【京王杯SC】上位人気手堅く、4、5歳馬優勢 昨年好走のウインマーベル、ダディーズビビッドが面白い

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1200mに近くなった1400m戦

安田記念のトライアルとして位置づけられた伝統のGⅡも近年は相当立ち位置が変わってきた。スピード競馬全盛の昨今、1400m戦はマイル戦との間の壁が厚くなり、1200m戦よりのレースに近づきつつある。秋は1400mの重賞シリーズがあるが春にはそれがなく、一層1200mとの距離が近い。

スプリント路線は春先の3月高松宮記念でひと段落。香港チャンピオンズデーに向かわない限り、春に目標らしきレースがない。京王杯SCはその受け皿へと変化した。予想する際はこの傾向を頭に入れ、推理を進めよう。データは過去10年分を使用する。

1番人気【3-0-0-7】勝率、複勝率30.0%、2番人気【3-3-3-1】勝率30.0%、複勝率90.0%と上位人気は手堅い。東京芝の重賞らしく、5番人気以内9勝と基本的には力勝負のステージだ。ただ、7番人気【0-3-2-5】複勝率50.0%など伏兵の馬券圏内も消せはしない。三連単、三連複は上手に伏兵を組み込み、大きめの配当を狙うのもいい。

スピード勝負の1400m戦らしく、4歳が【4-1-5-33】勝率9.3%、複勝率23.3%とリード。ついで5歳【3-4-4-42】勝率5.7%、複勝率20.8%と続き、主力世代優先でいい。だが、7歳以上【2-2-0-20】勝率8.3%、複勝率16.7%とベテランもがんばる。安田記念の前哨戦という雰囲気が消えつつあるなか、少しメンバーレベルが落ちることで、ベテランが割り込むケースが出てきた。

穴はダディーズビビッド

今年も高松宮記念からトウシンマカオ、ウインマーベルとスプリント重賞ウイナーたちが参戦する。連覇を狙うレッドモンレーヴと1400mで対抗できる馬はどの馬だろうか。

前走GⅠ【6-3-3-21】勝率18.2%、複勝率36.4%のうち、高松宮記念は【6-3-3-19】勝率19.4%、複勝率38.7%と大半を占める。着順別の内訳は3~5着【2-1-0-2】に対し、6着以下は【4-2-3-16】。春のスプリント王決定戦で結果を残せなかった組は巻き返しも凡走もあって難しい。

ウインマーベルは昨年、高松宮記念10着から2着と巻き返した。当然、今年もマークだ。ほかの好走馬をみると、23年3着ダディーズビビッドは2走前阪急杯2着、21年1着ラウダシオンは4走前に富士S2着など1400m以上の重賞で好走歴があった。トウシンマカオは3歳クロッカスS以降、1400m以上の好走がなく距離に対応できるかがカギとなる。

前走GⅠ以外の重賞については距離を目安に考える。1400m超【3-5-5-39】勝率5.8%、複勝率25.0%、1400m未満【0-0-0-8】で、こちらはスプリント戦から来る馬が結果を残していない。マイル以上のGⅡ、GⅢからここに駒を進め、勝って安田記念へという馬も一定のマークが必要だ。

前走GⅡ、GⅢから距離短縮となる馬は、前走3着以内【1-3-4-4】、5着以下【2-2-1-31】。好走してきた馬が理想だが、凡走からの巻き返しもある。ダービー卿CT5着ダディーズビビッドは、ほかに人気をもっていかれるようなら面白い。1400mは通算【2-2-3-2】。4~6月【2-2-1-1】、左回り【3-4-3-7】と春が得意なサウスポー。好走材料はある。

前走1400mのGⅡ、GⅢは【0-2-1-11】複勝率21.4%で延長より目はある。阪神C13着ダノンスコーピオンはNHKマイルCの勝ち馬ながら、近走二桁着順続きと不振に喘いでいる。福永祐一調教師がどれほど立て直せるか。注目したい。

ライタープロフィール
勝木 淳
競馬を主戦場とする文筆家。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュースエキスパートを務める。新刊『キタサンブラック伝説 王道を駆け抜けたみんなの愛馬』(星海社新書)に寄稿。



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