全てを捨てて“プロレスラー”となった女優たちの葛藤と苦悩。『アクトレスガールズ、結構スゲーぞ!』と叫んだ古巣への思い

5日、都内某所にてマリーゴールドが旗揚げ戦カード発表記者会見&ファンミーティングを開催した。

マリーゴールドはロッシー小川が代表取締役となって創設され、5月20日に旗揚げされる新団体。
スターダムを退団したジュリア、林下詩美、MIRAI、桜井麻衣(元:桜井まい)、ビクトリア弓月(元:弓月)の5選手に加え、元全日本女子プロレスで元スターダムの高橋奈七永、元アイスリボンでスターダム『NEW BLOOD』で偽中野たむとしてプチブレイクした石川奈青が所属となることに。
さらに、アクトレスガールズの風香プロデューサーが青野未来、澄川菜摘(翔月なつみ)、松井珠紗、CHIAKI、皇希(天麗皇希)、後藤智香と一線級の6選手を引き連れて入団したことで女子プロレス界は大騒ぎに。

この話題の中心にあると言えるアクトレスガールズという団体は、数奇な運命をたどってきた団体だ。
アクトレスガールズは、2015年に“女優によるプロレス団体”をコンセプトに活動を開始。その独特な世界観を大切にしてきたが、活動を重ねる内にほぼ全ての女子団体へと選手が出場し、他団体のストーリーも持ち込まれる“普通のプロレス団体”の1つになっていった。
これを由しとしなかった団体側は思い切った方針転換を実施。2021年末を以てプロレス団体としての活動を終了し、“アクションシーンにプロレスを取り入れたフルコンタクトアクションのエンターテインメント舞台”である『アクトリング』にその活動を絞った。
しかし、2022年2月からは団体側が後に“プロレス”と説明を付ける『アクトレスリング』が始動。プロレスとアクトレスリングには根本から成り立ちが異なる明確な差異が存在するものの、その複雑なコンセプトを理解していない人間の目には“普通のプロレス団体”に映ってしまう活動内容となっている。

そんなアクトレスリング内では一部選手から「本格的にプロレスをしたい」という声が上がり始め、プロレス団体化を防ぎたい団体首脳陣と不和が生じてしまう。団体側と選手側は交渉を重ねたとのことだが、双方納得する着地点には至らず決裂。結果的に風香Pと6選手がアクトレスを飛び出してマリーゴールドに合流する形となった。

この顛末を見て来たファンは双方それぞれを応援する声を上げる人たちも多い。しかし、「引き抜きじゃないか」「“お芝居”しかしてなかった奴らにプロレスが出来るはずがない」といった批判や、双方の団体の体制を批判する声も多く上がっていることも事実だ。

そんな賛否両論、毀誉褒貶が渦巻く中、この日はマリーゴールド旗揚げ戦のカード発表が実施。

第2試合では、青野未来vs石川奈青のシングルマッチが行われることが発表。この試合には“A対Iイデオロギー対決”という副題が付けられている。

石川は“プロレスラー”であることに強い誇りを持っており、“お芝居”でプロレスをやるようになった青野を舌鋒鋭く批判。かつて“プロレスラー”であった時代の青野を敬愛していたが故に出てくる言葉ではあるが、青野の心にはこれが深く刺さっていた。

会見に出席した青野は、「なぜ認めてもらえないのか。気持ち的な問題だとしたら、私たちはメチャクチャ大きな決断をして、大きな覚悟を持って、簡単にここには来ることが出来なかったので、その気持ちは十分にあります。技術的な面だとしたら、それはもうこの1戦で私が圧倒的に石川奈青から勝ってそれを証明したいと思います」と言葉ではなく“プロレスラー”として向かい合ってリングの上で語り合う覚悟を示した。

第4試合では、翔月なつみ&松井珠紗vs天麗皇希&後藤智香のタッグマッチが行われることが発表。この試合には“アクトレス・ニュータイム”という副題が付けられている。

会見に出席した松井は、「私はこのマリーゴールドに来る際に全てを捨てたつもりで来たんですけども、このカードが組まれた以上、私が皆さんにお見せしたいのは……『アクトレスガールズ、結構スゲーぞ!』ってこと!」と古巣に対する愛が垣間見える意地を叫ぶ。
その後は「私は前の団体に6年間在籍しました。その間に皆さんが知っての通り、お芝居や歌やダンスやモデルや、本当にたくさんのことを経験してきました。それでも尚、思ったことは『やっぱりプロレスがやりたい』ということでした。でも、こうしたたくさんの経験は寄り道とかじゃなくて、私は全て自分のアドバンテージになると思っています。これまでやってきたすべての経験を活かして、マリーゴールドのリングで私が10代の頃から夢だった、胸を張って『プロレスラーです!』と言える5月20日、皆さんに最高の姿をお見せしたいと思います!」とプロレスへの熱い愛を語った。

マリーゴールドとアクトレスガールズの間に起きた出来事は双方の言い分が食い違っている部分もあり、真相は明らかにされていない。
しかし、現在もロッシー小川とアクトレスガールズの坂口敬二代表との間で話し合いが継続していることが明かされており、事態は穏便な収束へと向かっているという。
強い言葉を使って物事の是非を断じるのは、これらの情報が出揃ってからでも遅くはない。

『マリーゴールド旗揚げ戦 Marigold Fields Forever』
日程:2024年5月20日(月)
開始:18:30
会場:東京都・後楽園ホール

▼starting over パッション注入2024 シングルマッチ
高橋奈七永
vs
ビクトリア弓月

▼A対Iイデオロギー対決 シングルマッチ
青野未来
vs
石川奈青

▼The Power Contest シングルマッチ
MIRAI
vs
CHIAKI

▼アクトレス・ニュータイム タッグマッチ
翔月なつみ/松井珠紗
vs
[ロイヤルツインタワー]天麗皇希/後藤智香

▼World beauty showdown~世界美女決戦~ タッグマッチ
桜井麻衣/ゼイダ・スティール
vs
野崎渚(フリー)/マイラ・グレース

▼マリーゴールド最強タッグ伝説 タッグマッチ
ジュリア/林下詩美
vs
Sareee(フリー)/ボジラ

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