カブス今永昇太「好投」の秘密 メジャー唯一の防御率0点台かつ無傷でトップの5勝、月間最優秀新人受賞

2日のメッツ戦で5勝目をマークした今永(C)共同通信社

開幕から1カ月が過ぎても、メジャーでただひとり防御率0点台をキープしているのがカブスの今永昇太(30)だ。

日本時間3日現在、6試合に登板して5勝負けなし、防御率0.78。5勝もフィリーズのスアレス(28)と並んでメジャートップ。投球回数(34.2)を上回る35三振を奪い、与四球数はたったの4と安定した投球を続けている。そして同日、3・4月のナ・リーグの最優秀新人に選出された。日本選手の同賞は、チームメートの鈴木誠也(29)が2022年4月に受賞して以来で、通算8人目だ。

今永好投の最大の理由は球のキレだ。ストレートの1分間の回転数は2424。昨季のメジャー平均の2283を大きく上回っている。

「今永のストレートは150キロ前後。メジャーでは決して速い方ではないが、回転数が多いだけに打者は手元でボールが伸びているような感覚に襲われる。左腕であることもプラス。日本の左打者は逆方向への軽打が多いが、メジャーの左打者はしっかりスイングしてくる。それだけに、伸びのある速球はより効果的なのです」(ア・リーグのスカウト)

だからといって課題がないわけではない。

「問題は球のキレがなくなってきたとき。3月のWBCからスタートした昨年は夏場の8月に失点が重なった。疲労が原因で、ボールにキレがなくなったからです。今永は常にフレッシュな状態で投げてこそ真価を発揮する。十分な登板間隔をあけ、球数を抑えて起用する必要がある。ただでさえボールの質、マウンドの硬さの異なるメジャーの環境に適応しながら投げていて、疲労があるはずですから」(同)

開幕から球数は90球前後に抑えられているとはいえ、前回登板(2日のメッツ戦)は日米通じて初の中4日。ストレートの球速は今季平均を2キロ近く下回った。疲れが溜まってきた兆候はあるだけに、首脳陣が今後、本人のコンディションを考慮して起用して使い続ければ、それなりの結果は残しそうだ。

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日刊ゲンダイの人気コラム「ドラフト家庭の事情」(2015年版)では、今永をピックアップ。ハーレー乗りの父と音楽教師の母の元で、今永はどう育てられたのか。

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