「日本での成功を引き継いでいる」チーム最多登板数を誇る松井裕樹に地元メディアからも称賛の声「新人は依然として明るいスポットだ」

2024年シーズン、初めてメジャーのマウンドを踏んだ日本人投手の活躍が伝えられるなか、サンディエゴ・パドレスの松井裕樹も開幕から高いパフォーマンスをみせ続けている。

シーズン初戦、3月20日のロサンゼルス・ドジャース戦で4番手として登板、メジャーデビューを飾ると、乱打戦となった翌日も試合終盤にマウンドに送られ、大谷翔平を外野フライに切って取るなどチームの初勝利に貢献した。同29日に初勝利を挙げると、その後もコンスタントに起用され、登板数は35試合終了時点での半分以上にあたる16試合に上り、チーム最多タイとなっている。

防御率2点台(2.35)という数字が示すように、シチュエーションこそ違えど、クローザーとして高い実績を残してきたNPB時代と同様、背番号1はメジャーでも多くの打者を打ち取っている。そして、ルーキーながらも、パドレスのブルペンに欠かすことのできない存在となっているサウスポーには、現地メディアからもこの上ない賛辞が送られている。

「ユウキ・マツイが日本での成功を引き継いでいることは明らかだ」

サンディエゴのスポーツサイト『East Village Times』はここまでの松井の活躍をそのように評している。

同メディアは、「計り知れない不安定さを見せたシーズンの中で、パドレスのブルペンから出てくる新人は依然として明るいスポットとなっている」と称えており、「この28歳の身長はわずか5フィート8インチ(約176センチ)だ」と記しながらも「しかし、松井はその165ポンド(約75キロ)の体躯を活かし、140キロ台中盤の速球とスプリッター、カーブ、スライダーを組み合わせて打者を困惑させる」と投球スタイルを分析。

また、ここまでのスタッツをフォーカスし、その中で「WHIP1.109は、彼のピンポイントのコマンドと四球を制限する能力を表している」と指摘。加えて、「多くのサウスポーが右打者へのヒットを制限することに苦労している一方で、マツイは右打者を苦しめ続け、打率.152、OPS.482に抑えている」と説明し、続けて「マツイと左対左の対戦になる不運な打者は、現在打率.211、OPS.501にとどまっている」として、対峙する打者の打席に関係なく抑え込んでいることを強調する。

他にも、松井の現在までのwOBA(対戦した打者の得点圏への到達の割合を示す指数)が極めて低いことや、メジャーでまだ本塁打を打たれていないことなども紹介しながら、同メディアは「新星ユウキ・マツイは試合終盤で輝きを放ち続けるだろう」と綴り、今後へ期待を寄せている。

デビュー以降、接戦の試合展開や勝ちパターンでのマウンドを多く任されている松井。強豪ドジャースを追いかける位置につけるパドレスにとって、すでに重要な戦力となっていることは間違いない。

構成●THE DIGEST編集部

© 日本スポーツ企画出版社