【10年ひと昔の新車】フォルクスワーゲン パサート オールトラックは、ビジネスにアウトドアにフィールドを拡大した

「10年ひと昔」とはよく言うが、およそ10年前のクルマは環境や安全を重視する傾向が強まっていた。そんな時代のニューモデル試乗記を当時の記事と写真で紹介していこう。今回は、フォルクスワーゲン パサート オールトラックだ。

フォルクスワーゲン パサート オールトラック(2012年:車種追加)

最低地上高はヴァリアントより30mm高められた160mm。当然ながら全高も30mm高いが、とくに腰高な印象は受けない。

2011年の東京モーターショーでワールドプレミアされた、フォルクスワーゲンのパサート オールトラック。ワゴンのパサート ヴァリアントをベースに4WD化して、プリクラッシュブレーキなどを標準装備。SUV的に使えるインポートワゴンとして、人気を呼びそうだ。

現在、パサートヴァリアントにはAWDモデルはラインナップされていない。したがって、先代パサートでV6を搭載した4モーションやR36ユーザーの中には、こんなモデルの登場を待っていた!という人も多いのではないだろうか。見た目的には、いかにもという雰囲気はまったくないが、このクラスの輸入車としては唯一のミドルサイズ クロスオーバーSUVに属する。オールトラックという名も、そんな立ち位置を意味しているようだ。

エクステリアはステンレス調のアンダーガード付き専用バンパー、ホイールハウスエクステンション、そして18インチタイヤでクロスオーバー風な演出がなされているが、何といっても最大のポイントは30mm高められた160mmの最低地上高だ。しかも、この高まったことによるマイナス面がまったく見当たらないのがいい。

試乗日はあいにくの雨だったのだが、こんな時はAWDが威力を発揮する。搭載されるエンジンは、先代パサートのV6 4モーションやR36に比べればダウンサイジングとなる2LのTSIで、そこに6速DSG(DCT)が組み合わされる。実はこれ、定評のあるゴルフGTIと同じパワートレーンだ。したがって、つべこべ語るまでもなく、力強さは文句なしといえる。

ゴルフGTIで定評のある2L TSIエンジンにDCTの6速DSGを組み合わせ、フルタイムで4輪を駆動するパワートレーン。

AWDに加え、最新鋭の安全装備も盛りだくさん

試乗日はあいにくの雨だったが、4WDのおかげでウエットなワインディングロードでも常に4輪が路面を捉えてくれた。

このパワーをAWDでがっしり受けとめてくれるので、ウエット路面でもヒヤリともツルンともしない。今回は、林の中のかなりタイトなコーナーが続くワインディングロードでも試乗したのだが、常に4輪がしっかりと路面を捉え続けてくれる。しかもステアフィール、ライントレース性などなど、唸らせられる出来映えなので、終始安心確実なドライビングをゆとりを持って楽しめた。

このゆとりが安全につながるのだが、他にも最新鋭安全装備が盛りだくさん。ハンドル操作によって感知するドライバー疲労検知システム、レーダーセンサーを使ったACC(アダプティブ クルーズコントロール)、万が一の際に自動的にブレーキをかけて被害を軽減するプリクラッシュブレーキシステムなど、万全の構えだ。

今回はトライできなかったが、オフロード走行への準備も整っている。スイッチひとつで、出力特性等を低ミューのオフロードに合わせた性格に変更できる、オフロードスイッチを備える。そもそも30mm高められた最低地上高により、アプローチ/デパーチャー/ランプブレーク アングルに余裕が持たされているので、凸凹したキャンプ場などの路面では大活躍しそうだ。

車名のとおりにさまざまな路面で威力を発揮しそうなパサート オールトラック。ビジネスにもアウトドアレジャーにも使えるクルマをお探しなら、自信を持ってオススメしたい1台だ。

アルミとウッドのパネルで高級感を演出したインテリア。カーナビはオプションだが安全&快適装備は充実している。

●全長×全幅×全高:4785×1820×1560mm
●ホイールベース:2710mm
●車両重量:1670kg
●エンジン:直4 DOHCターボ
●総排気量:1984cc
●最高出力:155kW(211ps)/5300-6200rpm
●最大トルク:280Nm(28.6㎏m)/1700ー5200rpm
●トランスミッション:6速DCT
●駆動方式:フロント横置き4WD
●燃料・タンク容量:プレミアム・68L
●JC08モード燃費:11.6km/L
●タイヤサイズ:225/45R18
●当時の車両価格(税込):494万円

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