銀座線の「黄色」はどこが由来? 実は約100年の歴史で「変わってしまった」色をたどる

現在の銀座線の車両、1000系

東京メトロの銀座線の「色」といえば、オレンジ色か黄色を思い浮かべるのではないでしょうか。銀座線では、路線ごとに割り振られる「ラインカラー」はオレンジ、現行車両の外観は「レモンイエロー」となっています。この色には、実は「元ネタ」がありました。

現在銀座線で活躍しているのは、2012年にデビューした1000系。そのカラーリングは、銀座線の初代車両である(旧)1000形をモチーフとしています。つまり、銀座線は開業時点から、黄色の車両で運転されていたのです。

東京地下鉄道によって、現在の銀座線浅草~上野間が開業したのは、1927年のこと。東洋初の地下鉄として開業した、歴史的なできごとでした。当時導入された1000形は、ベルリンの地下鉄に範を取り、レモンイエローで塗装されました。地下でも晴れやかな明るい色を、というのが、その理由だったそうです。

しかし、銀座線の色は、その後徐々に変わっていきました。車両の塗装は検査時などに塗り直されますが、従来の車両の色をベースにしていたはずが、次第に濃くなってしまったのだとか。東京の地下鉄では、1970年にラインカラーが制定されますが、銀座線の車両は、その時すでにオレンジ色となっていました。銀座線の色は、車両の外観こそ現在の1000系でかつての色に戻りましたが、ラインカラーは変わらず、今もオレンジ色のまま。レモンイエローをまとう1000系でも、ラインカラーであるオレンジ色などの帯が、前面・側面に引かれています。

ところで、黄色系統のイメージが強い銀座線ですが、一時期は別の色の電車も走っていました。銀座線は、浅草~新橋間が東京地下鉄道、新橋~渋谷間が東急系の東京高速鉄道によって開業しています。後者が導入した100形では、下半分が緑色、上半分がクリーム色と、現在の銀座線とは大幅に異なるカラーリングでした。独特なこの塗り分けは、戦時中の帝都高速度交通営団(営団地下鉄)発足によって消滅しましたが、現在は地下鉄博物館の100形カットモデルで見ることができます。

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