上司から休みの日に「新入社員のマニュアルを作っておいて」と言われました。これって非常識ですよね?

「持ち帰り仕事」は違法となるケースがある

持ち帰り仕事は、違法となるケースと違法とならないケースがあります。違法とならないケースは、例えば従業員が自身の判断で仕事を持ち帰り自主的に業務を行った場合などが挙げられます。

しかし、従業員が上司の指示で仕事を持ち帰り業務を行ったケースにおいては、持ち帰り仕事をした時間も労働時間として扱われるため、もしもその分の賃金が支払われなかった場合などは違法にあたる可能性が高いです。

労働基準法第24条においては「賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない」としています。

今回の事例のように、休みの日の持ち帰り仕事が上司からの指示であり、それに対して賃金が支払われなかった場合は違法となる可能性が高いでしょう。

休みの日に持ち帰り仕事をした場合、本来どれくらいの給料が発生する?

前述の通り、上司からの指示による持ち帰り仕事の場合はその分の賃金が支払われますが、もしも自主的に持ち帰り仕事をした場合、本来であればどれくらいの給料が発生するのでしょうか。

支払われる給与の金額は業種によってさまざまですが、今回は厚生労働省の「令和3年賃金構造基本統計調査による職種別平均賃金(時給換算)」に基づき、全産業の平均時給の基準値である1265円で計算してみましょう。

土曜日だけ持ち帰り仕事をした場合

まずは土日休みの企業に所属する方が土曜日のみ持ち帰り仕事を8時間した場合を想定します。本来発生するはずだった賃金は、1265(円)×8(時間)=1万120円です。

なお、この金額は休日出勤をはじめとした各種手当がついていない状態なので、実際にはより高い金額になるでしょう。

土日ともに持ち帰り仕事をした場合

土日両日とも持ち帰り仕事を8時間ずつした場合では、本来発生するはずだった賃金は1265(円)×8(時間)×2(日)=2万240円です。

1日のみ仕事をした場合、2日とも仕事した場合いずれにおいても、無償で持ち帰り仕事をしてしまうと非常に大きな金額を受け取らずに働いているといえます。

持ち帰りの仕事を避ける対処法

無償で持ち帰り仕事をすると、プライベートの時間を減らしてしまうだけでなく賃金面でも損をしてしまいます。そこで、持ち帰り仕事を避ける対処法を3つ紹介します。

上司に相談する

まずは直属の上司に相談しましょう。仕事を割り振る上司に相談できる場合、現状を伝えると改善できる可能性があります。

人事・総務に相談する

上司に相談できない場合は、人事部や総務部への相談を行いましょう。人事を管理する部署ならば相談に乗ってくれたり改善してくれたりする可能性があります。

転職を検討する

社内で相談しても改善がみられない場合は、思い切って転職を検討するという方法もあります。企業全体で持ち帰り仕事が当たり前になっているのであれば、改善は難しい可能性が高いです。

近年は働き方改革により企業のあり方が少しずつ変化しています。業務のあり方を積極的に改善している企業や働きやすい職場に転職して、ライフワークバランスを見直すこともおすすめです。

働き方が気になる場合は転職も視野に入れよう

どの企業においても残業や持ち帰り仕事が発生する可能性はゼロではありません。しかし、どのような形であっても会社の指示によって業務を行うのであれば、会社は従業員に対して賃金を支払う必要があります。

休みの日に業務の指示があったにもかかわらず賃金が支払われない場合は違法となる可能性が高いです。持ち帰り仕事が頻発する場合やそれが負担になる場合は、必要にあわせて関連部署への相談や転職を検討しましょう。

出典

e-Govポータル 労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号) 第二章 賃金 第二十四条(賃金の支払)
厚生労働省 令和3年賃金構造基本統計調査による職種別平均賃金(時給換算)

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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