開幕から１ヵ月が経過した2024年のメジャーリーグ。日本から海を渡って世界最高の舞台で戦う日本人選手たちの１ヵ月間を採点してみよう（成績はいずれも４月30日時点）。
※評価は「よくできました」「まずまずです」「可もなく不可もなく」「がんばりましょう」の４段階】
■大谷翔平（ドジャース）
【通信簿：よくできました】
バット一本でどこまで打撃成績を伸ばせるかに注目が集まる新天地１年目は、強力打線最多の７本塁打にメジャー最多の22長打を放つなど、自慢の長打力を発揮している。驚くべきは.366という例年にない高打率で、速球系（.319）、曲がる系（.350）、オフスピード系（.364）と３つの球種系すべてにに対してハイアベレージをマーク。三振率18.8％まで下げ、打者としての完成度を高めつつある。春季キャンプから取り組んだ走塁面では失敗なしで５盗塁を決め、スプリント・スピードも復調。得点圏で打てていないことが話題になるが、トータルとしては最高に近いスタートを切った。
■ダルビッシュ有（パドレス）
【通信簿：まずまずです】
６先発で防御率3.45と、不振に苦しんだ前年から立ち直っている。４月半ばには首の張りで故障者リスト入りしたが、登板を１度パスしたのみで戦列に復帰した。ただ、今季はまだ球数が少なく、ほとんどの試合が５イニング以下。変化球は変化量が伸びているが、４シームは平均球速が約１マイル落ちていて、まだ本調子ではないと思わせる。投手陣のリーダーとしての期待値も考えれば、先発投手が苦しむチームでより存在感が増すパフォーマンスを発揮したい。５月はあと３つに迫った日米通算200勝達成に期待が集まる。
■鈴木誠也（カブス）
【通信簿：まずまずです】
昨季後半戦からの好調を持続して15試合で打率.305、OPS.893と快調に滑り出したが、４月半ばの右脇腹による故障者リスト入りが水を差した。WBCを辞退した昨春と同様、またも怪我に泣かされているが、大事でなかったのは不幸中の幸いで、すでに練習を再開している。平均打球初速は昨季から５キロ以上も向上、初速95マイル以上のハードヒット率ともどもメジャートップクラスの数値を叩き出しており、復帰後の猛打再開に期待が集まる。
■菊池雄星（ブルージェイズ）
【通信簿：よくできました】
６先発で防御率2.94は、メジャー自己ベストを記録した3.86よりも一層優れた数字。以前から先発左腕ではメジャートップクラスだった球威に数字が伴うようになった。長らくの課題だった制球力が改善され、積極的にストライクゾーン内を攻めながら被本塁打２本のみ、改良チェンジアップが苦手の右打者に効果を発揮して、投球全体の安定度が格段に増した。自身の登板した勝利試合後、チームメイトへ高級酒を振る舞うのも気持ちの余裕の表れに映る。
■前田健太（タイガース）
【通信簿：がんばりましょう】
豊富な経験を買われて２年2400万ドルで加入したが、ア・リーグ最多の７被弾で防御率5.96と精彩を欠いている。トミー・ジョン手術からの復帰２年目ということで本格復活を期待する声があった中、４シームは平均球速90マイルにも届かず、被打率.368滅多打ちされている。空振りを奪える球種に欠け、本来は決め球となるはずのスプリッターを１球目から投じるのも現状の苦しさを示している。ただ、直近２登板は続けて好投。今後の巻き返しに期待できそうだ。
文●藤原彬
著者プロフィール
ふじわら・あきら／1984年生まれ。『SLUGGER』編集部に2014年から3年在籍し、現在はユーティリティとして編集・執筆・校正に携わる。X（旧ツイッター）IDは@Struggler_AKIRA。
