“清原Jr.”ではなく「正吾の名を響かせたい」 4番起用も打率1割台で…漏らした本音

9回に適時打を放った慶大・清原正吾【写真:加治屋友輝】

清原正吾が立大戦で4打数3安打…9回に決勝の適時二塁打

「“清原ジュニア”じゃなくて、清原正吾の名を、みんなに響かせたいなと思います」。NPB歴代5位の通算525本塁打を誇る清原和博氏の長男、慶大・正吾内野手(4年)は4日、東京六大学野球春季リーグの立大1回戦に「4番・一塁」で出場し、決勝適時二塁打を含む4打数3安打1打点と活躍。2-0の勝利に貢献した。

その瞬間、スタンドで観戦していた父・和博氏は満面笑みで隣の関係者とがっちり握手をかわし、少し離れた席にいた母・亜希さん、弟の勝児内野手(神奈川・慶応高3年)も歓声を上げた。

両チーム無得点で迎えた9回。1死二塁の好機で第4打席に入った清原は、この回から登板していた立大2番手・吉野蓮投手(3年)の初球をジャストミート。打球は左翼フェンスを直撃し、勝ち越し適時二塁打となった。「打った瞬間、芯に当たったのがわかったので、どこまででも飛んでいってくれという願いを込めて、全力で走りました」と清原は振り返る。

試合終了直後、中継局のヒーローインタビューに「4番というのは、僕にとって特別な打順」、「『清原』という苗字で野球をやる以上、ありがたいことに注目を浴びることになるのですが、そのプレッシャーを追い風に変えたい。なんとか今日、結果が出て本当うれしかったです」と語った後、冒頭のセリフを吐いた。4番は和博氏が高卒1年目から西武で務め、人一倍こだわりを持っていた打順でもある。

中学、高校時代は野球から離れていたが、慶大進学と同時に再開。最終学年となった今季は、全6試合で4番を任されている。だが、この日の試合前の時点では打率.190(21打数4安打)。打順にふさわしい数字とは言えなかった。

この日も、立大先発の小畠一心投手(3年)に対し、第1打席で内野安打をマークしたものの、決していい当たりではなく、第2打席ではタイミングが合わないまま空振り三振に倒れていた。

試合中に変えたタイミングの取り方「初めて4番の仕事を果たせた」

ところが7回の第3打席で、小畠から左前へクリーンヒット。「第1、第2打席では自分の打撃ができていなかったので、第3打席でタイミングの取り方を思い切って変えてみました」と明かす。そして9回の場面では、初対戦の吉野に対し「ネクスト(バッターズサークル)で、相手の投球フォームに合わせて、どのタイミングで足を上げ、足を着くかを考えながら素振りをしていました。打席では、そのタイミング通りに打ちにいきました」と言う。

野球経験が短いにも関わらず、見事な修正力と対応力。和博氏とはまた別の才能を感じさせる。「これまでは情けなかったけれど、初めて4番の仕事を果たせました。なんとか(堀井哲也)監督の期待に応えられたのかなと思います」と口元を綻ばせた。

今季打率も.280(4日現在)に上昇。今後の打撃が楽しみだ。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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