冬季、特に平日はそれが顕著だった。また、大人入館料1400円(中学生以上)に対して「ワンフロアで1400円は高い気がする」などの意見も届いていたという。

にぎわいの創出のために、まずは気軽に来館してほしい―。そこで目を付けたのが「ポストプライシング」。通常の水族館では一定の入館料を先払いする制度が主流だが、同制度では全てを観覧した後に出口で後払い。さらに、その金額は客側が自由に設定できるという、業界では異例の取り組みだった。

閑散期(2、3月の平日)に試験的に導入したところ、入場者数は大幅に増加。同水族館の担当者は「閑散期にこれだけの成果が得られたことで、認知度の向上にもつながったと思います」と手応えをにじませた。期間終了後、入館者数や売上などの実績をもとに料金制度を再検討。その結果「お客さまが気軽にご来館できる一番の方法」と判断し、今回の正式導入にいたったという。

また、試験導入期間中に募ったアンケートをもとに、館内設備の改善も実施した。

(よろず~ニュース・藤丸 紘生)

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